「管理」の中に「仲介」が包括されている
賃貸管理に明確な定義を
今号から連載を担当することになった藤澤です。首都圏で居住系を中心に管理戸数6000戸超の賃貸管理会社を東京・新宿で経営しています。また同業の管理会社への業務支援及びコンサルティングを行う会社も経営しています。どうぞよろしくお願いします!
「賃貸管理」という業態が生まれて何年だろうか。
福岡の三好不動産がその発祥ではないか、という話を聞く。昭和20年代に、遠洋漁業船乗りが家族のために一種の保険のような意味でアパート経営を託したとある(「三好勉の不動産賃貸ビジネス」より)。「賃貸管理」を「月次管理料」をオーナーから取得して経営を委託されるもの、と定義していいかと思うが、既に昭和20年代にそのような形態であったとのことだ。となると、既に60年以上の歴史があることになる。
賃貸管理の業界団体も幾つかあって盛況であるが、その割には「賃貸管理」というビジネスは、なんだかはっきりしない。もっとなんとかしたい、という気持ちがある。
まず、その「法的な位置付け」と「定義」だ。決して宅地建物取引業法の範疇には収まらない、ことは誰も異論がないところだろう。将来、「賃貸住宅管理業法」のようなものができればいいなあと思うが、いつのことだろうか。
日本では賃貸仲介業が盛んなので、賃貸仲介の延長線上に「賃貸管理」があるイメージが蔓延している。
その証拠に「無償管理」なる営業システムが市場には存在する。なぜ無償でできるのだろうか。普通に考えればできるわけがない。仲介で儲けさせてもらえれば、タダで管理しますよ、というわけだ。
私は「仲介」と「管理」とは全く別物であると思っている。いや、「管理」の中に「仲介」が包括されているのだ。
「仲介」は、「部屋を紹介」する仕事だ。
「管理」は「オーナーのために収益の最大化を図る」仕事である。
入居者のために働かない、という意味ではない。入居者により良いサービスをすることがオーナーの収益に寄与することになる。
「管理」というとメンテナンス中心の分譲マンションなどの「管理会社」も連想されてしまうが、もっと大きな意味での「経営管理」である。英語の「Management」にはその「経営」の意味が入っている。
そういった「賃貸管理」の定義をよりはっきりさせたい。安定はしているが、あまり儲からないと時に揶揄されるこのビジネスをもっと儲かるものにしてみたい。賃貸管理をベースにより不動産資産の形成支援会社としての業態確立をしたいものだ。そのためにはもっとスキルのレベルアップをしなくてはならない。
そもそも不動産業はどうしてステータスが低いのか。とても大事な仕事をしているのに。
求人が弱い。不動産の営業、というと人が来ない。ダーティーなブラックなイメージがあるのだろうか。業界全体で休みが少なく、残業が多いのも事実。なんとかしたいものだ。そんなことを日頃考えながら仕事をしている。
今後の連載では、賃貸管理業務を行なっていく中で実際に起こった事例を取り上げながら、私を中心に思うことを書いていきたいと思います。
(筆:藤澤雅義/週刊住宅2014.11.03掲載)