初心者が宅建試験に挑戦!今回は毎年一問出題される「 建物区分所有法 」をマーキング!
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前回は占有権と所有権に続き「共有」について学びました。
今回のテーマは「建物区分所有法」。宅建試験ではほとんど毎年出題される超重要分野です!
区分所有法って何?
区分所有法とは、「分譲マンションのように一棟の建物内で構造上独立して区分された部分(部屋など)を複数人がそれぞれ所有する場合、廊下や階段、敷地といった共同で使う部分の管理など、その建物を所有者全員がトラブルなく使えるよう定めた法律」と言えます。
正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。マンション法とも呼ばれるそうです。
ちなみに、生まれは1962(昭和37)年。
昭和の東京オリンピックが開催される2年前ですね。高度経済成長期に分譲マンションが爆発的に増えたことで、分譲マンションの増加を想定していなかった旧民法を補う形で定められたという経緯があります。
もちろん、法律ができたということは、それだけトラブルが頻発したということ。赤の他人が大勢で一所に暮らすとなると、ルールがない限り争いは避けられません。
例えば、共同の設備が壊れた場合の対応とか、建物が古くなった時の大規模修繕をどうするかとか、喫煙所をどこに設けるかとか。同じ建物で暮らす以上、争いの火種があちこちにありますので、ルールを定めてトラブルが起きるのを極力抑える必要がありました。
そうした時代の要請を受けて誕生したのが区分所有法というわけです。
専有部分と共用部分
マンションは大きく「専有部分」と「共用部分」に分かれています。
専有部分とは、マンションの中で個別に区分された住居や店舗などの独立空間を指します。102号室とか502号室とかをイメージすればわかりやすいと思います。この専有部分を購入すると、専有部分の所有権(区分所有権)を取得し、晴れて区分所有者となります。
一方、共用部分とは専有部分以外の所で、区分所有者が共同で利用する場所を指します。
共用部分には「法定共用部分」(壁・屋根など建物の主要構造部分、廊下・階段・玄関など構造上共用とされる部分)と、「規約共用部分」(管理人室・集会室・物置など本来は専有部分となる所で規約により共用とされる部分)の2つがあります。
法定共用部分は、構造上、区分所有者の全員が使うようにできている部分なので、規約によって専有部分とすることはできません。
また、規約共用部分は、いくら規約で定めていても登記をしていなければ第三者に対抗できません。
例えば、喫煙ルームとしていた規約共用部分の101号室の登記がなかった場合、分譲主が倒産した時に101号室の所有権が第三者に移ってしまったら、マンションの住人は101号室を規約共用部分として主張できないことになります。けっこう深刻な事態ですよね…。
管理組合と管理者
分譲マンションなどの区分所有建物には、建物の維持管理などをするために必ず管理組合という団体が置かれることになります。
構成員は区分所有者すべて。
区分所有者になると自動的に管理組合の構成員となり、区分所有者である限り脱退はできないという特徴があります。
ただ、何十人、何百人と構成員がいる管理組合です。
建物の維持管理など、意思決定や実行を全員でやるというのは現実的ではないですよね。
そこで、区分所有法では、管理組合は集会(総会)を開き、そこでの決議によって管理者(区分所有者の代表者)を選ぶことができるとしています。管理者は共用部分や共有の敷地・付属施設の管理、集会で決まったことの実行を担うことになります。
注意したいのは、管理者になる者は必ずしも区分所有者でなくてもいいということ。
ですから、管理者には分譲会社や管理会社などが選ばれる場合もあるようです。
集会の原則
集会は管理者が招集することになります。頻度は、少なくとも毎年1回となります。
集会を行う際は招集の通知を出すことになりますが、会日より最低でも1週間前に、会議の目的となる事項を示して区分所有者全員に発しなければなりません。
ただし、区分所有者全員の同意がある時は、招集の手続きを経ないで集会を開くことができます。
議決権と区分所有者
さて、管理組合が集会を開き、何かを決める時、多数決を行うことになります。
区分所有法によると、管理組合の集会において通常の議案を議決する場合には、「区分所有者の過半数」かつ「議決権の過半数」の賛成で可決することができる、としています。
区分所有者の過半数と言えば、例えば区分所有者が100人いた場合、51人からになります。
では、議決権とは何でしょう。
これは、区分所有者の持ち分(それぞれが持つ専有部分の床面積の割合)を指します。
例えば、全体の床面積を100%とした時、そのうち区分所有者Aが40%、Bが30%、C・D・Eがそれぞれ10%を持ち分としている場合、AとBの二人が賛成すれば70%となり半分を超えますので、要件を満たすことになります。
共同生活のルール「規約」
同じ建物内で共同生活を送る時に欠かせない明確なルール。
そのルールを規約と呼び、区分所有法の中で様々な規定が設けられています。
規約は、原則として集会の決議により設定されることになります。
要件は区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成を得ること。区分所有者が100人いるとすると、75人以上、かつ75%以上の持ち分を有する者たちの賛成が必要になります。(規約の設定に限らず、変更や廃止の場合も同じです)
ただし、規約の設定が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合は、その承諾を得なければならないとしています。
