権利関係

【改正民法対応】「 物権変動 」はこれで解決!|WEB宅建講座スタケン

投稿日:2020年4月21日 更新日:

こんにちは!

前回は宅建士の出題範囲から「意思表示」についてお伝えしました。

2回目となる今回は「物権変動」について、ご紹介します。

物権変動においては、問題を解きながら相関図を書く癖をつけることが大切です。

その上で、一番保護されるべき登場人物は誰なのかについて考えていくようにしましょう。

所有権の移転とは

「権利関係」の記事でも触れましたが、ここでは所有権の移転時期について簡単に復習しておきましょう。

所有権は両者の意思表示が合致したときに移転します。

上記の図でいえば、Bさんは契約の瞬間に「この土地は自分のものだ」と主張することができます。

その際、登記を備えているか否かは特に関係がありません

相続が生じた場合

では、上記の図においてBさんがAさんと売買契約を締結してすぐにAさんが亡くなってしまい、Aさんから土地を相続したCさんがBさんに土地の引き渡しをすることなく、当該土地の登記を済ませてしまった場合はどうなるでしょうか。

この場合において、相続人は権利や義務をそのまま引き継ぐと解釈されます。

そのため、Aさんが負っていた義務を当然Cさんも負うことになり、Bさんは登記なしでCさんに対して土地の所有権を主張することが可能です。

二重譲渡による物権変動について

所有権の移転についておさらいしたところで、ここでは二重譲渡についてご説明します。

二重譲渡とはその名の通り、一つしかない土地や建物に対して2人以上の人が争った場合のパターンのことです。

二重譲渡では「登記」の先後が重要となります。

たとえば次のような場合ではどうでしょうか。

Bさん:4/1にAさんと土地の契約を結んだ。

Cさん:4/10にAさんと土地の契約を結び、4/15に所有権移転登記を備えた。

この場合において、土地はCさんのものになります。

契約だけでいえば、BさんのがCさんより早いものの、Bさんは登記を備えていません。対するCさんは契約ならびに登記を済ませています。

民法においては先に登記を済ませたほうを勝ちとしていることから、契約の前後ではなく、登記の先後で決着がつくことを押さえておきましょう。

第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

登記がなくても対抗できる場合がある

民法第177条における第三者には次に該当する人は含まれず、登記を有していなくても所有権を対抗することができます。

  • 背信的悪意者:詐欺や強迫によって登記の申請を妨げた者
  • 不法占拠者:権利がないにも関わらず、不法に土地を占拠している者
  • 無権利者:虚偽表示によって土地の移転を受けた者、無権利者から登記の移転を受けた者

第三者との物権変動

ここでは第三者との物権変動について、パターン別に見ていきましょう。

取り消しによる物権変動

契約の取り消し前に第三者があらわれてしまった場合の扱いについては、前回の「意思表示」の記事でお伝えしました。

その際は登記の有無は関係ありませんでしたが、取り消しをした後に転売が行われてしまった場合は扱いが変わってくるので注意しましょう。

取り消し後に第三者があらわれた場合は、「登記の有無」で決着をつけることになります。

時効による物権変動

また別途取得時効については詳しく解説しますが、簡単に言えば物を一定期間継続して所有し続けるとその物を自分の物であると主張できる制度のことを指します。

この取得時効が完成する前に、売買が行われた場合には取得時効を完成させた方が勝ちとなるため、登記は特に求められません。

対して、取得時効の完成後に第三者があらわれた場合には登記を先に備えたほうが勝ちとなります。

解除による物権変動

契約の解除の場合には、解除前であっても解除後であっても先に登記を備えたほうが勝ちとなります。

共同相続による物権変動

AさんとBさんが土地を共同で相続したのに、Bさんが単独で土地の相続をしたものとして登記を済ませ、Aさんに無断で第三者のCさんに土地を売却してしまった場合はどうでしょうか。

この場合において、BさんはAさんの持ち分については無権利者となります。

そのため、CさんもAさんの持ち分においては無権利者となることから、Aさんは土地の登記がなくてもCさんに自身の持ち分を主張することが可能です。

遺産分割による物権変動

遺産分割による物権変動とは、以下のようなケースです。

  1. AさんとBさんが土地を共同で相続した
  2. 遺産分割協議によって土地はAさんの単独所有となった
  3. BさんがAさんの単独所有を知りながらも、自身の持ち分について登記を行った
  4. Bさんが登記を備えた自身の持分を勝手にCさんに売却してしまった

この場合、BさんはAさんに対して自身の持分を渡さなければならず、売ってしまったCさんに対しても土地を渡さなければならないという状態に陥ることになります。

上記は二重譲渡と同じ状態となることから、先に登記を備えたほうが勝つことになります。

相続放棄による物権変動

AさんとBさんが土地を共同で相続したものの、Bさんは相続を放棄したとします。

しかし、Bさんが放棄したあとに自分の持分があるかのような登記をして、Cさんに土地を売ってしまったらどうでしょうか。

この場合、相続放棄によってBさんは最初から相続人でなかったこととなり、いわば無権利者となります。

そのため無権利者から土地を譲渡されたCさんも無権利者とみなされることから、Aさんは登記なしでCさんに土地の所有を対抗することが可能です。

まとめ

今回は「 物権変動 」について、お伝えしました。

先にも述べましたが、相関図を書いて問題を整理しながら、保護されるべきは誰なのかを考える癖をつけるようにしましょう。

特に登記の先後で勝ち負けが決まるパターンと、登記なくして対抗できるパターンが混同しやすいことから、その都度丁寧におさえるようにしてください。

次回は「代理」について解説します。

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織瀬ゆり

織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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