週刊住宅

公開日:2017年3月13日

第114回 宅配ボックスの設置

第114回 宅配ボックスの設置
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経費計上で節税効果も

10年ほど前のことだが、ある建築プロデュース案件で、施主が宅配ロッカーは絶対に設置すべきだと譲らないことがあった。私は、再配達もしてくれることだし、実際当時はそれほど強いニーズがあるわけでもなかったので、無くてもいいのではないかと言った。ここに完全に私の時代の読みが甘かったことを告白したい。Amazon の台頭を予想できなかった。施主の未来予想が正しかったのだ。(藤澤雅義)

最近のヤマト運輸の宅配総量抑制や4月から始まる宅配ボックス補助金制度の報道もあり、不動産オーナーと面談する中で、宅配ボックス設置の話題になることが多い。宅配ボックスが付いていない物件に後付けする工事の人気は高く、弊社では今年に入ってから既に10棟程の物件に宅配ボックスを設置した。

▲ 社会的注目を集める宅配ボックス①

 

オーナーが宅配ボックス設置の判断をする際には、次の4つがポイントになっていると感じる。

1つ目は社会的背景

国交省によると、ネット通販の拡大に伴い、宅配便数量はここ5年で約5億個増えた。トラックドライバー不足が進む一方、不在再配達件数が増え、再配達に要する時間はなんと年間1.8億時間、これはドライバー9万人の人件費に相当するそうだ。昨今の報道もあり、再配達の効率化は国を挙げて取り組む社会問題と言える。その対策のひとつが宅配ボックスの設置だ。

 

2つ目はリーシング(入居者獲得)とテナントリテンション(入居者維持)への効果

例年各社が発表する人気設備ランキングでも宅配ボックスはトップ10の常連だ。チャイムからモニター付インターホンへ、鍵無し集合ポストから鍵付きへ変化したように、今や宅配ボックスはあって当たり前の標準設備と言える。宅配ボックスを設置し、現代の入居者のニーズに応えることで、入居者からの人気を保ちたい。

 

3つ目は組み合わせによるお得感

宅配ボックスを後付けする建物は往々にして、ゴミ置き場はネットが置いてあるだけの状態、集合ポストや掲示板は劣化がはげしいといったケースが多い。そのため、宅配ボックスと一緒にゴミストッカー新設や集合ポストのリニューアルを提案することになる。

これらの取付工事は要領が同じで単一業者でできるため、同時施工することで工賃が抑えられ、個別に工事するよりも断然安くなる。この組み合わせ提案はとても喜んでもらえる。

 

4つ目は節税

物件の規模にもよるが、小規模な宅配ボックスやゴミストッカー、集合ポストの交換はそれぞれ30万円以内で設置できることが多い。青色申告をしているオーナーの場合、「少額減価償却資産の特例」により、30万円までであれば、これらの工事をそれぞれ一括して経費計上することができる。

▲ 社会的注目を集める宅配ボックス②

 

管理物件の中には宅配ボックスが付いていない物件が沢山あるが、これらのポイントをオーナーに伝え、メリットを感じてもらい、今後も宅配ボックスの設置割合を高めていきたい。

(筆:片平智也/週刊住宅2017.03.13 掲載)


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