週刊住宅

公開日:2017年4月17日

第119回 新人社員の部署異動

第119回 新人社員の部署異動
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結果よりも経験積ませる

スタッフにはもっと「負荷」を与えていいと思う。本人が思うよりもっと仕事ができる可能性が充分あるのだ。本人が気付いていない潜在的な能力を引き出してあげるのだ。そういう意味では「ジョブ・ローテーション(定期的な社内の部署異動)」は積極的に行うべきだろう。ずっと同じ仕事をしているとマンネリになってしまう。(藤澤雅義)

毎年4月になると怒涛のような繁忙期の忙しさが収束に向かいながら、一段落つく間もなく新入社員を迎え入れる時期になる。昨年は私が担当するリーシング課に3人の新卒社員が配属となった。入社から1年が経過するが、まだまだ1人前には程遠い。ただ本人たちに素直には言えないが、私の新卒の頃と比較すると3名とも発言が大人びていて、要領もよく将来が楽しみな人材である。しかしそんな新卒社員も全員がずっと同じ会社で働くわけではないようだ。

 

厚生労働省のデータによると、新卒(大学卒)社員の3年後の離職率は全体で32%前後、不動産業・物品賃貸業のカテゴリでは38%前後となっている。一から教え、手塩に掛けた新卒社員の4割近くが3年以内に離職していることになる。なぜ苦労して入社した会社にもかかわらず3年も経たずに辞めてしまうのだろうか。

 

一般的な退職理由としては、「自分の考えと社風が合わない」「思っていた仕事と違った」「時間外労働が多い」などが挙げられる。その中でも、入社当初は非常に意欲的だったのに、成長実感がなくなり、「やりがいが感じられない」「転職してステップアップしたい」と考える人も多いようだ。採用した会社側としては実にもったいないことである。

 

私が受け持った新卒社員3人のうちの1人に4月から部署異動が決まった。部署は不動産会社へのコンサルティングを行なう営業である。それは酸いも甘いも噛み分けた不動産会社の社長を相手に、提案営業をして、業務支援を実行するという仕事である。彼の異動が決まったとき私を含めた複数名の社員が異動に反対した。なぜなら彼はまだ不動産の経験が少なくコンサルタントとして活躍ができないのではないか、もう数年不動産の業務を着実に経験してからでもよいのではないかと思ったからである。

だが異動の辞令は、覆ることはない。

 

私の不安をよそに当社の代表は全く不安を感じていない様子だ。なぜなのか。落ち着いて考えてみると、そもそも新卒社員に期待していることが私と代表とで違うことに気付く。単純に不動産知識をもって営業の数字を上げることを期待しているのではなく、未熟であるがゆえのそれを克服しようとするスポンジのような吸収力をもって、多くの成功・失敗経験を積ませることによる成長を期待しているのではないだろうか。

 

本人に意欲があれば不動産の知識はいつだって学ぶことができるが、失敗を恐れずにチャレンジすることは若いうちにしかできないものである。

だからこそのチャレンジ異動である。

 

適度な負荷が掛かった状態で多くの成功・失敗を経験し、成長を実感することで、「やりがいが感じられない」という理由で前向きな新卒社員が辞めることが減るのではないだろうか。

そして通常の業務を日々淡々と教えるだけではなく、未熟な新卒社員にも仕事を任せ、多くの経験を積ませることも上司の大事な仕事と言える。

(筆:高橋宏/週刊住宅2017.04.17 掲載)


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