こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、都市計画法および区域区分についてお伝えしました。
法令上の制限の第2回目となる今回は「地域地区」と「用途地域」について、取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
[stken1]この記事で学べること
地域地区とは
前回お伝えした「市街化区域」に該当した区域に対し、「土地の利用目的」をそれぞれ定め、さらに細かく分類していきます。この、利用目的別に分けられた地域のことを「地域地区」といいます。
また、地域地区はさらに「用途地域」と「補助的地域地区」の2つに分けられます。
用途地域について
用途地域は「ここはこんな街にしていこう!」というように定められた、都市計画のことを指します。用途地域は住居系・商業系・工業系の3つに大別することができ、全部で13種類存在します。
数が多く、覚えるのが大変な範囲とはなりますが、この13種類の用途地域はしっかりと頭に入れておくようにしてください。
- 第一種低層住居専用地域:低層住宅のための良好な住環境を保護するために定められた地域(閑静な住宅街)
- 第二種低層住居専用地域:主に低層住宅のための良好な住環境を保護するために定められた地域(コンビニやカフェもある閑静な住宅街=第一種低層住居専用地域より用途の制限が少し緩い)
- 田園住居地域:農業の利便の増進を図りつつ、それらと調和した低層住宅の住環境を保護するために定められた地域(住宅+農産物の直売所)
- 第一種中高層住居専用地域:中高層住宅のための良好な住環境を保護するために定められた地域(5~6階程度のマンションが立ち並ぶ)
- 第二種中高層住居専用地域:主に中高層住宅のための良好な住環境を保護するために定められた地域(大きめの店舗や事務所も立ち並ぶ)
- 第一種住居地域:住環境を保護するために定められた地域(一戸建てとマンションが混在している)
- 第二種住居地域:主に住環境を保護するために定められた地域(第一種住居+パチンコ屋など)
- 準住居地域:道路の沿道として地域の特性にふさわしい住環境を保護するために定められた地域(住居+大型ショッピングモール)
- 近隣商業地域:周辺に住む住民に対し、利便の増進を目的として日用品の供給を行うために定められた地域(地元の商店街)
- 商業地域:主として商業等の利便の増進を目的として定められた地域(いわゆる繁華街など)
- 準工業地域:主に環境悪化の恐れがない工業の利便の増進を目的として定められた地域(町工場などで危険性が低い)
- 工業地域:主として工業の利便の増進を目的として定められた地域(工場だらけだが、住居としての利用も可能)
- 工業専用地域:工業の利便の増進を目的として定められた地域(石油化学コンビナートなど)
ここがPOINT!!
- 市街化区域:少なくとも用途地域を定める
- 市街化調整区域:原則として用途地域を定めない
- 非線引区域:用途地域を定めることができる
- 準都市計画区域:用途地域を定めることができる
- 都市計画区域外:用途地域を定めることができない
用途地域で定めなければならない事項
用途地域に指定された場合、以下のものを定めます。
必ず定めるもの
- 建築物の容積率:すべての用途地域
- 建築物の建蔽率:商業地域以外
- 建築物の高さの限度:第一種低層、第二種低層、田園住居のみ。高さの限度は10mまたは12m
必要があれば定めるもの
- 敷地面積の最低限度:すべての用途地域に定め、200㎡以内
- 外壁の後退距離:第一種低層、第二種低層、田園住居のみ。後退距離は1.5mまたは1m
補助的地域地区
補助的地域地区は、用途地域だけでは決められない細かな部分を決めていくためのものです。
用途地域内にのみ定められるもの
- 特別用途地区:土地利用の増進、環境保護等の実現を図る
- 高層住居誘導地区:高層住宅の建設を誘導することを目指す
- 高度地区:建築物の高さの最高・最低限度を決める
- 高度利用地区:容積率の最高・最低限度、建蔽率や建築面積、壁面の位置などの制限を定める
- 特例容積率適用地区:未利用になっている地区を活用するために定める
このうち、高度地区は「高さ」に関して定めたもので、高度利用地区は「高さではない」ことを押さえておいてください。
用途地域内外に関わらず定められるもの
- 特定街区
- 防火地域・準防火地域
- 景観地区
- 風致地区
用途地域外にのみ定められるもの
- 特定用途制限地域
都市施設について
都市施設は、人々が街で生活していくうえで欠かせない施設のことを指します。(例:学校、病院、道路、公園、上下水道など)
都市計画区域内において都市施設を定めることができ、都市計画区域外でも必要があれば都市施設を定めることができます。
また、次の場所には必ず定めなければならないものが決められています。
- 市街化区域および非線引き区域:道路、公園、下水道を必ず定める
- 住居系用途地域:学校などの義務教育施設を必ず定める
まとめ
今回は、用途地域や都市施設についてお伝えしました。
用途地域の数が多く、なかなか大変かとは思いますが、何度も繰り返し学習し記憶に定着させていきましょう。
次回は「開発行為」「開発許可」についてお伝えします。
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