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盗まれたのは大家のせい!? ピッキング被害は誰の責任なのか

2017.05.18
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    盗まれたのは大家のせい!? ピッキング被害は誰の責任なのか

    いまだ年間5万件近く発生している「空き巣」。

    賃貸住宅でのオートロックや防犯カメラの普及もあって年々減少傾向にありますが、それでも1日130件以上の被害が発生している現状は、決して安心できるものではありません。

    もし、自宅が空き巣被害に遭ったら…という想像も怖いですが、私たちとしては「もし入居者が空き巣被害に遭ったら…」という想像も怖いですね。

    しかし、もっと怖いケースも考えられます。

    「もし、入居者に『空き巣に遭ったのはオーナー・管理会社のせいだ』と訴えられたら…!」

    相談ダイジェスト

    • 管理している賃貸物件で、ピッキングによる空き巣被害が発生。
    • 借主は相当額の現金・貴金属を盗まれたが、犯人は捕まらなかった。
    • 後日、借主より管理会社・オーナー宛てに「ピッキングに強いカギであれば被害に遭わなかったはずだ」とクレーム。
    • 鍵の防犯性によって管理会社やオーナーは管理義務責任を問われてしまうのか?

    専門家の回答

    通常の管理であればオーナーや管理会社に責任なし。契約時に防犯について格別の合意がある場合は要注意。

    以前、「防犯カメラの設置義務がある?」の回でも説明しましたが、貸主は借主に対して「通常の使用ができる状態」で部屋を貸す義務はあっても、「十全な空き巣対策を行なう義務」まではありません。

    市場に流通している一般的な錠を取り付けており、しかも借主は契約時に「その鍵」で合意して契約しているのですから、オーナーや管理会社が空き巣に入られてしまったことの責任を問われることはないと考えられるでしょう。

    ポイントは「建物の賃貸人や管理会社は、賃借人が所有する財産を盗難等から保護する義務を負うのか」という点になると思いますが、そうした財産の管理義務は、通常の賃貸借契約によっては発生しないと考えられます。

    住居の賃貸借契約によって貸主に発生する義務は、建物を使用収益させる義務や建物の修繕義務、担保責任および費用償還義務に留まる、という判断です。

    管理義務が問われる状況は?

    反対に、貸主や管理会社が空き巣被害の責任を問われる状況とは、どんな場合でしょうか。

    まず考えられるのは、契約時に防犯について特段の取り決めがある場合です。
    滅多にないと思いますが、絶対的な防犯性能を謳っていたり(空き巣被害0%のマンションです、など)、そもそも空き巣被害に補償を設けるような特約がある場合には、当然ながら借主が被害に遭ったことについて一定の責任を問われることになるでしょう。

    次に、犯罪被害が予測できたにも関わらず何もしなかった場合です。

    たとえば、近隣でピッキング被害が相次いで発生しており、しかも被害に遭っているのは当該貸室と同じタイプの鍵ばかり、という情報が、警察などから警告を込めて届けられていたにも関わらず、貸主や管理会社が何もしなかった。
    あるいは、情報を聞いて危機を感じた借主から鍵交換の要望を受けていたにも関わらず、オーナーや管理会社が何もしなかった、という場合には、貸主側が責任を問われる可能性があります。

    ただし、一般的な賃貸借契約書には、

    『甲(貸主)は天災・地震・火災・盗難等、甲の責に帰すことのできない事由により乙・表題部入居者及び関係者(来訪者等を含む)に生じた損害についてはその責を負わないものとする』

    という内容の文言が入っているものと思われますし、よほどの過失がない限りは貸主の責任を追及されることはないと思われます。

    逆に言えば、借主はたとえオートロック・防犯カメラ・ディンプルキーのマンションだとしても、その設備を過信して気を抜いてはならない、ということです。自分で「金庫」を購入して貴重品を保管するなどの対策をしない限り、自分の財産は誰も守ってくれないのです。

    鍵の種類と防犯性

    ちなみに、玄関鍵の防犯性は製品によってさまざまです。
    鍵の代表メーカーであるMIWAの鍵の種類を見てみましょう。

    MIWA U9

    日本中でひろく利用されているシリンダーキー。
    ピッキングでの開錠には10分以上かかるとされています。
    耐久性・価格面に優れています。

    MIWA PR

    U9よりも高い安全性を実現しているのがPRです。
    上下のどちら向きで挿しても錠を回せるリバーシブルタイプ。
    いわゆるディンプルキーです。

    MIWA JN

    PRよりもさらに複雑な構造となっているのがJNです。
    入居者入れ替えがあった際などでも、シリンダー交換をせずに以前の鍵を無効にできる「チェンジングキーシステム」が搭載されているシリーズも用意されています。

    MIWA FKL

    ピッキングの最大の対策は、鍵を差し込む鍵穴を排除すること。
    その点、FeliCaを活用した電子キーは強力なピッキング対策アイテムです。

    シリンダー交換をすることなく鍵を交換でき、またPC等で簡単に鍵を発行できるため、貸主側の鍵管理も容易になります。

    空き巣被害を少なくするには。

    しかしながら、集合住宅における空き巣被害の原因は、実は「無施錠」が圧倒的です。
    ピッキング被害と比べると、無施錠住宅への侵入件数は10倍以上にもなってしまうのです。

    鍵の防犯性能も大事ですが、最後の最後は入居者自身の防犯意識がものを言います。
    貸主・管理会社としては、日頃から入居者に対して施錠の徹底を啓蒙するなどの対策を行なっていきたいですね。

     

    ※この事例は2013年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

    導入事例紹介

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