権利関係

【宅建民法を攻略】代理業者が契約すると?~代理~

投稿日:2019年3月18日 更新日:


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代理は何のために~代理業者が契約すると?~

自分の意思で所有する土地や建物を売ると意思表示し、買主がそれを承諾し、その契約が有効ならば、買主に代金を請求し、土地や建物を引き渡し契約は終了します。ただ、売主や買主本人が未成年者だったり、成年者であっても不動産取引に関する専門知識がなく不安だったりする場合は、他人に契約することを任せた方が、本人の利益になり、実質的に契約自由の原則も拡充します。

そこで、民法には、他人に契約する上で必要な意思表示をすることを依頼し、契約に基づく効果が本人に帰属する制度が定められています。これを代理といいます。

 

代理制度~他人に契約を結ぶことをお任せする制度~

1. 代理ってなに?

代理とは、ある人のした意思表示の効果が、直接他の人に帰属する法律制度をいいます。たとえば、図のように、Aが所有している不動産を売り渡すことをBにお願いして、お願いされたBがAに頼まれた範囲でCと売買契約を結び、AがCに不動産を引き渡し、CがAにその代金を支払うといった場合です。この場合、売るという意思表示をする者が代理人(B)で、効果の帰属者を本人(A)と呼び、買主(C)を相手方と呼びます。

代理制度

代理制度

代理には、任意代理と法定代理があります。任意代理とは、本人の意思に基づく代理です。不動産の所有者が宅建業者にその売却を依頼する場合等が典です。それに対して、法定代理とは、本人の意思とは無関係に法律の規定を根拠として発生する代理です。未成年者や成年被後見人の所有する不動産を法定代理人が代わりに売却する場合等が典型です。

2. 代理人が締結した契約の効果が本人に帰属するには?

どのような場合に、代理人のした行為の効果が、代理人ではなく本人に帰属するのでしょうか。厳密にいえば、誰のした、どのような範囲の、どういう形式でなされた契約などによって、本人にその効果が帰属するのでしょうか。

一般には、①代理権が存在すること、および、②代理人が、本人に効果を帰属させることを明らかにして意思表示を行い、または、本人に効果を帰属させる旨の相手方の意思表示を受領すること(代理行為)が必要です。意思表示をする(または受ける)のは、本人のためであることを明らかにすることを顕名(けんめい)といいます。

《用語の意味》

顕名…代理人が、本人のために代理行為を行うことを示すこと。
代理行為…代理人が、本人のためにすることを示してする行為。
代理権…代理人の地位のこと。

 

代理人~どんな場合に代理人になるの?~

1. 代理人を選ぶには?

代理人は、どのようにして代理権が与えられるのでしょうか。
法定代理においては、本人と一定の関係にある者が法律上当然に代理人になる場合(たとえば、未成年者の父母など)、一定の者の協議または指定によって代理人に選ばれる場合(父母の協議による親権者など)、裁判所によって選任される場合(後見人など)などがあります。

任意代理においては、代理権は、本人の代理権を与える行為(代理権授与行為と呼ぶことがあります)によって発生します。通常は、委任契約や雇用契約、請負契約、組合契約などに伴って行われます。

 

2. 誰でも代理人になれるの?

代理人は、意思能力さえあれば、制限行為能力者(未成年者など)でもかまいません。代理人の行った契約等の効果は、すべて本人に帰属するので、代理人に不利益が生ずることがないからです。本人があえて制限行為能力者を代理人に選んで、本人自身が不利益を受けたとしても、自己責任ということです。したがって、本人は代理人が制限行為能力者であるという理由で、代理人の行った契約等を取り消すことはできません。

未成年者が法定代理人の同意を得ずに、代理人になる契約を結んだような場合は、制限行為能力を理由にその代理人になる契約を取り消すことができます。

 

3. どんな場合に代理権が消滅するの?

代理権は、本人や代理人が死亡した場合などに消滅します。本人の地位や代理人の地位は相続しません。その他、信頼関係がなくなるような事情が発生した場合に代理権は消滅します。

代理権消滅原因

代理権消滅原因

※1 委任契約は、委任者と受任者との間の信頼関係に基づいて成立するものであるため、特に理由は必要とせず、いつでも、どちらからでも解除することができる。
※2 新たに代理権を与える場合は、代理人が制限行為能力者や破産者でもかまわないが、代理人になってから、こうした事情が発生した場合には代理権は自動的に消滅する。

 

過去問ではこのように出題されている

【問2】

Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。(2018年度)

1:Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果はAに帰属する。

2:AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。

3:BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。

4:AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。

正解:4

1 ×

代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知り、または知ることができた場合に限り、民法93条但書の規定(心裡留保)を類推適用して、本人はその行為についての責任を負いません(最判昭和42年4月20日)。本問の場合、Bは、代金着服の意図で代理権の範囲内の行為をしています。そして、Cがその意図を知っていたとあるので、Aはその行為についての責任を負いません。つまり、本件契約の効果はAに帰属しません。

2 ×

代理人は意思能力さえあればよく、行為能力者でなくてもよいので(民法102条)、代理権を授与するときに制限行為能力者であっても代理人にすることができます。したがって、被補助人のBは、有効に代理権を取得することができます。

3 ×

同一の法律行為(契約などのこと)について、当事者双方の代理人となることは、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為などを除き、原則として禁止されています(民法108条 双方代理)。本人や当事者の利益を害するおそれがあるからです。法的な効果としては無権代理になります。本問の場合、Aの許諾を得ていれば無権代理とはなりません。したがって、Aの許諾の有無にかかわらず本件契約が無効となるわけではありません。

4 〇

代理人は行為能力者であることを要しません(民法102条)。しかし、代理人が後見開始の審判を受けると代理権が消滅します(民法111条1項2号)。したがって、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となります。

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宅建試験を知りつくす不動産取引法務の専門家。株式会社Kenビジネススクール代表取締役社長。2004年に設立した同社は登録講習、登録実務講習の実施機関として、国土交通大臣の登録を受けている。うかるぞ宅建士シリーズ、サクッとうかる宅建士シリーズ他多数の書籍を執筆。スタケン初代講師、企業研修の講師(2018年度において合格率100%の実績がある)としても幅広く活躍している。

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