こんにちは!
前回は宅建士の出題範囲から「抵当権」「根抵当権」についてお伝えしました。
権利関係の第9回目となる今回は、「請負」「委任」について取り上げていきます。
請負と委任はどちらも権利関係の中ではあまり出題頻度が高い分野ではありませんが、基本的なところはきちんと理解しておくようにしてください。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
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この記事で学べること
請負とは
請負とは当事者のうち一人がある仕事を完遂することを約束し、他方がその結果に対して報酬を支払うことを約束することで成立する契約のことを指します。
仕事を完成させ引き渡す義務を負う人を「請負人」といい、請負人に対して報酬を支払う義務を負っている人を「注文者」といいます。
そして、請負人が目的物を引き渡すことと注文者が報酬を支払うことは同時履行の関係に立ちます。
また、仕事の完成と報酬の支払いは同時履行の関係にならず、あくまで仕事の完成が先となります。
請負人の担保責任について
請負人が完成させた目的物に瑕疵がある場合、注文者は請負人に対し、下記の権利を行使することができます。
- 建物の補修請
- 損害賠償請求
- 請負契約の解除
- 報酬の減額請求
請負人への担保責任の請求は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質または注文者の与えた指図によって生じたときは、適用されません(ただし、請負人がその材料または指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りではありません)。
また、注文者は請負人が仕事を完成させる前であれば、キャンセルにより請負人が被ることになる損害を賠償したうえで、請負契約を解除することが可能です。
なお、担保責任の存続期間は注文者が種類又は品質が契約不適合であると知った時から1年以内に請負人に対して通知すればよいとされています。(請負人が不適合を知っていた場合や、重過失により知らなかった場合には期間制限がありません)
委任とは
委任とは当事者の一方が法律行為を依頼し、もう一方がそれを承諾することで成立する契約のことを指します。
なお、依頼する側を「委任者」と呼び、依頼される側を「受任者」と呼びます。
委任は原則無償で行うこととされており、特段の決まりがない限り受任者が委任者に対して報酬を請求することはできません。
請負との違い
委任と請負の一番大きな違いは、仕事の完成に対して責任を負うか否かにあります。
委任と請負のどちらも依頼されて仕事を行うことに変わりはありませんが、請負は請負人が注文者から受けた依頼を完成させることを約束し、注文者はその仕事が完成した際に報酬を支払わなければなりません。
対する委任は、一方が法律行為を依頼し、依頼されたほうがその仕事を行うという内容の契約を指します。
請負は仕事の完成が最大の目的であり、完成させるためであれば第三者に仕事を依頼しても構いません。委任が基本的に無償でなされることに対し、請負契約は報酬が支払われるといった点でも、請負の方が責任が重いといえるでしょう。
受任者の権利・義務について
委任において、受任者は善良な管理者としての「善管注意義務」を負うことになり、善管注意義務は契約の有償・無償を問わず発生します。
また、受任者は委任事務を行う上で必要な費用について前もって委任者に請求することができ、受任者は委任者に対して報告義務を負います。
民法第645条
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
委任契約の終了について
委任契約は基本的に委任者・受任者のいずれも、いつでも契約を解除することができます。
ただし、解除することによって相手方に不利益が生じた場合には、解除した者は相手に対し損害賠償請求を負うことになります。(やむを得ない理由により解除した場合にはその限りでない)
また、委任契約は委任者や受任者の死亡や破産手続き開始の決定などでも終了し、相続人に委任契約が継承されることはありません。
なお、受任者が後見開始の審判を受けた場合にも委任契約は終了します。(委任者の後見開始では終了しないので注意!)
委任の終了事由(〇:終了 ✕:終了せず)
まとめ
今回は、「請負」と「委任」についてお伝えしました。
請負と委任の両契約について、違いをきちんと理解したうえで重要なポイントをおさえていくようにしましょう。
次回は「不動産登記」についてお伝えします。
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