学習方法

宅建合格に必要な勉強時間が200時間〜300時間って本当?

投稿日:

難関資格として有名な宅建。難関資格であるため、合格のためには実務経験者であっても、一定量の勉強が必要です。さらに、勉強する範囲も広いためスケジュールを作成し、バランス良く出題範囲を抑える必要もあります。

しかし、実際に勉強を始めようとおもっても、「どのぐらいの勉強時間を見込めば良いのか」「何から手をつければいいのか」など様々なことに悩んでしまうと思います。

そこで、この記事では、宅建の勉強時間やスケジュール作成のコツについて、実際の学習者さんの合格事例ももとにして解説します。

[stken1]

宅建合格に必要な勉強時間は200時間〜300時間が目安

宅建の合格に必要な勉強時間は、約200~300時間と言われています。単純に1日2時間程度時間が取れると考えた場合、100日~150日程度必要となるため、3ヶ月〜半年程度勉強に当てることになります。

全50問の選択式のテストであり、不動産に関わる様々な幅広い専門知識が問われます。専門用語も多く、問われている内容を理解するだけでも十分な知識量が必要です。主に70%以上の得点率が必要であり、合格率は例年20%以下になるため、決して簡単な資格とは言えません。

しかし、宅建は有名資格である分、テキストや学習コンテンツが充実しています。自分の知識レベルや学習可能時間を踏まえた上で対策が出来れば、初回での合格も現実的です。

順位 難易度(★5段階) 学習期間目安
1位:簿記検定(3.2.1級) ★★~★★★★ 2ヶ月~1年
2位:公認会計士 ★★★★★ 1年~3年
3位:宅地建物取引士 ★★★ 2ヶ月~11ヶ月
4位:税理士 ★★★★★ 2年~5年
5位:中小企業診断士 ★★★★ 8ヶ月~1年半

皆さん仕事や学校、友達との用事もあって、毎日長時間の勉強時間を確保するのは難しいですよね。

一生懸命勉強に励んでいても、得意不得意のジャンルがあったり、宅建試験の経験の有無があったりするので勉強時間は個人差が大きく出てきます。

1日の勉強時間を極力短くしたいのであれば、1年程かけてゆっくり着実に進めていく方法もあります。

宅建の勉強はいつ頃始めるべき?

合格するためには、宅建の学習はいつ頃始めるべきでしょうか。例年宅建の試験は、10月中旬に本試験があり、試験日の発表は6月あたりです。

そのため、宅建の勉強は6月の試験日発表のタイミングや7月頃から始める方が多いです。つまり、およそ3ヶ月を元にして宅建の勉強スケジュールを立てることになります。

もちろん、不動産業に関して全くの初心者から資格勉強を始める場合には、余裕を持って4月あたりから半年程度かけて勉強スケジュールを立てる場合もあります。

資格勉強に1日あたりどのぐらい時間を使えるのかや、前提知識をどの程度持っているのか、過去問を一度解いた結果などを参考に余裕のあるスケジュールを作成しましょう。

【出題範囲別】おすすめ宅建勉強時間配分

宅建は、ある程度出題範囲が決まっているため、出題範囲ごとに勉強時間を配分するのも1つの方法です。具体的には、以下の5つのカテゴリに対策が欠かせません。

学習項目 出題ボリューム 勉強時間
権利関係(民法等) 約14問 約60時間
宅建業法 約20問 約60時間
法令上の制限 約8問 約60時間
税その他 約3問 約10時間
免除科目 約5問 約10時間

ここからはそれぞれの出題範囲ごとの特徴を解説します。

①権利関係(民法等):約60時間

「権利関係(民法等)」は、例年14問出題される科目です。全出題範囲の25%程度を占めるため、決して落としたくない内容です。

権利関係には、過去の裁判の判決事例や法律の解釈などが主な問題となります。事例形式の質問が多いため、出題傾向や何が問われているのかを理解して判断することが重要です。

問題に慣れるまでに時間がかかるため、時間をかけながらゆっくりと様々なパターンを経験しておきましょう。

②宅建業法:約60時間

「宅建業法」は例年20問出題される科目です。全出題範囲の50%近くを占めており、必ず点数を獲得するためにも抑えるべきポイントです。

他に比べても範囲が狭い分、適切で確実な暗記が求められます。時間が無ければ優先的にでも必ず習得しておきましょう。

③法令上の制限:約60時間

「法令上の制限」は、例年8問出題される科目です。そこまで範囲としては広くありませんが、専門用語や法律上の細かな内容が聞かれるため、専門用語をきちんと覚えるなど他の出題範囲の対策とともに進めておきましょう。

