こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、 媒介・代理契約についてお伝えしました。
宅建業法の第8回目となる今回は「 重要事項説明(35条書面) 」について、取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
重要事項説明とは
土地や建物を購入するにあたり、非常に大きな買い物であることからしっかり検討してから決めたいと考える人がほとんどですよね。
とはいえ、土地や建物の情報の中には、素人ではなかなか理解できない複雑な事項が含まれているケースも少なくありません。
そこで、購入者が損をしないよう、契約前に当該不動産の重要事項について説明することが義務付けられています。
宅建業者は買主・売主・交換における両当事者に対して、重要事項説明をしなければなりません。
この重要事項説明は、宅建士でなければすることができません。また、説明の際には相手から請求がなくとも、宅建士証を提示する必要があります。(違反した場合、罰金等の処罰の対象となります)
なお、重要事項の説明場所は特に定められておらず、十分に説明ができさえすればどこでも大丈夫です。
重要事項説明書(35条書面)について
重要事項が書かれた書面のことを、「重要事項説明書(35条書面)」といいます。
重要事項説明書には宅建士の記名・押印が必要です。
取引の相手方が宅建業者である場合、重要事項説明は省略することが認められていますが書面の交付は省略できないことも押さえておきましょう。
ITによる重要事項説明(IT重説)
昨今ではインターネットの普及により、テレビ会議やSkype・IT等を利用して重要事項説明が行えるようになりました。
ただし、IT重説をするためには以下の条件を満たす必要があります。
- 説明の事項を映像できちんと読むことができ、また音声のやり取りも双方が問題なく行えること。
- 重要事項説明書ならびに添付書類をあらかじめ、説明する相手方に送付しておくこと
- 映像及び音声の状況について、IT重説前に宅地建物取引士がきちんと確認すること
- 説明前に取引士証を提示し、相手方が画面上できちんと確認できたかどうか確認すること
また、IT重説は賃貸の代理または媒介に限られ、売買の場合は利用することができないので気を付けましょう。
重要事項説明の説明内容
ここでは「売買」「交換」「貸借」それぞれの取引別に、重要事項説明の説明内容について見ていきましょう。
売買・交換・賃貸に共通の説明事項
次の事項は、売買・交換・賃貸を問わず、必ず説明しなければなりません。
- 登記された権利の種類・内容、登記名義人(例:抵当権など)
- 飲用水・電気・ガスなどの供給状況や排水設備
(整備されていない場合は今後の見通し、特別な負担の有無) - 契約解除や損害賠償の予定や違約金の額
- 代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭の額、目的
- 宅地建物が、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域にあるときはその旨
- (未完成物件の場合は)工事完了時における形状および構造
これに加え、取引の対象が建物である場合には次の事項も説明が必要です。(土地の場合は不要)
- (既存建物の場合)建物状況調査の結果ならびに概要
- 石綿(アスベスト)の使用有無
- 耐震診断を受けている場合にはその結果
また、売買および交換の場合には説明が必須ですが、賃貸において説明が必要か否か分かれる項目が以下の2つとなります。
- 法令上の制限
- 私道負担(建物賃貸なら不要、土地賃貸なら必要となる。負担がない場合はその旨)
売買および交換の場合のみ必要な説明事項
次の項目は売買および交換のときには説明が必要ですが、賃貸においては説明が不要です。
- 代金における金銭賃借のあっせん
- 手付金の保全措置の概要
- 住宅性能評価を受けた新築物件である場合、その評価内容について
- 契約内容不適合担保責任を講じるかどうか(講じない場合はその旨)
賃貸でのみ必要な説明事項
以下は賃貸でのみ説明が必要で、売買および交換では説明不要なものです。
- 契約期間・契約の更新に関する事項
- 定期借家あるいは定期借地である場合はその旨
- 敷金その他契約終了時に精算される金銭について
- 台所や浴室、トイレその他の当該建物における設備状況
区分所有建物(マンション)のみ追加で説明する事項
マンションの場合のみ必要な説明事項の中で、特に覚えておきたいものを以下に挙げておきました。
- 管理会社の名称ならびに住所
- 専有部分の利用制限について
- 一部を特定の者のみに使用を許可するとした旨の規約があればその内容について
まとめ
今回は、重要事項説明(35条書面)についてお伝えしました。
この範囲は宅建業法の中でも特に暗記しなければならない項目が多いことから、非常に負担が大きくなっています。とはいえ、端から端まですべてを暗記する必要はありませんので、メリハリをつけて学習を進めていくとよいでしょう。
次回は「37条書面」についてお伝えします。

織瀬ゆり

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