学習方法

宅建試験よくあるひっかけ問題例とは?

投稿日:2021年9月1日 更新日:

宅建試験では毎年と言っていいほど「ひっかけ問題」が出題されます。

落ち着いて解けば簡単なのに、変に裏をかいてしまって“ひっかけられてしまう”ことってありますよね。

宅建試験では“1点取得”することが大きく合否を分けるカギになり、それはひっかけ問題にひっかからないようにすることで、より合格に近づけることができるのです。

今回は、過去問の中で今までどういった“ひっかけ”があったのか、ご紹介していきます。

これを読んでひっかけ問題に耐性をつけられるようにすると、他の受験生より頭1つ抜けられるでしょう。

ひっかけではありませんが、問題文の末尾をしっかりと読むことも大事です。「正しいもの」「誤っているもの」この二つを読み違えるだけで、とんでもないことになってしまいます。

個数問題では特に注意が必要です。

さて、問題は四肢択一ですが、ひっかかりやすい選択肢のみ取り上げて解説していきます。

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権利関係

①借地借家法:賃貸借契約(平成29年-問11)

A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。

→誤りです。「更地で利用することを目的とする」とありますが、更地目的での賃貸借契約は借地借家法の適用がありません。
そして物権の変動は登記の有無により、優先するかどうかが決まります
文章を丁寧に読むようにしてみてください。

4 本件契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、AはあらかじめBに対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

→誤りです。定期建物賃貸借には事前の説明義務がありますが、こちらは定期借地権にあたり、そのような規定はありません。
似たような言葉に惑わされないように!

②借地借家法:定期建物賃貸借(平成26年-問12)

借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 定期建物賃貸借契約を締結するには、公正証書による等書面によらなければならない。

→これは正しい記述です。
ただし、「公正証書”等”」とあるとおり、公正証書と指定されているわけではありません
紙ならなんでも良く、この「等」という字があるかないかで正誤が変わります。
一字一句しっかり見落とさないようにしましょう。

3 定期建物賃貸借契約を締結するには、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを、当該契約書と同じ書面内に記載して説明すれば足りる。

→ひっかけですね。これは誤りです。
借地借家法第38条の2にあるとおり、この旨は書面を交付し、説明する必要があります
言葉のニュアンスに要注意です。

宅建業法

③手付金(令和1年-問37)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

3 Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として50万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額200万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じれば、当該中間金を受領することができる。

→正しいです。
注意すべきところは、200万円全額の保全措置が必要だというところです。
超過した部分ではなく“全額”なので、間違えないように!

4 Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として500万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額650万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じたとしても、当該中間金を受領することができない。

→誤りです。
手付金には受取金額の制限がありますが、中間金は手付金とは異なり、金額に制限はありません
そして、手付金と中間金の合計額650万円については保全措置を講じていますので、受領は可能となります。
1つの文章の中に2つひっかけがありますので、細かく分けて考えるようにしましょう。

④営業保証金(平成30年-問43)

宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

2 宅地建物取引業者に委託している家賃収納代行業務により生じた債権を有する者は、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受けることができる。

→これは誤りです。
営業保証金から受けられる弁済について、全ての債権が保証されているわけではなく、“宅建業に関する取引”に限定されています。
また、宅建業者の場合はこの保証制度の対象外となります。
宅建業に関する取引から生じた債権でも、宅建業者は営業保証金から弁済を受けられませんので、注意が必要です。
よく出ているひっかけ問題なので、理解しておくように!

⑤宅地建物取引士(平成27年-問35)

宅地建物取引業法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

2 「宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない」との規定がある。

→誤りです。
正しいと思ってもおかしくない文章なのですが、信用失墜行為の禁止は場合によってではありません
この文章では「宅地建物取引業の業務に従事しないとき」には信用又は品位を害する行為をしてもよい、と捉えられますので誤りとなります。

⑥案内所(平成23年-問42)

宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)がマンション(100戸)を分譲する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ウ A社がマンションの分譲のために案内所を乙県に設置する場合には、業務を開始する日の10日前までに、乙県知事に法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行わなければならない。

→これは正しいです。
正しいとも誤りとも取れる問題であり、当時は宅建講師の間でも意見が割れるほど物議を醸しました。
ポイントは2つあります。
1つは、乙県知事に届出を行うことは明示していますが、甲県知事については何も触れていません。
そしてもう1つは、「マンションの分譲のための案内所」と、どういう案内所かを説明しておりません。
曖昧な点が多いため、正しいと判断するには悩んでしまいがちなのですが、この問題の選択肢のイには、案内所について細かい説明がありました。

非常に難しい部分なのですが、選択肢を色々な角度から見て判断することが重要となります。
結果的にこの文章は、言葉として表されていない曖昧な部分については触れないことが大きなポイントとなります。

法令上の制限

⑦都市計画法(令和1年-問16)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、許可を要する開発行為の面積については、条例による定めはないものとし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

2 市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。

→誤りです。
市街化区域“以外”の区域の開発行為で上記のような場合であれば、許可は受ける必要はありません。
分かりやすいひっかけ問題だと思いますので、見落とし注意で丁寧に文章を読んでいきましょう。

⑧都市計画法(平成29年-問17)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、許可を要する開発行為の面積について、条例による定めはないものとし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

2 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。

→これは正しいです。
先ほどの⑦の考え方と、それに加えて単位にも注意しなければなりません。
市街化区域では1,000㎡“未満”の開発行為の場合は許可が必要ありませんが、この文章は1000㎡なので、許可が必要な部類に含まれます。
「未満」「以上」「以下」「超え」を理解しておきましょう。

⑨建築基準法(平成30年-問18)

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

2 防火地域内にある3階建ての木造の建築物を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、その工事が完了した際に、建築主事又は指定確認検査機関の完了検査を受ける必要はない。

→これは誤りです。
「防火地域及び準防火地域“外”」での増改築の場合には、床面積の合計が10㎡以内であれば建築確認は不要となります。
防火地域内は工事面積に関係なく検査を受ける必要がありますので、誤りとなります。

税・その他

⑩贈与税(平成27年-問23)

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

3 贈与者が住宅取得等資金の贈与をした年の1月1日において60歳未満の場合でも、この特例の適用を受けることができる。

→正しいです。
これは他の資格でも出題されがちな問題です。
直系尊属の贈与者であれば、年齢制限はありません。
相続時精算課税の場合だと、贈与者が60歳以上であることが要件なので、その制度と紛らわせることを狙っているのだと思います。

4 受贈者について、住宅取得等資金の贈与を受けた年の所得税法に定める合計所得金額が2,000万円を超える場合でも、この特例の適用を受けることができる。

→誤りです。
こちらも、相続時精算課税の特例と紛らわせているのでしょう。
こちらで問われているのは、住宅取得等資金の贈与です。
2,000万円という金額でうまくひっかけられてしまいます。
「なんのことを問われているのか?」ということを明確に認識することが重要となります。

まとめ

今回は、「よくある過去問ひっかけ10選」について解説しました。

〈ひっかけ問題対策POINT〉
・一字一句読み落としのないように!
・何を問われているか理解すること
・数字や単語だけで覚えないように!
・迷ったら他の選択肢も読み直し、別の角度で考え直す

出題側も、毎年同じ問題を出さないように常に考えているため、ひねくれた問題を出されることも多々あります。

それでも1点取得が重要な作業となりますので、どういうひっかけ問題が出されるのか、出し方が分かればそれに対応することができます。

普段の学習に加え、ひっかけ問題の対策もしっかり行っていきましょう!

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