初心者が宅建試験に挑戦!今回は宅建試験でもよく出題される「取得時効と消滅時効」をマーキング!
スタケン宅建講座で初心者が宅建合格をめざすブログにようこそ。
宅建の勉強は一進一退と言ったところでしょうか。けっこう厳しいです汗 ロスタイムまで頑張るっきゃないですね!
今回は「取得時効と消滅時効」にフォーカスします!
[stken1]この記事で学べること
時効って何?
時効とは「一定の状態が長年の月日を経て継続していたら、もうその状態を認めてしまおうよ」という制度のことを言います。
すっかり時間が経ってしまって、以前の権利を主張するより現状のままにしておいた方が丸く収まることがあるので、こうした制度があるそうです。
物事には決着をつける時が必要なのですね!
時効には「取得時効」と「消滅時効」の2つがあります。それぞれ見ていきましょう。
取得時効でGETだぜ!
取得時効とは「一定期間が過ぎることで権利が取得される制度」を言います。
例えば、測量か何かのミスで、隣家Aの土地のちょうど端っこにBの家の塀が被ってしまい、誰も気付かないまま10年が経ってしまった場合。
このためにわざわざ塀を壊すのも、わずかな専有部分のために地代相当分を計算して支払うのも面倒な話ですよね。
そうした煩雑さを避けるため、他人の土地を一定期間にわたり専有していたBが、発覚時に「時効だから自分の土地だったということにしたい」となれば、起算日(時効期間を数え始める日)にさかのぼって、Bがその土地の所有者だったということになるのです。
このように、これまで持っていなかった権利を時効により取得することを「取得時効」、取得しようと主張することを「時効の援用」と言います。
取得時効の成立要件は次の通りです。宅建試験的には「10年」「20年」の期間と違いをしっかり押さえておきたいですね!
《取得時効の成立要件》
- 所有の意思がある
- 他人の不動産を平穏かつ公然に占有している(暴力によらず、また、隠さず)
- 一定期間占有(善意・無過失で占有:10年/悪意または善意・有過失で占有:20年)
★補足★
時効の援用の対義語として、「時効利益の放棄」という用語もあります。上の例で言うと、Bは平謝りして塀を壊した後、占有していた隣家Aの土地を返すこともできるわけですね。
その場合、隣家Aの心証も良いでしょうから、Bに対して地代相当分の金銭を請求しないかもしれません。うーん、平和な話ですね。
消滅時効でLOSTだぜ!
一方、消滅時効とは「一定期間が過ぎてしまうと権利が消滅してしまう制度」のこと。
例えば、AがBから1000万円を借りていて、返済期限が来ても返しておらず、Bから督促もなかったとします。
Bは「返してくれよ!」とAに言えば、あるいは裁判で訴えれば返済してもらえるかもしれません。
しかし、Bが恐ろしく面倒くさがりで、何もしないまま5年間が過ぎてしまった場合、Bの「1000万円を取り返す権利」は消滅してしまうのです。
民法としては、取り返そうと思えばいつでもチャンスはあったのに、それをしなかった物臭なBは保護するに値しないというスタンスなわけです。
このように一定期間が過ぎれば消滅時効の制度で消え去る債権。
時効期間は次のように定められています。
- 債権者が権利を行使できると知った時から5年間
- 権利を行使できる時から10年間
※どちらか早い方が適用されます(例.権利を行使できる時から6年後に気付いた場合は、10年で消滅時効)
上の例では、権利を行使できる時から5年が過ぎてしまったので債権が消滅してしまったわけですね。
消滅時効が適用される債権は様々ですが、中には適用されないものや、期間が異なるものもあります。
宅建試験的に重要だと思われるのは次の2つでしょう。しっかり押さえておきましょう!
- 所有権:消滅時効が適用されない
- 抵当権:権利を行使できる時から20年間(第三取得者である時、または後順位抵当権者との関係の場合)
取得時効と消滅時効についてお分かりいただけたでしょうか。
最後にスタケンの例題を解いて、さらに理解を深めていきましょう!
例題1.時効の効果はいつから?
【解説】
正解は「 × 」
時効の効果は時効の完成時ではなく、時効期間を数え始める日(起算日)から生じます。
つまり、時効が完成した時点で、過去にさかのぼってBが甲土地を専有した時からBのものだった、ということになるのです。
例題2.後から消滅時効を知った
【解説】
正解は「 〇 」
借金を返すよと言った後で、消滅時効が援用できることを知ったパターンですね。借金を返すと認めてしまった以上、後から消滅を図るのは信義則上許されません。道理に反することは認められないのです。
例題3.所有権と消滅時効
【解説】
正解は「 × 」
所有権は消滅時効が適用されません。所有権は絶対なのです!なにしろ「私的所有権絶対の原則」として、国家の法よりも先に存在する権利で神聖不可侵とされているくらいですからね。
所有権は最強!
そう覚えておきましょう。
宅建コント「時効完成後に…」
最後に宅建コントの宣伝です♪
時効関連でこんなコントがありましたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
【芸人宅建コント22】時効完成後に不動産が売却された場合「物権変動」
さて、宅建試験まで残り1ヶ月ちょっと。皆さん、準備はいかがでしょうか。たとえ準備不足でも、足掻きに足搔いて意地を見せてやりましょう!
条文で見る「 取得時効と消滅時効 」
第162条
- 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
- 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
第166条
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
第167条
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。
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