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事故物件や反社会的勢力…、ワケあり物件の告知義務は?

2017.01.17
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    事故物件や反社会的勢力…、ワケあり物件の告知義務は?

    賃貸借契約を結ぶ際に必要となる「重要事項説明」。
    宅建業法によって実に様々な項目の説明が義務付けられていますが、中でも心理的瑕疵の告知義務は、管理会社やオーナーにとって悩ましいところです。
    キャンセルされたくないし、伝えるなら最低限にとどめたいけれど、説明しておかないと後が怖い…。
    果たして貸主側はどこまで説明するべきなのでしょうか。

    相談ダイジェスト

    • 分譲マンションの一室を賃貸するが、同建物の他の部屋(管理外)に暴力団構成員が居住している。
    • オーナーおよび前入居者はその事実を知っている。
    • 地域の警察も構成員居住の事実を知っている。
    • 募集にあたってどこまで告知するべきか。注意点はあるか。

    専門家の回答

    告知の基準は「相手の判断に重要な影響を及ぼすかどうか」。不安に思うなら迷わず説明を。

    宅地建物取引業法は、35条に定める重要事項以外についても、同法47条1号ニに定める「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」に該当する事項については、故意の不告知や不実告知を禁止しています。

    したがって、たとえ「建物の環境」などの35条の説明事項以外であったとしても、それが「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」であるならば、宅建業者は賃借人にその事実を告知しなければなりません。

    そして、自殺や殺人、孤独死、火事といった出来事、あるいは反社会的勢力といった存在は、多くの人の判断に強い影響を与える要因と言えます。

    不告知によって訴訟を起こされる、さらには損害賠償責任を負わされる可能性も大きくなりますので、「もし説明して借主が借りなかったらどうしよう」と考えるのではなく、「ひとまず説明して、それで借りたくない・こだわると言うような借主には貸さないようにしよう」と考えて処理していくべき事案と考えます。

    反社会的勢力の告知の判断

    ・近隣に暴力団の「事務所」がある場合
    暴力団員が出入りするほか、組同士の抗争などに巻き込まれる危険性があります。
    重要事項(心理的瑕疵)として説明が必要です。
    売買においては、道路を隔てた真向かいや斜向かいにある事務所であっても、売主に告知義務を認めた判例があります。賃貸であっても、同じ物件内はもちろん近隣に事務所がある場合には、その旨を告知するべきです。

     

    ・近隣に暴力団の「住居」がある場合
    今回の相談は住居でしたが、「住居の不告知は重要説明義務違反にあたる」とした判例はまだありません。よって、敢えて伝えない、という選択肢もあり得ます……が、後々のリスクを考えれば伝えたほうが得策ではないでしょうか。
    告知する範囲は判明している事実の範囲で結構です。階数しか分からない、というのであれば、階数だけでも告知しましょう。なお、警察に問い合わせることで詳細が判明する場合もあります。そこで知り得た情報は借主にも告知可能です。

     

    ・「前入居者」が暴力団関係者だった場合
    既に退去済みであれば問題ないのでは? と思うかもしれませんが、場合によっては当該居室に暴力団関係者が間違えて訪問してきたり、敵対する暴力団の抗争に巻き込まれる危険があります。
    特に、未だに郵便物が届く、といった場合には注意が必要です。入居希望者の判断に重要な影響を及ぼすものとして告知すべきでしょう。

    自殺・孤独死等の告知の判断

    ・「前入居者」が部屋で自殺等の事故を起こしている場合
    事故後の最初の入居者には必ず告知するべきです。
    また、たとえ自殺や殺人ではなく自然死であっても、遺体が3ヶ月間放置されていた事例について心理的瑕疵を認めた判例があり、注意が必要です。
    前述のように、入居希望者の判断に影響する事故かどうか、をひとつの判断基準としましょう。

     

    ・「5年前の入居者」が部屋で自殺等の事故を起こしている場合
    自殺案件の重要事項告知期間については、法律で明確に決められているわけではありません。 かといって、最初の入居者には告知をし、数ヶ月で退去させ、次の入居者からは告知しない、という強引なやり方も問題です。
    一般的には、自殺発生から3~5年を告知期間と定めている会社が多いのではないでしょうか。
    この場合も、5年のあいだに2~3年程度の居住実績ができていれば、以降は告知不要と思われます。

     

    ・「隣室の前入居者」が部屋で自殺等の事故を起こしている場合
    事故のあった部屋でなければ、たとえ上下左右の部屋であっても明確な告知義務はありません。
    法的にも、自殺した部屋の両隣や階下の部屋の説明義務を否定した判例があります(東京地判平成19年8月10日)。
    しかし、裁判が起こった(トラブルになった)という事実には注目です。入居後に近隣住民から事故について聞くこともあるでしょうし、予め事故の事実を伝えておいたほうが安全かもしれません。

     

    ・「物件敷地内」で自殺等の事故を起こしている場合
    上下左右の部屋の場合と同様、明確な告知義務はありません。
    しかし、飛び降り自殺などの場合には周囲に噂も広がりやすく、入居者が遠からず情報を得ることになると思われます。
    こちらも説明義務を否定した判例がありますが(東京地判平成13年11月29日)、トラブルを防ぐという観点で言えば、告知することにもメリットがありそうです。

    いかに早期に決め、退去を防ぐか

    管理会社がオーナーの味方であるならば、ワケあり物件を「早く決める」だけでは不十分ではないでしょうか。

    たとえば、オーナーをトラブルに巻き込まないことも大事ですし、ワケあり物件であっても長く住んでもらえるよう工夫することも大事です。物件そもものの印象をそれ以上悪くしないことも必要でしょう。

    早く「ワケあり」ではなくしたいからといって、格安・短期で入居者を回しているうちに、「あの部屋は事故の後、慌ただしく入居者が変わる……、本当に何かあるのかも……!」なんて噂が立ってしまったら目も当てられません。

    起こってしまったことは仕方ないとして、どう挽回するのがベストなのか。
    どうすれば早く入居者が決まり、どうすれば長く平穏に暮らしてもらえるのか。

    オーナーの賃貸経営のパートナーとして、冷静に判断できる力が管理会社に求められています。

    ※この事例は2014年10月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

    導入事例紹介

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