権利関係

「代理」はこれで解決!【宅建権利関係】

投稿日:2020年4月24日 更新日:

こんにちは!

前回は宅建士の出題範囲から「物権変動」についてお伝えしました。

3回目となる今回は「代理」について、取り上げます。

代理はきちんと理解できさえすれば、確実に得点源となる出題分野でもあります。

代理制度はもちろん、表見代理無権代理についてもまとめていますので繰り返し学習し、本番で力を発揮できるようにしましょう。

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そもそも代理制度とは

代理とは、本人に代わって代理人が契約の締結等を行うことを指します。

たとえばAさんはCさんと売買契約を締結したいと思っていたものの、忙しくて都合が合わない日が続いていました。そこでAさんは代理人Bに頼んで、Cさんとの契約をお願いしたとしましょう。

この場合において、代理人BがCさんと売買契約を交わすことになりますが、その契約の効力自体はAC間に帰属します。代理人が行ったことは本人に帰属する、いわば代理人が行った行為は本人が行ったものであると見なすことに。

そしてこの代理が有効なものとして認められるためには、次の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 代理権があること
  2. 代理権が顕名(本人の代理であると相手に示す)をすること
  3. 代理行為が行われること

顕名がされなかった場合の扱い

顕名とは、代理人が本人の代わりであることを相手方に示すことを指しますが、もし顕名がないままに契約が締結されてしまった場合はどうなるのでしょうか。

上記の例でいえば、代理人BがCさんに対して顕名をしなかった場合において、Cさんが善意無過失であれば、契約はBC間で結ばれることとなります。(CさんはBがAさんの代理であると知らないため)

一方で、Cさんが悪意あるいは善意有過失の場合には、契約はAC間で成立します。

代理人の行為能力について

制限行為能力者であっても代理人を務めることは可能です。

図を使って、一緒に見ていきましょう。

上図の場合において、Bさんが未成年者であることを理由にAさんはAC間の契約を取り消すことはできるのでしょうか。

このケースにおいて、Bさんを代理人として選任したのはAさんです。また、Bさん自身が特に何か不利益を被ったわけでもありません。

そのため、AさんはBさんが未成年者であることを理由にAC間の契約を取り消すことはできません。

また、Bが代理人となって締結した契約について、法定代理人の同意が求められることもありませんので、あわせて覚えておいてください。

代理人の種類

代理には、次の2種類が存在します。

  • 法定代理:法律によって当然に代理権が付与される場合
  • 任意代理:本人が自らの意志で他者に代理権を与える場合

代理権の消滅

次のような場合に、代理権は消滅します。
(〇は消滅、×は消滅せず)

無権代理

無権代理とは代理権がないにも関わらず、代理人として代理行為を行うことを指します。

たとえば、無権代理人BがAさんに代わってCさんとの間で売買契約を締結したとしましょう。

この場合において、Bさんは代理権を有していないことから当然、AC間に効力は発生しません。よって、無権代理は無効となります。

とはいえ、たまたまAさんが当該土地を手放したいと考えていて、Bさんが都合よく売買契約を締結してきてくれたパターンもあるでしょう。

そのような場合、Aさんは追認をすることで契約を有効とすることができます(追認をすると契約時に遡って有効となります)

無権代理における相手方の保護

追認されればともかく、相手からしたら無権代理による契約というのはなかなかに迷惑な話ですよね。

そこで、無権代理の相手方を保護するための制度が存在します。具体的にはCさんは次の3つの権利を主張することができます。

  • 催告権:CさんはAさんに対し、無権代理人Bが行った契約を追認するか催告することができる。Aさんから返答が得られない場合は追認拒絶となる。また、CがBの無権代理行為に関して悪意であった場合でも催告は可能。
  • 取消権:CさんはAさんに対して契約の取り消しを主張することができる。ただし、Cさんが善意のときに限られ、Aさんが追認をしたあとは主張することができない。
  • 履行請求・損害賠償請求:無権代理行為が無効となったことで、Cがなんらかの不利益を被った場合、無権代理人Bにたいして履行請求または損害賠償請求をすることができます。ただし、Cが善意無過失の場合に限られます

無権代理と相続

無権代理がなされた後に本人が死亡してしまった場合、また無権代理がなされた後に無権代理人が亡くなった場合において、それぞれどのような扱いになるのか図で確認しておきましょう。

本人が死亡して無権代理人が本人を相続した場合

無権代理人が塩生して本人が無権代理人を相続した場合

表見代理

表見代理とは、無権代理であるにも関わらず相手方からは代理権があるように見えてしまい、その落ち度が本人にある場合には契約を有効とする仕組みのことを指します。

表見代理は本人の落ち度に加え、相手方の善意無過失という要件が揃ってはじめて成立するものと覚えておきましょう。

まとめ

今回は代理の仕組みおよび、「無権代理」と「表見代理」についてお伝えしました。

先にも述べたように、代理における人間関係を明確にしたうえでポイントをおさえることができれば、確実に得点することができる分野となっています。

宅建士の試験では問題文がやたら長い肢も見受けられますが、臆することなく一つずつ丁寧に読み解いて正解を導き出すようにしましょう。

次回は「時効」について解説します。

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