➃税その他:約10時間

「税その他」は、例年3問出題される科目です。対策の優先順位としては下になるため、過去問を解いている際に、一緒に対策しましょう。

⑤免除科目:約10時間

最後に「免除科目」ですが、この科目は、例年問46~50で出題されます。ここも、「税その他」と同様に過去問で問われた内容のみを確認しましょう。

【時期別】おすすめ宅建勉強スケジュール

宅建取得を視野に入れるなら宅建通信講座がおすすめ

宅建の勉強には、いつ頃に何をすれば良いのでしょうか?宅建試験は選択式であることからも、基本的には暗記と過去問実践が主な対策方法です。

ここからは、3ヶ月間勉強すると考えた場合の、学習スケジュールについて解説します。

基礎力をつける:7~9月(約2か月)

基礎力をつけるためには、専門用語や頻出の出題パターンの暗記や理解を行う必要があります。過去問を行うというよりも、問題集の前半部分や講義動画を確認して、「何が問われているのか」「そもそもどんな内容なのか」を知る必要があります。

知識量が増えるにつれて、自然と解ける問題が増えていきます。焦って過去問や模試に取り組みすぎないようにテキストを繰り返し確認しましょう。

実戦力をつける:9~10月(約1か月半)

試験まで1ヶ月半を残した段階では、過去問や模試などを活用して実戦力をつけておきましょう。単純に試験での問われ方や癖、緊張感への慣れなど、純粋に問題だけではなく、宅建試験に慣れるということが重要です。

この時期は自分の引っかかりやすいポイントや、弱点となっている部分を再確認して「インプット:アウトプット=3:7」ぐらいの割合で勉強を進めましょう。

合格するための勉強方法

工夫しなければならないのが勉強方法。ほとんどの合格者が、ここにこだわって勉強していて、さらにおさえているポイントも同じでした。以下のポイントをおさえて、スケジュールを立ててから勉強を進めていってください。

効率的な勉強法のポイント

◎テキスト選び

◎全体の内容を把握する

◎試験の流れを知り、科目ごとに勉強時間を分ける

◎過去問は一周だけでなく、何度も解く

1. テキスト選び

記憶力が良い人でも、試験前の学生のような丸暗記では乗り切れないのが宅建です。そのため、ある程度時間をかけながら内容を理解して、覚えていかなければなりません。

勉強期間が長いため、できるだけ意欲を下げずに勉強し続けるには、テキスト選びも重要なポイントになってきます。

「分厚くて他よりも説明文の多いものが数冊あれば良いのかな?」と思うかもしれませんが、長期間の勉強とうまく付き合っていくのであれば、自分が飽きずに見続けられるものを1冊。これを見つけてください。

たくさんのテキストを読んで理解を深めるに越したことはありませんが、勉強時間にも限りがあります。不安な気持ちも分かりますが、テキストはそれぞれ記載の仕方が違うだけで、覚えることは同じです。1冊で十分合格できます。

私の場合ですが、やる気が失せないように本が薄く、字が大きくて絵が多いテキストを選びました。笑

宅建は覚える内容が多いので、ある程度の厚さは妥協しなければなりませんが、他よりも薄くてマンガみたいに読めるものを選びました。それを繰り返し読んで、理解を深めることができたので、結果楽しく勉強できてたんだな~と思います。

テキスト1冊と、過去問集があれば準備完了です。

2. 全体の内容を把握する

「今日から勉強がんばるぞー!」と決めたものの、何から始めればいいのでしょうか?

分厚いテキストを1ページ目から読み続けても、何が何だか分かりません。やる気を削ぎ落とされ、秒で寝てしまいます。

まずは深く理解しようとせず、パラパラ程度にテキストを読んで全体を把握してください。こんな項目で分かれていて、こんなことを勉強するんだな~と。

宅建の勉強は過去問を繰り返し解いていくことが大事なので、過去問で分からないところがあったときに、テキストを見て部分的に改善していきます。

3. 試験の流れを知り、科目ごとに勉強時間を分ける

ここが、効率よく勉強するための重要なところです。

宅建の試験には4つの科目があり、2時間で50問を解かなければなりません。合格するには、毎年変わる合格基準点を超えることです。昨年は基準点が高かったようですが、だいたい31~36点で変動しています。

実施年度 受験者数 合格者数 合格率 合格ライン(点)
令和5年度 233,276人 40,025人 17.2% 36点
令和4年度 226,048人 38,525人 17.0% 36点
令和3年度(12月) 24,965人 3,892人 15.6% 34点
令和3年度(10月) 209,749人 37,579人 17.9% 34点
令和2年度(12月) 35,261人 4,610人 13.1% 36点
令和2年度(10月) 168,989人 29,728人 17.6% 38点
令和元年度 220,797人 37,481人 17.0% 35点
平成30年度 213,993人 33,360人 15.6% 37点
平成29年度 209,354人 32,644人 15.6% 35点
平成28年度 198,463人 30,589人 15.4% 35点
平成27年度 194,926人 30,028人 15.4% 31点
平成26年度 192,029人 33,670人 17.5% 32点

