週刊住宅

公開日:2015年1月5日

第8回 建物内での事故の責任

第8回 建物内での事故の責任
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オーナーの落ち度関係なく瑕疵認定

不動産オーナーも管理会社も実は結構大きなリスクを負って賃貸経営ならびに賃貸管理という商売をしていると言える。

以下にいう「オーナー責任」だが、オーナーからみたらそういうリスクの軽減のために、管理会社に任せているのだから、管理会社にまず請求してよ、と言いたいところだろうし、多額の賠償金となればなおさらだ。管理会社に求償を求めてくることだろう。

オーナーには問題点があれば的確に指摘し、マメに提案をしたほうがよい。(藤澤雅義)

台風による樹木倒壊もオーナー責任

「もしもし、お宅のアパートに住んでいる者だけど、外の鉄骨階段で転んで怪我をしたんだけど。滑りやすくて危ないんだよ、この階段。怪我で仕事にも行けないし、治療費も高くて困っている!」

先日当社に入ったクレームだ。一瞬ひやっとしたが、今回は「本人が酔っぱらっていた」、それどころか、そもそも「本当は怪我をしていない」といった理由から損害賠償問題にはならずに済んだ。

 

しかし、こういった建物の瑕疵(欠陥)を原因とした事故には、その所有者であるオーナーに責任が及ぶことがあるのを忘れてはいけない。

民法717条土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」が根拠となる条文だ。

▲ オーナーの無過失責任について

 

土地の工作物(建物等)や樹木に瑕疵があり、それを原因とする事故には、まずは占有者が責任を負う。しかし占有者が必要な注意をしていたならば、占有者ではなく所有者が責任を負うというものだ。

賃貸住宅の場合、入居者等が占有者になる。この占有者である入居者に求められる「必要な注意」とは、一般人として常識的な注意を払っていたかという程度であり、さほど厳しいものではない。

 

つまり、事故の責任がオーナーに及んでしまう可能性が高いのだ。しかも、このオーナー責任、その瑕疵をオーナーが知っていたか否か、オーナーに落ち度があったか否かは関係がない。実際に瑕疵があり、事故が発生したならば責任アリという厳しいものだ。

これを「無過失責任」と言う。

 

今秋の台風で、敷地内の樹木が折れ、下に停まっていた車のフロントガラスを割った事故が弊社の管理物件内であった。弁護士に相談したところ、数十年に一度という超大型台風ならばともかく、通常規模の台風で樹木が折れたのであれば、それは瑕疵であり、オーナー責任になるだろうとの回答。オーナーが修理費用を負担することになった。

 

阪神淡路大震災では、賃貸建物が倒壊して4人が死亡、オーナーに合計で1億2900万円の賠償金支払いが課せられた事案がある。大地震という災害が原因ではあったが、建物の耐震性に瑕疵があったことで倒壊の程度がひどくなり、被害が拡大したと判断されたものだ。

 

このように、建物等の瑕疵を原因とした事故によるオーナー責任は軽視できないのだが、そういった責任があること自体を知らないオーナーも少なくない。

我々管理会社には、オーナーにはこのような責任がある、つまりリスクがあることを正しくオーナーに伝え、「施設賠償責任保険」への加入や、事故に繋がりそうな箇所の発見改善など、リスクを減らすための提案をする役割が求められている。

(筆:先原秀和/週刊住宅2015.01.05掲載)


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