宅建業法

【宅建業法】他人物売買の禁止を徹底解説!宅建で問われるポイントは?

投稿日:2020年7月31日 更新日:

宅建の勉強を進めていると「ときたま登場する項目」を、きちんと理解するか後回しにするか迷う人もいるでしょう。




宅建試験は出題範囲が広いため、毎年の様に出題される項目だけを勉強していても合格は難しいです。

そこで、今回はマイナー項目でありながらも、ときたま登場する8種制限の「他人物売買」「割賦販売契約」「担保責任の特約制限」について解説します。

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他人物売買・割賦販売契約・担保責任の特約制限は8種制限の1つ

他人物売買・割賦販売契約・担保責任の特約制限について見ていく前に、どの項目も8種制限の1つだという点を抑えておきましょう。

8種制限は「売主が宅建業者」であり「買主が宅建業者でない一般消費者」の「売買契約」の場合にのみ適用されます。

反対に、宅建業者同士の取引や、宅建業者が媒介する一般消費者同士の取引には適用されません

基本的なことですが、さまざまな項目を勉強していると間違えやすいため注意しましょう。

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他人物売買の禁止(自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限)

宅建業法の規定には、原則として「宅建業者は自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約・売買予約契約をしてはならない」とされています。

自己の所有に属しない宅地又は建物とは

  1. 売主以外の者の所有に属する宅地建物(他人物)
  2. 未完成の宅地建物(未完成物件)

しかし、民法の規定では以下のように定義されており、混同してしまう人も多いでしょう。

「売主が他人の所有物を売却したとしても(他人物売買)、その売買契約は有効である」「他人の所有物を目的とする売買契約を締結した売主は、所有権を取得し、買主に移転しなければならない」

他人物売買に限らず、民法と宅建業法が抵触する際は宅建業法が優先されています。そのため、「売主が宅建業者」であり「買主が宅建業者でない一般消費者」の「売買契約」の場合、宅建業者は原則として他人物売買を禁じられています。

これは、宅建業者が目的となる不動産を仕入れることができなかった場合、買主が損害を受けることを防止するためです。

 

他人物売買の例外

宅建業法の規定では、原則として他人物売買を禁止しています。

しかし、例外として「現在の所有者との間で取引の対象となる宅地建物を取得する契約」をしているときは、買主との間で売買契約・予約契約を締結することが認められています。

つまり、売主となる宅建業者と現在の所有者との間で「契約や予約」といった約束があれば、買主との間で売買契約を行っても良いのです。

現在の所有者との間で取引の対象となる宅地建物を「取得する契約」には3つのポイントがあります。

  • 取得する契約は予約でも良い。
  • 取得する契約がされていれば、代金の支払いや引渡しは未済でも良い。
  • 取得する契約は、停止条件付契約・法定条件付契約であってはならない。

停止条件付契約の例:引っ越し先が見つかったら、建物を売却する。

法定条件付契約の例:農地法の許可を受けられたら、土地を売却する。

「もし〇〇だったら」では取得する契約にならない、と覚えておきましょう。

 

未完成物件の例外

先ほど紹介した宅建業法の規定では、原則として未完成物件の売買契約・売買予約契約も禁じられています。

理由は、物件が完成しないと所有権を取得することができないからです。

ただ、こちらにも2つの例外があります。

  1. 手付金などの保全措置が講じられているとき。
  2. 手付金などの保全措置を講じる必要がないとき。

宅建試験では他人物売買の例外のほうが問われやすいため、他人物売買の例外を優先して覚えましょう。

 

割賦販売契約

割賦販売とは、代金を目的物の引渡し後1年以上の期間に、2回以上に分割して支払う「分割払い」のことを指します。




割賦販売は、売主が直接買主に代金の分割払いを認めるものであり、ローンとは異なります。

 

割賦販売契約の解除などの制限

割賦販売契約の解除については、宅建業法の規定があります。

具体的には、宅建業者が自ら売主となる割賦販売契約について、割賦金が支払われない場合は「30日以上の相当期間を定めて書面で催告をし、その期間に支払われないとき」でなければ、契約の解除や支払い時期が来ていない賦払金の全額請求はできません。

さらに、買主保護の観点から、買主に不利な特約は無効となります。

 

割賦販売における所有権留保などの禁止

所有権留保とは、目的物の所有権を買主に移転せず、売主のもとで留めておくことです。

所有権留保についても宅建業法の規定があり、原則として禁止されています。

具体的には、宅建業者が自ら売主となり割賦販売を行った場合「目的物を買主に引渡すまでに、登記などの売主の義務を履行」しなければなりません。

しかし、割賦販売は期間中に代金を回収できない危険性もあります

残代金があるのに登記を移転させるのは、売主である宅建業者にとっても不安が残ることから、例外が設けられました。

  • 宅建業者が買主から受け取った金額が代金の10分の3以下であるときは、所有権を保留することができる。

そのため、買主から受け取った金額が代金の10分の3を超えたら、所有権の移転が必要です。

 

担保責任の特約制限

担保責任(契約不適合責任)とは、売買契約の目的物が契約内容に合っていない場合、売主が負うべき責任のことを言います。

民法の規定では、買主は不適合を確認した場合、売主に対して

  • 履行の追完の請求
  • 代金減額の請求
  • 損害賠償の請求
  • 契約の解除

上記の4つの請求ができますが、期限の制限があり「不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知」しなければ4つの請求はできません。

そして民法では「売主は契約内容不適合責任を負わない」などの特約も有効です。

 

宅建業法の規定

売主が宅建業者であり、買主が宅建業者でない一般消費者の売買契約では、担保責任の特約制限が適用され、原則として「民法の規定よりも買主に不利となる特約は禁止」です。

たとえば、先ほど紹介した民法の規定「不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知」よりも買主に不利になるような「引渡しの日から1年以内に通知しなければならない」などの特約は無効となります。

無効となった場合には、民法の規定が適応されることも覚えておきましょう。

ただ、例外として、担保責任の通知期間については「引渡しから2年以上とする特約」は有効です。

引渡しから2年以上とする特約については、意外と試験でも問われやすいポイントです。

 

過去問を見てみよう

実際の試験ではどのように問われたのか見ていきましょう。

問:宅建業者Aが、自ら売主として一般消費者Bとの間で建物の売買契約を締結する場合において、「BがAに契約不適合責任を追及するための通知期間を建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、通知期間は、建物の引渡しの日から2年間となる。
答:【×】

建物の引渡しの日から1年間とする旨の特約は、民法の規定よりも買主に不利になるため無効です。

無効となった場合には、民法の規定が適用され、通知期間は「不適合を知った時から1年以内」となります。

 

まとめ

  • 宅建業法の規定では、原則として他人物売買は禁止されているが例外もある。
  • 例外は、取得する契約・予約契約がされていること(代金の支払いや引渡しは未済でも可)ただし、停止条件付契約・法定条件付契約であってはならない。
  • 割賦販売において、宅建業者が買主から受け取った金額が代金の10分の3以下であるときは、所有権を保留することができる。
  • 担保責任の特約制限において、民法の規定よりも買主に不利となる特約は無効となる。

8種制限の中でも「他人物売買」「割賦販売契約」「担保責任の特約制限」は、クーリングオフ制度や保全措置などと比較するとマイナーな項目でしょう。

しかし、決して難しい項目ではないので、後回しにするのはもったいないです。

もし試験本番で問われたら1点取れるように、ポイントを抑えて学習しましょう。

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織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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