37点を取ればおおよそ合格ラインだと言われていますが(例外もあります)、そうすると37点を確実に取るための勉強をしなければなりません。

宅建業法、民法、法令上の制限、税・その他の4科目からそれぞれ出題され、問題数は決まっています。得意不得意のジャンルや、点の取りやすい科目などがあるため、それに合わせた勉強時間の配分が必要になってきます。

4. 過去問は一周だけでなく、何度も解く

過去問を繰り返し解いていくことが大事だと先程述べたように、いろんな問題を解いていくと、自分なりに傾向と対策が取れるようになっていきます。過去10年分解くと、科目ごとによく出ている問題や、しばらく出ていないけどそろそろ出てきそうな問題など、見えてくるものがあります。

10年分を一周しただけではすぐに内容を忘れてしまうので、以下のような方法で何度も解いていくことをおすすめします。

まずは試験どおりに問題を解いていきます。問題を解いていく過程で、「これは自信のある回答ができた」「なんとなく回答した」「ここが違うのは分かってるけど正解が分からなかった」「さっぱり意味が分からない」など、1問ごとに回答の仕方が違ってくるはずです。それを分かるように印をつけておき、あとで見直したときに「自信のある回答」以外の不正解の問題は、自分が理解できるようになるまで復習を繰り返します。

理解できたところでもう一周、また間違えたところを理解してもう一周、とすると絶対に間違えない問題と、間違えてしまう問題の2つに分かれます。そうなったときには、自分の中で苦手な分野が明確になっているので、あとはそこを重点的に勉強すれば良いのです。

合格者の実際の勉強時間

では実際に合格した人は、いつからどのくらい時間をかけて勉強していったのでしょうか。

Aさん

私は学校の短期コース(6月~10月)で取りました。

勉強時間は、自宅では1日1時間程度、最後の1週間は1日2時間程度です。それ以上やっても集中力が続かないので。

⇒4ヶ月間で勉強時間約150時間(自宅)+学校の勉強時間

Bさん

3月下旬から独学で学習をスタートし、初挑戦で一発合格しました。学習時間は、トータルでおそらく350時間くらいだったろうと思います。

⇒7ヶ月間で勉強時間約350時間

Cさん

私は、仕事後に、2週間毎日2時間勉強しただけで余裕合格しました。あまり、早くから勉強とりかかるとモチベーションも続かなくなります。

焦らないで、試験前の2週間に集中的に勉強することで、モチベーションも崩さずより良いコンディションで受験できます。

⇒2週間で勉強時間約28時間

Dさん

私は独学でしたので勉強のやり方を工夫して100時間程で合格できましたが、本当は毎日少しずつ、集中力を持って行ったほうがいいと思います。

⇒期間不明、勉強時間約100時間

4人でもこれだけ勉強時間に差が出ているので、人によって勉強にかける時間はバラバラなのでしょう。

遅くとも3ヶ月前から、少し不安な方は5~6ヶ月前から始めることをオススメします。

月単位で考えると、こんなに勉強しないといけないの!?と思いがちですが、1日の勉強時間でいうと1~2時間程度なので、普段の生活の中で無理のないスケジュールを組みましょう。

ちなみに私も宅建合格者ですが、当時は新卒1年目、不動産業に関する知識はゼロで、仕事終わりの3~4時間(約半分は睡眠タイム)を使って6ヶ月間少しずつ独学で勉強していきました。

本気で追い込みをかけていったのは試験の3ヶ月前からです。その期間は大好きなお酒を控えて、ずっと宅建のことだけ考えて毎日過ごしていました、、もう二度とあの頃に戻りたくありません。笑

話が脱線してしまいましたが、勉強時間は個人差があるため、いつから始めれば合格できる!と決まってはいないようです。

では、なぜ勉強開始時期(勉強時間)に個人差が出てくるのでしょうか。

合格者で極端に勉強時間が短い人は、

・元々法律の知識がある人

・不動産業界に勤めていて知識がある人

・記憶力が凄まじく良い人

など、普通の人より時間短縮できる能力がすでに身についているからです。

特殊な人を除いて、宅建初心者の勉強時間の差をつけているのは…

それは勉強方法の違いです。

宅建試験を合格するには、決まった勉強方法があります。そのポイントさえしっかりおさえておけば、勉強開始時期は自分で決めて、計画的に進めていくことができます。

合格者がみんな工夫をしているのは勉強開始時期(勉強時間)ではなく、勉強方法です。

まとめ

「宅建は勉強をいつから始めれば合格できるのか?」

合格者から聞く具体的な勉強時間や、重要なポイントをお話ししました。

宅建初心者でこれから勉強を始めていく人は、独学だけでなく学校に通ったり通信講座を受けたり、と手段はさまざまあります。自分に合った勉強法を見つけて、10月の試験に向けてがんばってくださいね!

[stken2]

-学習方法

執筆者: