入居者様対応で社員が離職…、負のループをどう断ち切るか?
株式会社タカラ不動産
1997年2月設立、大分県大分市の不動産会社。大分市などで約3000戸を管理する一方、賃貸仲介や売買仲介、マンスリー事業なども手がける。コンセプトに「クオリティ・オブ・ライフ~生活の質の向上~」を掲げ、毎月のサウナ利用やレンタカーの貸し出しなど、手厚い入居者向けサービスを展開し、差別化を図る。
導入前の課題
- 社員を教育し、経験を積ませても、入居者様対応の負担で離職する悪循環に陥っていた
- 電話口で怒られる状況が日常化し、社内の雰囲気も重くなっていた
- 生産性の高い社員に入居者対応業務が偏り、人材活用に支障が出ていた
導入の効果
- 「採用する⇒教育する⇒離職する」の悪循環を断ち、組織を再構築することができた
- 電話の削減で社内が明るくなり、黙々と業務に打ち込める快適な環境に変わった
- 入居者様対応にかかりきりだった社員が生産性の高い業務に集中できるようになった
社員を採用し教育しても離職に至る悪循環
どんな会社でも、事業拡大やサービス改善を目指すときには、新たに人を増やし、育て、組織全体のレベルを高めていく基礎固めは欠かせないものです。しかし、ストレスの多い賃貸管理ビジネスでは、入居者様対応をはじめとした業務負担が原因で、せっかく採用・教育した社員が離職し、基礎固めに時間がかかるケースが珍しくありません。
大分県大分市で約3000戸を管理する株式会社タカラ不動産も、慢性的な社員の離職に悩まされていたと言います。採用しても、付きまとうのは、また辞められてしまうかもしれないという不安感…。そんな状況をどのように改善していったのか、プロコール24導入前の課題と導入効果を伺いました。
兄弟で会社設立、手厚い入居者向けサービスで差別化
――ご兄弟で会社を立ち上げたと聞いています。
矢野:
弊社の立ち上げ自体は1997年ですが、もともとは父が興した大分コミュニティという管理会社が前身でした。その会社を、私と兄の二人で引き継ぎ、社名を「タカラ不動産」に変えて再出発し、現在に至ります。
引き継ぎ当初は管理戸数も400戸ほどでしたが、徐々に規模を大きくしていき、今は従業員も17名にまで増え、3000戸以上の物件を預けていただいています。事業も、賃貸仲介、売買仲介と拡大し、数年前からマンスリー事業も始めました。まだまだ成長途中ですが、いろいろなことに挑戦しています。
――挑戦というと、御社は特徴的な入居者向けサービスを展開されていますね。
矢野:
ええ、ご入居の皆さまに無料サウナや無料レンタカー、BBQセット無料レンタルなどを提供しています。なかなか好評で、毎月きっちりサウナを利用される方もいますし、レンタカーで他県に買い物に行く方もいたりして。賃貸仲介のシーンでも、これらのサービスの珍しさ・便利さが入居付けに役立っているように思います。
――なぜこうした特別なサービスを?
矢野:
実は、私はもともとWEB業界の人間で。だから不動産業界に移ってきて、「なんでこんなにサービスの種類が少ないんだ」と驚いたんです。どの会社も、扱っている商品が横並びで、差別化の要素がほとんどない。それなら一つ、よそと違うことに挑戦しようと思ったわけです。
――差別化アイデアのひとつだったのですね。
矢野:
そうです。また、入居者様対応をはじめ、賃貸管理業って怒られることばかりなんですよ。怒られれば当然に自己肯定感も下がります。僕も社員も、お客さんから「ありがとう」と言われる機会を増やさなきゃいけない、という思いがありました。そうした思いが結果的に「クオリティ・オブ・ライフ~生活の質の向上~」という弊社のコンセプトにつながっています。
せっかく管理会社をやっているなら、地域や入居者の皆さまに何かを還元したい。あると嬉しいこと、暮らすうえでの喜びだとか…、そういったものを提供して「ありがとう」と言ってもらえる会社になりたい。それに、事業を続けても喜ぶ人がいない会社には、存在意義がないですよね。そうした思いが重なって、弊社独自のサービスが生まれました。
懸念は「採用する⇒教育する⇒離職する」の負のループ
――そんな御社が、プロコール24をお選びいただいた経緯は?
矢野:
実は、プロコール24の導入前に数人の採用を考えていたんです。管理の部署には当時4人の社員がいましたが、うち3人から「もう辞めたい」と声が上がってしまっていて…。
生活の質の向上を謳う以上、弊社の中には入居者様に不快に思われないような対応をしたい、という思いが常にあります。ですが、管理の現実はそうしたホスピタリティで回るほど甘くないものじゃないですか。入居者様の中には電話口で急に激怒する方もいますし、こちらができないと分かっていて無理難題を言う方もいます。全く配慮のない言葉や、警察沙汰になるようなNGワードを使う方もいたりして。
――入居者様対応の難しいところですね。
矢野:
ですから、ストレスに晒される管理部署の採用は長年の課題でした。質の高い対応をしたいと思っても、新入社員がそれをできるようになるには、十分な教育を施し、多くの経験を積ませなければなりません。一方で、どれだけいい人を採用しても、入居者様対応の経験を積ませる場合、一人前になるまでに燃え尽きてしまうリスクも十分にある…。
実際、きついクレーム電話は、多いときには一日に2回も3回もかかってきます。やりたい仕事もできずに延々と怒られて、中には電話が切れた後に泣いてしまう社員もいました。弊社はワンフロアのオフィスなんですが、そんな状況が毎日のようにあるなんて、会社の雰囲気としても全然楽しくないじゃないですか。それが、賃貸管理業というものを経験したことのない新人だったらなおさらです。
――それで、採用を迷われた?
矢野:
そうですね。早く補強しないと、質の高いサービスを提供するどころか、そもそも電話に出られない状態になってしまうと焦る一方で、急いで採用しても「採用する⇒教育する⇒離職する」の負のループにまた陥るんじゃないか、という考えが頭をよぎりました。同時に、僕としては、この悪循環からどうにかして抜け出したいとも強く思いました。
――難しい問題です。
矢野:
そんなときに、御社のプロコール24と出会いました。詳しくお話を伺って、これならループを脱出できると直感しましたね。
入居者様対応をアウトソーシングすれば、採用も教育の手間もなく、すぐに受電態勢を整えることができます。慌てて採用をしなくても、「人材不足で電話に出られない=サービスを提供できない」という最悪の状態を回避できる。
決して安いサービスではありませんでしたが、採用の費用や人件費を抑えてコストを賄い、それ以上のメリットを得るビジョンがはっきりと見えました。
電話が激減し職場環境が改善、組織編成にも着手
――プロコール24を実際に使われてみて効果はいかがでしょうか?
矢野:
おかげさまで、働く環境がずいぶん変わりましたね。多分もう、導入前には戻れないと思います(笑)
導入初日のことはよく覚えていて、朝から一本も電話が鳴らないので、最初は自社の自動応答システムがバグったんじゃないかと思ったくらいでした。社員の皆も「電話、なくなったね~」と安心している様子で、その日はすごく談笑が多かったですね。
でも面白いもので、3日も経つと、今度は誰も喋らずに黙々と業務に打ち込む空気に変わっていきました。驚くほど集中できるオフィスになったんです。以前まで、電話口で怒られている人に挟まれて仕事をしていたことを思えば、働く環境は一変しました。
――お役に立てているようで何よりです! 矢野様ご自身のストレスも減りましたか?
矢野:
ええ、僕自身も楽になりましたね。もともと入居者様対応は、「責任者を出せ!」と言われたときに出るくらいでしたが、電話を受けた社員のタスク管理など、マネジメント業務には時間を取られていて。対応漏れがないように、社員に「あのときの対応は終わったの?」とか、必要なら指示出しをしたりとか、それなりに業務に追われていました。
でも、プロコール24では、ほとんどの案件が弊社を介さずに完了しますし、弊社の対応が必要なものも対応報告を見れば一目瞭然で、タスク管理もしやすい。実際の電話対応だけでなく、管理職の立場からも業務負担が減った点は嬉しかったです。
――本来やるべき業務に集中できるようになったわけですね。
矢野:
ええ。ただ、やるべき業務ができるようになったという意味では現場社員もそうです。
不思議なもので、仕事ができる社員のもとには仕事が寄ってくる。入居者様対応のうまい社員ほど、入居者クレームにかかりきりになってしまうんですよね。でも、そういう入居者様対応が上手い社員は、たいてい売上をつくるのも上手な傾向がある。彼らが2時間も3時間も電話に釘づけにされると、当然、生産性にも響いてきます。
今は、彼らにはプロコール24への指示出しに徹してもらって、売上づくりや提案業務に集中してもらっています。これも大きな変化ですね。
――ちなみに、懸念だった負のループも脱することができたのでしょうか?
矢野:
ええ、こちらもようやく抜け出せました。ただ、最終的に人員補充は実施しました。管理部はそのままに、営業部の人員を新たに採用して、元の3名から6名へと2倍に増やす組織編成をしたんです。
――それはどうしてでしょうか?
矢野:
これまで管理受託や賃貸仲介で営業がオーナー様と接する一方、入居者様対応をする人員もオーナー様に工事の承諾を貰う役割も担っていました。それで業務負担は分散されていたのですが、オーナー様にとっては窓口の人間が多くなり、「誰に何を言えばいいかわからん」というような状況で。
そこで、営業の数を増やしつつ、工事に関する業務も営業に一本化してオーナー様との窓口を一つに絞ったわけです。そうすることで、オーナー様も悩みを相談しやすくなりますし、マネジメントする僕としても社員にフィードバックがしやすくなる。組織がすっきりすることで、何か問題があっても会社として改善しやすくなると踏んだんです。
――確かにオーナー様も話しやすくなりそうです。
矢野:
それに、窓口が別々だと、一方は空室の問題しか見ていない、もう一方は出費しか見ていないといったように、オーナー様の課題を全体的に捉えづらい面があったんです。
しかし、オーナー様の悩みの本質は総合的なバランスの中にあるものです。窓口を絞ることで、オーナー様の心情も把握しやすくなり、より満足のいく選択に向けてお手伝いもしやすくなる。プロコール24を導入していなければ、こうした組織編成はそもそも難しかったので、その点でも感謝しています。
人的余裕をつくり、さらなるサービス改善へ
――嬉しいお言葉をありがとうございます。今後の賃貸管理を続けていくうえで、御社の目標を教えてください。
矢野:
弊社は設立当初から少人数でやってきた経緯もあり、もともと生産性はかなり高い会社だと自負しています。今後も高い生産性を維持しつつ、もう少し人員も増やして人的余裕をつくり、さらなるサービス向上につなげていきたいですね。
また、無料サウナやマンスリー事業と展開してきましたが、僕自身、今後もいろいろなチャレンジを積極的に続けていきたいと思っています。
――と言いますと?
矢野:
好きな言葉に、「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」という諺があるのですが、斬新な企画というは他社に先駆けてやる必要がありますよね。でも、大人数で話し合って進めようとすると、なかなか前進しないじゃないですか。
だから僕は、企画に関しては一人でガッと先陣を切り、とにかくチャレンジする姿勢を大事にしているんです。それで事業が軌道に乗り、ルーティンワークにできれば、その後の維持運営はみんなに任せようと。
もちろん、そうしたチャレンジは「やらなくていいこと」だったりするんです。でも、チャレンジすることで会社は活気づくし、社員の成長にもつながる。今後もいっぱい失敗を積み重ねていきたいですね(笑)
――さらなるご活躍を期待しています! 管理戸数についての目録もあるのでしょうか?
矢野:
目標としては5000戸を目指したいと思っています。ただ、サービス改善が第一で、結果として戸数も拡大すればいいという程度で、目先の数字に追われているわけではありません。入居者様の生活の質を上げ、オーナー様の賃貸経営を最大限お手伝いできるよう、日々がんばっていきたいですね。
――最後に、御社にとってプロコール24を一言で表すと何でしょうか?
矢野:
「コンシェルジュ」でしょうか。僕らとしては、入居者様対応をアウトソーシングこそしていますが、プロコール24はお願いしたら最大限叶えてくれるパートナーというように感じています。対応の幅が広いというか。だから、イメージとしてB to Bのコンシェルジュ。今後もご支援よろしくお願いいたします。
――ありがとうございます! 精一杯がんばらせていただきます!
アウトソーシングで売上・挑戦のチャンスを守る
サービスの質の向上を目指す管理会社として、どの業務にも真っ向から取り組もうとする姿勢は素晴らしいことに違いありません。しかし、入居者様の日々の生活に関わる以上、業務負担が社内リソースを超えてしまう危険は常にあるものです。場合によってはアウトソーシングで業務そのものを切り離し、会社の売上や新たなチャレンジを担う人材を守る判断が必要なときもあるでしょう。
近年、入居者様対応のコールセンター利用が一般化していますが、その背景には、業務負担の解消と人的リソースの確保を叶えようとする管理会社の苦悩と努力が隠れているのかもしれません。
導入企業
株式会社タカラ不動産
大分県大分市大手町1丁目1-3 1F
代表取締役:矢野 宏一
事業内容:
大分県大分市の不動産会社。大分市などで約3000戸を管理する一方、賃貸仲介や売買仲介、マンスリー事業なども手がける。