例えば、マンションでのペット飼育を禁止する規約を定める時、ペットを飼っている一部の人たちが承諾すれば可決されることになります。
うーん、なかなか大変ですね。
公正証書で規約設定
では、新築の分譲マンションで規約を定める場合はどうなるのでしょうか。
区分所有者がいない状況では、集会の決議によって規約を定めることはできません。そこで分譲業者のように、最初に建物の専有部分すべてを所有する者は、一定の事項を規約として単独で設定することが認められています。
例えば、規約共用部分(管理人室、倉庫、集会所など)がこちらで、規約敷地(通路、駐車場など)はあちらといった具合です。
ただし、規約はとても大事なルールです。内容に客観性を持たせるために、最初の規約は公正証書によって作成し、登記しておく必要があります(第三者に対抗するため)。
規約の保管
規約は書面または電磁的記録(パソコンデータ)で作成し、原則として管理者が保管するものと定められています。
ただし、管理者がいない場合は、区分所有者やその代理人で、規約あるいは集会の決議で定める者が保管を担います。
また、保管場所は、区分所有者やそれ以外の利害関係人が容易に閲覧できるように、どこに保管しているのかを建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。
ただ、「規約をどこそこに置いていますよ」と各区分所有者に通知する義務まではありませんので注意しましょう。
決議事項のポイント
最後に、宅建試験的に覚えておきたい決議事項と決議要件を表で示します。
区分所有者が単独でできる場合、はたまた過半数や4分の3(75%)、5分の4(80%)といったふうに異なる割合の賛成が必要な場合とそれぞれ分かれていますので、しっかり覚えておきましょう。(※表はスタケン講師・田中先生のテキストを参照しています)
単独 | 建物の価格の半分以下が滅失した場合の共用部分および自己の専有部分の復旧(復旧・建替えの決議があった場合は除く) |
過半数 | 共用部分の軽微な変更(その形状または効用の著しい変更を伴わない変更行為) |
建物の価格の半分以下が滅失した場合の復旧決議 | |
4分の3(75%)以上 | 建物の価格の半分以上に相当する部分が滅失した場合の復旧の決議 |
共用部分の重大な変更(その形状または効用の著しい変更を伴わない変更行為を除く) | |
5分の4(80%)以上 | 建替え決議 |
さて、宅建試験に毎年出題される「建物区分所有法」について見てきましたが、お分かりいただけたでしょうか。
最後に例題を解いて、さらに理解を深めていきましょう!
例題1.管理者の選任
【解説】
正解は「 × 」
任期について特に規定はありませんので、本問は×となります。区分所有者は集会の決議によって管理者の選任し、辞めさせることもできます。
例題2.規約の設定等
【解説】
正解は「 × 」
規約の設定、変更または廃止を行う場合は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によらなければなりません。従って、本問は×となります。
例題3.規約の保管
【解説】
正解は「 〇 」
規約の保管場所は、区分所有者や利害関係人が容易にわかるように、「どこに保管しているのか」を建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。従って、本問は〇となります。
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それでは、今回はここまで。
宅犬ハッピーでした~♪
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条文で見る「 建物区分所有法 」
※ここに掲載している条文は同法の一部です。
第1条
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
第2条
- この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第4条第2項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
- この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
- この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
- この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第4条第2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
- この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第5条第1項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
- この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
第3条
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
第4条
- 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
- 第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

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