宅建業法

【宅建業法の超頻出分野】宅建の「37条書面」を攻略するポイント!

投稿日:2020年7月21日 更新日:

37条書面(契約書)は、重要事項説明書(35条書面)と同じように暗記量が増えるため「苦手」という人も多いでしょう。

しかし、37条書面は宅建業法の出題分野の中でも重要事項説明書と並んで重要な項目です。

実務でも必要な内容となり、宅建試験でも毎年必ず出題されています。

この記事では、宅建業法の重要項目「37条書面」について詳しく解説していきます。

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37条書面とは

宅建業者は、契約締結後の「言った、言わない」などといった紛争を防止するため、契約内容を記載した37条書面を作成し、契約締結後に遅滞なく取引の相手方に交付しなければなりません。

交付をしなかった場合は、業務停止処分と罰金に処せられることがあります。

ただ、このときの宅建士の法定職務は「37条書面への記名・押印」のみで、交付・説明は宅建業者であれば誰が行っても良いことを覚えておきましょう。

下記は、37条書面と35条書面を交付する時期や場所などをまとめた表です。

共通点や異なる部分を比較しながら理解しましょう。

37条書面 35条書面
交付・説明する者 宅建業者(宅建士の事務は37条書面への記名・押印のみ) 宅地建物取引士(専任でなくても可)
説明の時期 契約成立後遅滞なく 契約が成立するまで
説明の方法 宅建士の記名・押印がある37条書面(契約書)を交付して行う 宅建士証提示・重要事項説明(35条書面)を交付して行う
説明する場所 定めなし(どこでも良い) 定めなし(どこでも良い)
説明する相手 契約の両当事者(売主・貸主にも説明する) 宅建業者の相手方(買主と借主)

※売主・貸主に説明する必要はない

37条書面と35条書面の共通点は3つです。

  • 宅建士の記名・押印
  • 交付・説明の場所は定めなし
  • 交付は必ず必要(35条書面は相手方も宅建業者であれば、重要事項を説明する必要はありません)

その他「交付・説明する者」や「説明の時期と方法」「説明する相手」は異なるため、混同しないように注意しましょう。

37条書面の記載事項

37条書面には、必ず記載しなければならない「絶対記載事項」と、定めがある場合のみ記載すれば良い「特約記載事項」があります。

記載事項 売買・交換 賃借
絶対記載事項
①当事者の氏名および住所(法人の場合は名称と住所)
②物件を特定するために必要な事項
③既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項 ×
④代金・交換差金・借賃の額、支払方法と時期
⑤引き渡しの時期
⑥移転登記の申請時期 ×
特約記載事項(定めがある場合のみ記載)
⑦代金・交換差金・借賃以外の金銭授受に関する定めがある場合は、授受金額・時期・目的
⑧契約解除における定めがあればその旨
⑨損害賠償金の予定や違約金に関する定めがある場合は、内容と金額
⑩天災その他不可抗力による損害の負担についての定めがあればその旨(危険負担)
⑪契約内容不適合担保責任における定めがある場合は、その内容 ×
⑫租税公課の負担に関する定めがあればその旨 ×
⑬ローン(代金・交換差金に関する賃借)のあっせんに関する定めがある場合は、あっせんに係る金銭貸借が成立しないときの措置 ×

上記の表の通り、重要事項説明書(35条書面)の記載事項と比べると覚えなければならない項目は少ないです。

特に、特約記載事項の⑦⑧⑨⑬については、重要事項説明書の記載事項と重複しているため暗記しやすいでしょう。

もし「35条書面が覚えられない」「35条書面が苦手」という人は、37条書面から暗記を始めるのもおすすめの方法です。

絶対的記載事項について

以下の項目は、必ず記載が必要です。

  1. 当事者の氏名および住所
  2. 物件を特定するために必要な事項
  3. 既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項
  4. 代金・交換差金・借賃の額、支払時期・方法
  5. 引き渡しの時期
  6. 移転登記の申請時期

なお、上記のうち

「3. 既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」
「6.移転登記の申請時期」

については建物の賃借の場合、記載不要です。

取り決めがある場合のみ記載が必要(相対的記載事項)

  1. 代金・交換差金・借賃以外の金銭の額、授受時期、授受目的
  2. 契約解除における定めがあればその旨
  3. 損害賠償ならびに違約金の内容と金額
  4. 天災その他不可抗力による損害の負担についての定めがあればその旨(危険負担について)
  5. 契約内容不適合担保責任における定め
  6. 租税公課の負担に関する定め
  7. ローン(代金・交換差金に関する賃借)のあっせんに関する定め
  8. 建物状況調査について当事者双方が確認した事項

賃借の場合には上記のうち、5~8番については記載不要です。

37条書面のポイント

宅建試験では、37条書面に関して1問、35条書面と関連付けて1~2問出される年が多いです。

そのため、35条書面と比較しながら違いに注目して勉強を進めましょう。

試験でよく出題されるのが「時期」と「登記簿上の権利」です

(ここで既に35条書面を勉強されている方は「登記簿上の権利」は35条書面だけでは?とお気付きでしょう)

  • 代金・交換差金・借賃の額、支払方法と時期
  • 引き渡しの時期
  • 移転登記の申請時期

3つの時期は37条書面の絶対的記載事項で35条書面には不要です。反対に、登記簿上の権利は35条書面の記載事項となり、37条書面には不要となります。

また、賃借の場合には上記表のうち、③⑥⑪⑫⑬については記載不要です。

これらは暗記するよりも、賃借の取引を思い浮かべて理由付けながら覚えると良いでしょう。

たとえば「⑥移転登記の申請時期」なら賃借に登記は関係ないので不要「⑬ローンのあっせん」であれば、賃借にローンは適応されないので不要というように、一般的な理由です。

37条書面の1問1答

最後に、37条書面のひっかけ問題をいくつかご紹介します。

単に正解・不正解を答えるのではなく、答えを導き出したプロセスも確認しながら回答してみてください。

Q1.宅地の賃借の媒介において、租税公課の負担に関する定めがあればその旨を記載しなければならない。

Q2.建物の売買の媒介において、当該建物の契約内容不適合担保責任における定めがなかったため、記載しなかった。

Q3.法人である宅建業者が37条書面を作成したとき、書面への記名押印は代表者がしなければならない。

Q4.宅建業者Aが建物の賃借の媒介を行う場合で、Aはあらかじめ貸主から承諾を得ていたため、契約成立後、貸主への37条書面交付を省略した。

 

Q1.【×】賃借の場合、租税公課の負担については37条書面の記載事項に該当しません。

Q2.【〇】売買であっても、契約内容不適合担保責任について定めがなければ記載する必要はありません。

Q3.【×】宅建業者が37条書面を作成したときは、宅建士が書面への記名押印をします。

Q4.【×】37条書面は必ず契約の両当事者に交付し、承諾があったとしても省略できません。

いざ問題が出されると「35条書面と混同してしまう」人も多いのではないでしょうか。何度も37条書面を確認し「37条書面を得点源にする」気持ちで問題をやり込みましょう。

まとめ

37条書面と重要事項説明書(35条書面)を比較し、重要な部分をまとめました。

37条書面 35条書面
いつ交付? 契約成立後遅滞なく 契約が成立するまで
誰が説明する? 宅建業者(宅建士の事務は37条書面への記名・押印のみ) 宅地建物取引士(専任でなくても可)
誰に説明する? 契約の両当事者 宅建業者の相手方(買主と借主)

※売主・貸主に説明する必要はない

上記の違いは宅建試験でも頻繁に問われているため、混同せず以下のポイントを押さえて正確に覚えましょう。

  • 37条書面は、35条書面と比較しながら違いに注目して勉強する。
  • 宅建試験では、37条書面に関して1問、35条書面と関連付けて1~2問出されることが多い。
  • 「時期」については、37条書面の絶対的記載事項で35条書面には不要。
  • 賃借の場合に記載不要となる項目も見落とさず覚えよう。

37条書面は宅建業法の出題分野の中でも、重要事項説明書と並んで重要な項目です。

35条書面だけで手一杯という人もいるかもしれませんが、毎年必ず試験に出されるので「絶対に37条書面を得点源にする」気持ちで理解を深めましょう。

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<監修>スタケン宅建講座ナビゲーター / 宅地建物取引士 / マーケティング事業部 / デザイナー / マーケター / スタケン宅建講座を7年間運営。当講座を使った自身の合格体験を元に、プロの講師陣と共同で講座開発に携わる。現在は動画を中心に元受験生として、宅建に最短合格するための「ノウハウ」を伝える活動に従事。デザイナーとしてスマホアプリのUI・UX開発実績も多数。

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