学習記録 権利関係

【独学で宅建合格】契約取消の条件は? 第三者が絡む「 詐欺・強迫 」

投稿日:2022年1月31日 更新日:

第三者が絡むと急に難しくなる権利関係。今回のテーマは「 詐欺・強迫 」。

 




今年こそ宅建合格をつかみ取りたい「崖っぷちすぎる受験生」のブログにようこそ。

前回は「第三者が絡む心裡留保」について勉強しました。今回は「詐欺・強迫」当事者間では契約の【取り消し】を主張することができる、初心者にも理解しやすい簡単な奴らです。

スタケンの問題でもそうですが、なんてったって、詐欺・強迫は二つあるのに、単元では一つにまとめられがちですからね。「詐欺です~、強迫です~、二人合わせて【詐欺・強迫】です~」。がはは。ふん、ちょろい奴らですね!

詐欺・強迫

……
………ええ、そう思っていた時期が私にもありました。

改めてね、第三者が絡むと本当に厄介だって思い知りましたよ。ちょろかった「詐欺・強迫」も第三者を加えると突如レベルアップ! 過去問の前で黙り込む私…。彼らは驚きの進化を遂げてしまいました。

すれ違う詐欺・強迫

当事者間では、いつだって本人は契約取り消しを主張できた「詐欺・強迫」

あんなに仲の良かった「詐欺・強迫」は、第三者が絡むと一転、ある点において悲しい《違い》が生まれます。次の例を見てみましょう。

 

例.詐欺と強迫の違い

売主Aは、買主Bに騙されて(または強迫されて)、所有する甲土地をBに売る契約をしてしまった。
その後、Bは善意・無過失の第三者Cに土地を売却した。

「詐欺・強迫」の違いとは、「どこまで本人が保護されるか」という点にあります。

民法は弱い者の味方をしたいわけです。騙されたり脅されたりする本人も守りたい。でも、甲土地を買った第三者の利益も守りたいのです。

だから、どちらかを優遇するために、両者のどこかに責任を見つけなければいけません。

正義

民法の考え方はこうです。

【詐欺】
だまされる側にも責任があるよね? いや、あるんだよ。だから、第三者が善意・無過失なら、本人は第三者に契約の取り消しを主張できないよ!

【強迫】
強迫は暴力みたいなものだよ。だから、本人を絶対守りたい! 第三者が契約した? 善意・無過失だからって知らねぇな! 強迫された本人を救うんだよ。だから、本人は第三者が善意・無過失でも契約取り消しを主張できる!

お分かりいただけたでしょうか。

つまり、「詐欺の場合、本人は、第三者が善意・無過失なら契約を取り消せません」。でも、「強迫なら第三者が善意・無過失であっても本人は契約を取り消せる」というわけです。

 

民法改正で変わったこと

ところで、2020年4月の民法改正では、詐欺における第三者の保護要件に変更がありました。

改正前は、【善意の第三者に対抗できない】となっており、「無過失」まで要求されていませんでした。しかし、民法改正により【第三者には善意だけでなく無過失を要求すべき】と変更に。

先ほど、詐欺の場合、「本人は善意・無過失の第三者に契約の取り消しを主張できない」と書きましたよね。

それでは、第三者が善意・有過失だった場合はどうなるのでしょう…。その答えが、民法改正で定められたわけです。

改正

第三者が善意・有過失だった場合

どうでしょう、分かりますか。

第三者の保護要件に「無過失」を加えた民法改正。つまり、有過失なら、第三者は保護要件を満たしていませんので、本人は契約取り消しを主張できるわけです。だまされた本人にも落ち度があるかもしれません。しかし、第三者にも過失がある。それなら本人は第三者に対抗できていいよね…、というわけです。

どちらを守るか。民法さんも大変ですね。どちらも可哀そうでも、どうにか白黒つけなきゃいけません。だから、揚げ足でも取るかのように、たとえ被害者でもどこかに落ち度を見つけなければならないのです。

では、最後に例題を解いて理解を深めていきましょう。

 

例題1.第三者が絡む詐欺

売主Aは、買主Bに騙されて、所有する甲土地をBに売る契約をしてしまった。その後、Bは善意・無過失の第三者Cに土地を売却した。
詐欺に気付いたAは、甲土地を取り戻すために、第三者Cに契約取り消しを主張できる。

 

【解説】
正解は「 ×
詐欺の場合、第三者が善意・無過失なら、本人は契約取り消しを主張できません
だまされた側にも落ち度があると考えると、第三者の利益と天秤にかけたとき、天秤の皿は第三者側に傾くわけです。

詐欺

例題2.第三者が絡む強迫

売主Aは、買主Bに強迫されて、所有する甲土地をBに売る契約をしてしまった。その後、Bは善意・無過失の第三者Cに土地を売却した。その後、Aは甲土地を取り戻すために、第三者Cに契約取り消しを主張できる。

 

【解説】
正解は「
強迫の考え方は単純ですね。詐欺は本人次第で騙されなかった可能性がありますが、強迫は無理。暴力みたいなものですから、本人には回避できません。

つまり、強迫された可哀そうな本人を守るために、第三者が善意・無過失であろうが契約取り消しを主張できることになるのです。

強迫

例題3.第三者が有過失

売主Aは、買主Bに騙されて、所有する甲土地をBに売る契約をしてしまった。その後、Bは善意の第三者Cに土地を売却した。
この時、第三者CがAB間の詐欺を気付ける状況にあったにもかかわらずBと契約をしていた場合、Aは、甲土地を取り戻すために第三者Cに契約取り消しを主張できる。

 

【解説】
正解は「
第三者は、たとえ善意であれ、知らなかったことに客観的な過失が認められる場合、本人から契約を取り消される可能性があります。

立場を変えて言うと、善意の第三者に過失があれば、本人は第三者に対抗して契約取り消しを主張できるわけですね。

ここは民法改正による変更点で、とても大切なポイントと言えます。しっかり押さえておきましょう。

学習

 

使っている教材の紹介

ちなみに、数ある宅建教材のなかで「崖っぷちすぎる受験生」が使っているのはスタケン宅建講座というゴリラマークの教材です。

なぜゴリラなのかは謎ですが(笑)、ゴリラマーク以外で一番の魅力はやはりコスパ。大手予備校とか通信講座とかだと、受講料や教材費で20万円近くかかりますからね…。一方、スタケンは3万円前後で試験対策ができてしまうので、かなり安い方だと思います。

しかも、「合格したら、受講料を全額返金」してくれるのは嬉しいですね!

これから教材を揃える方はぜひ検討してみてください(/・ω・)/
他ブログでもスタケンの紹介があったので参考までに。

それでは、今回はここまで。次回は「表示の錯誤と動機の錯誤」について振り返ります。

 




条文で見る「 詐欺・強迫 」

第96条

  1. 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
  2. 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
  3. 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

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