権利関係

宅建の不動産登記法とは?|重要ポイントや改正点を解説【2024年4月施行】

投稿日:2020年5月26日 更新日:

「宅建は不動産登記法にどのくらい出題される?」
「不動産登記法は難しいって聞くけど、対処法はある?」

宅建試験の受験を考えている方であれば、上記のように頭を抱えている方も多いでしょう。

不動産登記法は「所有者が誰で、どのような物件か」などの情報をハッキリさせるための法律です。

不動産登記法を学習すると、実際の不動産取引・契約の場面で役立ちます。

本記事では、宅建で出題される不動産登記法や不動産登記法の改正点、出題内容とポイント、勉強するコツなどを解説します。

不動産登記法について学び、宅建合格を目指しましょう。

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不動産登記法とは?【宅建に対応】

ここでは不動産登記法を、不動産登記法の概要と宅建で出題される不動産登記法の2つに分けて解説します。

不動産登記法の概要

登記とは権利関係などを公に明らかにするために設けられた制度のことを指し、不動産登記とはいわば不動産の戸籍のようなものです。

不動産登記簿には「どのような建物で、誰が所有しているのか」などが記載されています。

具体的には家を売買したり、相続したりするときに登記が必要となります。

また、建物と土地はそれぞれ別のものとして考えられていることから、建物の登記簿と土地の登記簿が存在します。

登記簿謄本は「表題部」「権利部(甲区・乙区)」に分けられ、それぞれ記載内容が異なります。

  • 表題部:土地や建物の所在や面積に関する事項
  • 権利部 甲区:所有権に関する事項
  • 権利部 乙区:所有権以外の抵当権などに関する事項

宅建で出題される不動産登記法

宅建試験では、大きく4つの出題科目に分けられます。

  • 権利関係(14問)
  • 宅建業法(20問)
  • 法令上の制限(8問)
  • 税・その他(8問)

宅建では、不動産登記法は権利関係に含まれ、権利関係14問の出題数は以下のように分類されます。

  • 民法(10問)
  • 借地借家法(2問)
  • 区分所有法(1問)
  • 不動産登記法(1問)

不動産登記法は宅建試験50問のうち1問と、出題数は少ないです。

また、規定や条文が多く、難易度が高いといわれています。

しかし、宅建試験は1問で合否が180度変わるので、早い時期から勉強を始める場合はしっかり学習しましょう。

不動産登記法の改正点【2024年4月施行】

ここでは、2021年4月に公布、2024年4月に施行される不動産登記法の改正点について解説します。

改正点

不動産登記法の改正点は、以下の通りです。

  • 相続登記に関する改正(2024年4月施行)
  • 住所等変更登記に関する改正(2026年4月施行)
  • 不動産登記の公示機能を改善するための改正(2026年4月施行)

相続登記に関する改正(2024年4月施行)

旧不動産登記法では、相続登記の申請は義務化されていませんでした

そのため、相続を受けた不動産の価値が乏しく、売却できないような場合には登記の手間・費用を無くすために物件が放置されることも少なくありませんでした。

そこで、今回の改正で以下のように定められました。

・相続や遺贈により不動産を取得した場合、相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。(以下「相続開始登記」)(不動産登記法76条の2第1項)
・遺産分割が成立した場合には遺産分割の日から3年以内にその内容を踏まえた登記申請をしなければならない。(不動産登記法76条の2第2項、76条の3第4項等)

正当な理由がないのに申請を怠った場合は、10万円の過料が請求されます。

住所等変更登記に関する改正(2026年4月施行)

級不動産登記法では、不動産所有者の住所変更や氏名等の変更申請は任意とされていました。

しかし、今回の改正によって、所有権の登記名義人に対し、住所・氏名等の変更日から2年以内に申請することが義務化されました(不動産登記法76条の5)

住所等変更登記申請義務については、正当な理由がないのに申告を怠ったときは、5万円以下の過料となります。(不動産登記法164条2項)

不動産登記の公示機能を改善するための改正(2026年4月施行)

旧不動産登記は、公示機能を高めるために、以下のような改善がされました。

  1. 登記の抹消手続の簡略化
  2. 所有不動産記録証明制度の創設
  3. 所有権の登記名義人が海外に移住した際の国内連絡先の登記
  4. DV被害者等の保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例

「1」は、登記の抹消手続が行われず、実際とは異なる登記が残ってしまうリスクを下げるためです。

「2」は、相続人が被相続人名義の不動産を把握しやすくするための制度です。

「3」は、国際化が発展する中で、国内物件の海外投資家が増加傾向にあり、その物件の所在を把握するための制度です。

「4」は、旧不動産登記法では、第三者に住所を知られると生命・身体に危険が及ぶ恐れのあるDV被害者に対して、前住所を登記として認めたりする取り扱いが許されていました。

しかし、今回の改正によって、DV被害者についても相続登記や住所変更等登記の申請が義務化されたことに伴い、DV被害者保保護の措置を法制化する必要が生じました。

改正内容は多いですが、全て現存の不動産登記法を効率化・改善するためのものなので、「何のために改正されたのか」を理解すると、改正の内容について理解できるようになるでしょう。

宅建に出題されやすいポイント

宅建に出題されやすいポイントは、以下の通りです。

・買戻し特約に関する登記について、登記権利者は、契約日から10年を経過したとき単独で当該登記の抹消を申請することができるようになりました(★★)

・遺贈による所有権移転登記は登記権利者及び登記義務者が共同して行うとされていましたが、相続人に対する遺贈に限り、登記権利者の単独申請が可能となりました(★★)
引用:2023年(令和5年)の宅建法改正情報 | 幸せに宅建に合格する方法

登記の抹消や登記権利者の単独申請といった、覚えるのが難しい内容が出題されやすいです。

また、期間や過料の金額といった数字面もひっかけ問題として出題されやすいので、注意しましょう。

【宅建】不動産登記法の出題内容とポイント

【2023年宅建試験対策】相続制度の見直し

不動産登記法は複雑な内容が多いので、出題内容とポイントを押さえることが重要です。

ここでは、不動産登記法を5つに分けて出題内容・ポイントを解説します。

  • 登記簿の作成
  • 権利の順位
  • 登記の申請期限・手続き
  • 仮登記
  • 土地の合筆・文筆

登記簿の作成

不動産の登記簿は、「表題部」「権利部(甲区・乙区)」に分けられ、それぞれ記載内容が異なります。

  • 表題部:土地や建物の所在や面積に関する事項
  • 権利部 甲区:所有権に関する事項
  • 権利部 乙区:所有権以外の抵当権などに関する事項

表題部には不動産を特定するための要件が記載され、土地は所有・地目・地積、建物は所有・家屋番号・構造・種類・床面積等が記載されます。

権利部は甲区と乙区に分かれ、甲区は所有権、乙区は所有権以外の抵当権などに関する事項が記載されます。

権利の順位

権利部の一番左には順位番号、権利部の真ん中には受付年月日と受付番号が記載されています。

順位番号は甲区、または乙区に着目して登記された権利の順番が記されています。

受付番号は、全体の登記された順番を確認可能です。

甲区または乙区に着目して権利の順位を確認したい時は順位番号、全体を通して権利の順位を調べるときは受付番号を参考にしましょう。

権利の順位は数字が少ないと上になり、高い順位を持つ権利者は債権回収といった権利を行使できるようになります。

登記の申請期限・手続き

表題部の登記申請義務について

表題部については1カ月以内に登記を申請する義務があります。

具体的に、次のようなケースにおいては表題部に情報を載せなければなりません。

例:新たに家を建てた場合に、所有者が「鉄骨2階建ての床面積90㎡の建物を新築しました」と申請する場合

万が一表題部に関して申請がなされない場合、登記官が職権で登記をすることができ、これを「嘱託登記」と呼んでいます。

権利部の登記申請義務について

表題部も権利部も、一部の例外を除き共同申請である必要があります。

つまり、不動産の売買を行った場合には買主と売主が共同して登記申請を行わなければなりません。

権利部の登記申請は義務ではありませんが、権利部に登記をすることが第三者に対する対抗要件となりますので、基本的には表題部とあわせて登記を行うことがほとんどです。

共同申請主義

登記は、先述したように共同申請でなければなりません。

つまりAB間において不動産の売買が行われた場合、AさんとBさんが共同で登記を行う必要があります。

単独で登記申請ができるケースもある

共同申請主義とされている登記申請ですが、次の場合には例外として単独で登記を申請することができます。

  • 相続または合併による登記
  • 判決による登記
  • 仮登記
  • 所有権保存登記
  • 登記名義人の氏名や住所の変更登記

仮登記

仮登記とは、以下の通りです。

  • 本登記に必要な書類がまだ手元に用意できていない場合
  • 第三者に狙われる前にとりあえず登記の順位を確保しておきたい場合

このように、仮で行う登記のことを指します。

仮登記自体に対抗力があるわけではありませんが、後に本登記された場合において仮登記の順位がそのまま本登記の順位となります。

また、仮登記のままでは登記の効力が発生しないため、本登記となることが確定した場合には所定の手続きで登記申請を行わなければならないことを覚えておきましょう。

仮登記の申請および抹消について

原則として仮登記も登記と同じく、権利者と義務者の双方が合同で行うものであると解釈されています。

しかし、仮登記義務者に承諾を得ている場合や、仮登記を命ずる処分等がなされている場合には仮登記権利者が単独で有効に仮登記を申請することができます。

また、仮登記の抹消も原則として共同申請ではあるものの、仮登記名義人が登記識別情報の提供を行うことで単独で行うことが可能です。

登記上の利害関係人においても仮登記名義人の承諾があれば、単独で有効に仮登記の抹消申請が行うことができることもおさえておきましょう。

ここで一度、本試験問題で内容を確認しておきましょう。

仮登記の登記義務者の承諾がある場合であっても、仮登記権利者は単独で当該仮登記の申請をすることができない。(平成20年 問16)

回答:✕

土地の合筆・文筆

土地の合筆とは、複数人に登記されている土地をひとつにまとめることを言い、文筆とは合筆の反対で、ひとつとして登記されている土地を分割し、別の土地として登記することを言います。

合筆または文筆は、表題部所有権または所有権の登記名義人のみ申請できます。

なお、合筆にはいくつかの条件があるので、押さえておきましょう。

  • 互いに接続していない土地
  • 地目が異なる土地
  • 地番区域が異なる土地
  • 所有者が異なる土地
  • 所有者の持分が異なる土地
  • 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地

このように、合筆すると不都合が起きる場合は合筆できないと覚えておきましょう。

宅建の不動産登記法を勉強するコツ

最後に、宅建の不動産登記法を勉強するコツを解説します。

  • テキスト・参考書で基本事項を押さえる
  • 宅建通信講座を受講してわかりやすい講師の説明を聞く
  • 過去問演習を行って宅建試験に対応させる

それぞれ解説します。

テキスト・参考書で基本事項を押さえる

不動産登記法は内容が複雑なので、テキストや参考書で基本事項から押さえましょう。

内容理解が難しい場合は、図解で説明しているテキスト・参考書を選ぶことをおすすめします。

自分に合ったテキスト選びが、宅建合格の近道となります。

宅建通信講座を受講してわかりやすい講師の説明を聞く

不動産登記法は、内容が複雑なのでテキストや参考書では意味を理解しきれない可能性があります。

そこで、宅建通信講座を受講し、わかりやすい講師の説明を聞くのもおすすめです。

過去問演習を行って宅建試験に対応させる

テキストや宅建通信講座によって代替の内容を理解できれば、過去問演習を行って試験問題に対応させる必要があります。

宅建は問題がパターン化されているので、過去問演習を行えば出題傾向が見えてきます。

なお、スタケンは、業界トップクラスに安い受講料とカリキュラム化された講義によって費用を押さえつつ合格を目指せる講座です。

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宅建の不動産登記法まとめ

今回は、宅建の不動産登記法や不動産登記法の出題内容・ポイント、不動産登記法を勉強するコツなどを解説しました。

不動産登記法は複雑で苦手意識を抱きやすい分野ではありますが、繰り返し学習して知識を定着させていきましょう。

2023年度の宅建試験が終了し、2024年度の試験に向けて今のうちから準備していきたいと考えている方は、スタケンがおすすめです。

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