週刊住宅

公開日:2014年12月15日

第7回 物件の巡回清掃

第7回 物件の巡回清掃
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担当変わり管理状態が悪化

我々は、仕事において、様々な「表現」をしている。

その表現はあらゆる人に理解できるものでなければならない。しかし、ときとして年齢や職種、その他によって、理解していただけない場合がある。「絵的に表現すると良い」という言葉がある。

たとえば、数字を羅列されてもイメージがわきづらいが、円グラフや棒グラフにしてもらうと直感的に理解できる。社内外において、こういう取り組みは実は大変重要なのではないかと思っている。(藤澤雅義)

 

イラストや写真でチェック表改善

物件管理の現場には、内装やビルメンテナンス、清掃など、多くの業者が携わる。さらに、物件やエリアごとに担当者が違うため、全体でみると本当に多くの人が物件運営に携わっている。これらの関係者の業務をチェックし、改善することでサービスレベルを均質化し、物件を良い状態に保つことが我々管理会社の仕事である。しかし、実際のところ、業者の個々の担当者の経験や勘に依存する部分も多く、担当者の力量によりサービスレベルに差が出ているのが現状ではないだろうか。

 

ある日、とあるオーナーから「巡回清掃業者の担当者が変わって物件の管理状態が悪くなった」とクレームがあった。現地を確認すると、確かに清掃が行き届いておらず、廊下の一角にホコリが溜まっている。雑草や植栽が伸び、一部の看板は破損している。確かに管理状態が良いとは言えない状態だった。

 

物件の問題に気付くために担当者が物件巡回を行っているのだが、経験豊富で細かい部分まで目の行き届く担当者もいれば、問題に気がつかない担当者もいる。担当者ごとに異なるレベルを均質化するために以前から「巡回チェック表」を用いているのだが、どうもよく調べてみると、この巡回チェック表が本来の役割を果たしていないようなのだ。

 

この巡回チェック表は、約30のチェック項目が並び、各項目に解説文がある一般的なものだ。巡回員はチェック項目とその解説文を読みながら物件を見て、問題があれば印をつける。

しかし、こちらがいくら文章で説明しても、チェック項目と目の前にある課題がリンクしない人がいるようだ。文章を読んで想像したものと、目の前にある現実のものとが一致しないのだ。もっと言うと、たいして文章を理解もせずに、安易に「レ点」を付けてしまうような人もいたのだ。これではチェック表の意味が全くない。

そこでチェック表に「ユニバーサルデザイン」(誰でも分かりやすく、利用できる情報設計)の考えを取り入れる事にした。解説文の羅列をやめ、イラストと写真を中心に切り替えた。文章を読んだだけでは具体的にイメージできない人も、イラストや写真をみれば理解しやすい。「詳しく書いているのに、なぜわからないのだ!」と憤慨しても仕方がない。

それであれば、相手が理解しやすいように、こちらの表現方法を変更することも有効なのではないだろうか。

(筆:片平智也/週刊住宅2014.12.15掲載)


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