こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、届出と事情変更の比較についてお伝えしました。
宅建業法の第10回目となる今回は「 広告規制 」と「広告開始時期の制限」について、取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
[stken1]この記事で学べること
広告の役割
宅建業者は取り扱う不動産(宅地・建物)について取引をするとき、消費者に誤解を与えるような広告をしたり、そもそも売るつもりがない物件について広告をしてはいけません。
宅建業者が行う広告には一定の規制が課されており、違反した場合にはそれ相応の罰が与えられます。
なお、ここでいう広告には新聞広告やインターネット、ラジオなどありとあらゆる広告が規制と対象です。
取引態様明示
宅建業者は宅建業に関する広告をするときに加え、注文を受けたときも顧客に対して取引態様を明示しなければなりません。
取引態様とは、「宅建業法とは」で解説した8種の取引のいずれかを指し、そのうちどれに該当するのかを知らせる必要があります。
なお、広告をするときに一度取引態様を明示したとしても、実際に注文を受け付けるときはまた取引態様を明示しなければならないこともおさえておきましょう。
そして宅地を分譲で数回に分けて売却する際も、その都度、取引態様を明示する必要があります。
なお、ここでいう「明示」とは特に様式が定められているわけではなく、書面によらず口頭での告知でも構いません。
誇大広告の禁止
宅建業者が広告をするにあたり、その内容について著しく事実と異なるような記述をしたり、実際の物よりも著しく有利であると誤解されるような表示をしてはいけません。
誇大広告の具体例として、次のようなケースが挙げられます。
- 物件:所在や規模、材質について虚偽の表示をする
- 環境:周辺環境や利用制限、交通について虚偽の表示をする
例)駅のすぐの近くに大型のショッピングモールが立つ、まもなく近くにバス停ができて移動が楽になるなど - 代金:売買代金や融資のあっせんについて虚偽の表示をする
また、誇大広告をしたにもかかわらず、実際にその広告で損害を受けたり誤認を受けた人がいなかったとしても、広告を打ち出した時点で誇大広告に該当するので注意しましょう。
以下に条文も載せておいたので、ざっと目を通しておいて下さい。
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
おとり広告
おとり広告とは、顧客を事務所に誘い込む目的でそもそも売る意思がない物件に対して広告を出すことを指します。
おとり広告で使われる物件は主に、次のような物件です。
- 存在しない物件
- 実際に存在するが取引をするつもりがない物件
- 実際に存在するがそもそも取引対象とならない物件
こちらも実際に損害を受けた人がいなかったとしても、おとり広告とみなされます。
誇大広告もおとり広告も、宅建業法違反行為となり業務停止処分の対象です。
情状が特に重い、悪質であると見なされた場合は免許取り消し処分に該当することもありますので、くれぐれも注意して下さい。
広告開始時期の制限
宅建業者は未完成物件について、建築などに必要な許可や確認が得られて、売ることができると確認されたあとでなければ、広告や契約をすることができません。
そのため、「開発許可の申請中と記載しさえすれば、広告をすることができる」といった文言は誤りとなります。たとえ申請中であることを明示したとしても、広告をすることは認められません。
広告開始時期の制限は契約開締結時期の制限と比較し、しっかりと頭に入れておくことが大切です。
★建築確認・開発許可を得る前に、広告または契約ができるか
ここでも、条文と併せて確認しておきましょう。
第三十三条
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。 (広告開始時期の制限)
第三十六条
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。 (契約締結等の時期の制限)
まとめ
今回は、広告規制についてお伝えしました。
広告開始時期の制限については、契約締結時期の制限と比較して、しっかり押さえておくようにしましょう。
次回は「自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限」についてお伝えします。
[stken2]