権利関係

【改正民法対応】「 時効 」はこれで解決!|WEB宅建講座スタケン

投稿日:2020年4月28日 更新日:

こんにちは!

前回は宅建士の出題範囲から「代理」についてお伝えしました。

権利関係の第4回目となる今回は、「 時効 」について取り上げていきます。

ニュースや新聞などで時効という単語自体には馴染みがあるかもしれませんが、しっかりと内容を捉えておかないとケアレスミスを招きかねません。

主に「取得時効」と「消滅時効」の2つについて説明をしていますので、しっかり違いを理解していくようにしてくださいね。

そもそも時効制度とは

「もうあの約束は時効だよね?」なんてセリフを、きっと誰しも一度は耳にしたことがありますよね。

時効には時間の経過によってそれまで有していなかった権利を得る取得時効と、時間の経過によってそれまで有していたはずの権利を失う消滅時効とが存在します。

さっそくそれぞれの時効について、見ていきましょう。

取得時効について

取得時効とは、物を一定期間継続して占有するとその物の権利を取得できることを指します。

民法 第162条
①20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
②10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

つまり、占有開始時に善意無過失の場合は10年善意有過失・悪意の場合は20年の間占有を継続すると権利を得ることができるといえます。

上記にある「所有の意志をもって」とは、あくまでも自分の所有物であるかのように占有するケースを表し、借りて住んでいる場合は含まれないことにも注意しましょう。

また、所定の年数をあなた自身で占有し続けなければならないという決まりはなく、他人に貸していたとしても占有を継続したものとみなされます。

消滅時効とは

消滅時効とは、時間の経過によってある権利が消滅してしまうことを指します。

一般的に10年が経つと消滅時効が成立しますが、所有権は消滅時効にかからないので注意しましょう。

また、消滅時効の起算点は次のとおりです。

時効は遡って成立する

時効が成立すると、時効の効果は起算日に遡って有効となります。

時効の更新と完成猶予について

時効の更新とは時効の完成を止める制度のことで、民法改正前は「時効の停止」「時効の中断」などと呼ばれていました。

また、時効期間が経過した後であっても、一定期間において時効の完成をストップさせることを時効の完成猶予といいます。

完成猶予や更新が発生する条件とは

時効の更新や時効の完成猶予が発生する条件として、次の事由が挙げられます。

  • 裁判上の請求
  • 催告(裁判外の請求)
  • 承認

裁判上の請求とは、裁判所に訴えた時点で時効の完成猶予が生じます。仮に裁判が長引いてしまったとしても、時効の完成が生じることはありません。

催告は内容証明郵便などがあげられ、相手に対して債務の履行を求めた時点で6カ月間にわたる時効の完成猶予が生じます。

承認は、債務者が「私は確かに債務を負っている」と自ら認めた場合に時効が更新します。具体的には債務の一部を弁済したり、支払い猶予請求をしたりすることが承認とみなされます。

時効の援用と放棄

時効が完成したからといって、時効の効果が当然にあなたに帰属するわけではありません。

時効の効果を発生させるためには、「援用」や「放棄」といった行動が必要となります。

時効の援用

時効の援用とは相手に対し、「消滅時効が完成したから、もう残りのお金は返さないよ!」などといった意思表示をすることをいいます。

口頭で伝えても有効とはなりますが、一般的には内容証明郵便などを用いることがほとんどです。

また、時効の援用を行うことができる人は、時効によって直接利益を享受する人に限られています。

そのため、債務者のみならず、保証人も援用することができるので覚えておきましょう。

時効の利益の放棄

時効の利益の放棄とは相手に対して、「時効が完成したけれど、あなたに借りていたお金はきちんと返します。(時効の利益を放棄します)」といった意思表示をすることを指します。

時効の利益の放棄は時効完成前に行うことはできず、あくまでも時効が完成して初めてなせる意思表示です。

また、時効が完成した後に債務者が時効の完成に気づかず「借りたお金は近日中に返すね!」などと承認をした場合、時効の援用をすることは認められません。

本試験問題で確認しよう

AのDに対する債権について、Dが消滅時効の完成後にAに対して債務を承認した場合には、Dが時効完成の事実を知らなかったとしても、Dは完成した消滅時効を援用することはできない。(平成17年 問4)

回答:〇

まとめ

今回は時効の中から、「取得時効」と「消滅時効」を中心にお伝えしました。

時効においては民法改正に伴って言葉が一部変わっているものの、基本的な内容に変更はありません。

特に消滅時効の開始時期については、よく試験で問われるポイントでもありますので、起算がいつになるのかきちんと覚えておいてくださいね。

次回は5月となりますが、「連帯保証」および「保証債務」について解説します。

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織瀬ゆり

織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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