権利関係

【宅建民法を攻略】代理業者がさらに代理人を選んだら?~復代理~

投稿日:2019年3月26日 更新日:


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復代理人~代理人がさらに代理人を選任してもいいの?~

代理人がさらに代理人を選任できるの?

たとえば、不動産の売買において、買主が遠方に住んでいた場合、売主から依頼を受けた代理業者がなんども足を運ぶとコストがかかるので、現地の宅建業者に任せた方がよい場合があります。

このように、代理人がさらに代理人を選任することを復代理といいます。代理人によって選任される代理人を復代理人といい、復代理人を選任する代理人の権限を復任権といいます。

自由に復代理人を選任してもよいの?

代理人が本人の代理人を選ぶことができなければ、ちょっと不便なことがおきます。たとえば、契約をお願いされた代理人が契約日に急に病気になった場合などが考えられます。

しかし、だからといって、代理人の学生時代の友達が勝手に代理人として契約を進めるのは、本人がこの代理人だからこそお願いしたという信頼を裏切ることにもなります。

そこで、民法は、法定代理と任意代理とに分けて、各々一定の場合に限って代理人が本人の代理人を選ぶことを認めています。

任意代理の場合は、本人の委託を受けて代理人とされたので、本人が許諾した場合、または、やむを得ない事情がある場合に限られます。

法定代理の場合は、代理人の意思に関わりなく、また多くの場合本人の意思にもよらずに選ばれるものなので、法定代理人の責任をもって自由に復代理人を選任することができます。

復代理人が選任されると代理人はどうなるの?

復代理人の権限は、代理人の代理権を基礎として成立しています。したがって、復代理権は代理人の代理権の範囲を超えることができません。もし、復代理人が復代理権の範囲外の行為をした場合には、その行為がたとえ代理人の代理権の範囲内であっても無権代理となります。

また、復代理人を選任しても代理人の代理権は消滅しません。そして、代理人と復代理人は同等の立場で本人を代理します。なお、代理人の代理権が消滅すると復代理権も消滅します。

さらに、復代理人は、本人の名で代理行為を行い、その効果は本人に帰属します。一度代理人に帰属した上で本人に帰属するわけではありません。

復代理人の行為について、代理人は責任を負うの?

任意代理の場合、代理人は、復代理人の選任と監督について本人に対して責任を負うのが原則です。ただし、本人の指名に従って復代理人を選任したときは責任を負いません。

例えば、不動産の売却の依頼を受けたA不動産が、依頼主(本人)の指名に基づいてB不動産に復代理権を与えるような場合です。ただ、復代理人のB不動産が実は不適任または不誠実な人で、代理人のA不動産がそのことを知りながら、それを本人に通知したり、復代理人を解任したりすることを怠ったときは責任を負います。

法定代理の場合は、復代理人に過失があれば、法定代理人に過失がなくても責任を負うのが原則です。ただし、やむを得ない事由があるときは、選任と監督責任のみを負います。

 

過去問ではこのように出題されている

【問1】

代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(2017年度)
1:売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。
2:委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
3:復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。
4:夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。

正解:3

1 〇

任意代理人は本人に与えられた代理権の範囲で代理行為を行う権限を有します(民法103条)。売買契約を締結する権限を与えられている代理人は、その売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限もあります。なお、取消権の行使は、契約等と異なり、相手方の同意が要らない法律行為です。

2 〇

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができません(民法104条)。この2つのいずれかを充たすことが要件となっています。

3 ×

復代理人は、特別の事情がない限り、相手方から受領した物を本人に対して引き渡す義務のほか、代理人に対してもこれを引き渡す義務を負いますが、もし代理人に引き渡したときは、本人に対する受領物引渡義務も消滅します(民法107条2項、646条1項、最判昭和51年4月9日)。

4 〇

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為(契約など)をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負います(民法761条)。また、日常家事については、夫婦相互間に代理権もあります(最判昭和44年12月18日)。

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宅建試験を知りつくす不動産取引法務の専門家。株式会社Kenビジネススクール代表取締役社長。2004年に設立した同社は登録講習、登録実務講習の実施機関として、国土交通大臣の登録を受けている。うかるぞ宅建士シリーズ、サクッとうかる宅建士シリーズ他多数の書籍を執筆。スタケン初代講師、企業研修の講師(2018年度において合格率100%の実績がある)としても幅広く活躍している。

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