オーナー提案で専門部署
兼務では一方が疎かに
不動産賃貸管理会社は典型的な労働集約型企業といえるだろう。まさにいまの時期は所謂繁忙期真っただ中、やれ入居申込の審査だ、契約書作成だ、退去リフォームが間にあわないぞ、クレームに早く対応しろ等、大変忙しくされていることと思う。
休めないし、残業が多くて疲れがとれない・・という日常になってはいないだろうか。いかに効率よく働いて、労働生産性を上げていくか、ということが課題だ。
そこで、今日はまず管理会社の組織を考えてみたい。図にあるように、6つの基幹業務があるとおもう。
①管理受託営業があってはじめて管理が増える
②リーシングは一番大事
③現場管理は会社のキモ
④出納で賃料の集金と送金を管理
⑤オーナー提案は管理会社の生き残りの分水嶺
⑥総務・経理は会社のバックヤード
提案についてだが、①〜③の各部署のスタッフがオーナーに各自提案をせよ、としている会社が多い。
あえて、私は管理会社は別途⑤の提案専門の部署をつくるべきだとおもっている。「藤澤さんがいうように提案が大事だと思って、もっとオーナー提案をしろとスタッフにいうのですが、なかなかやらないんですよ」と経営者の方はよく嘆く。
しかし、管理受託営業をしながら、またはリーシング業務をしながら、空室がなかなか決まらない物件のオーナーに、一部屋200万円かかるリフォーム提案をしろといってもなかなかできないのは当然だ。
結論をいうと兼業はよくないのだ。
業務はひとつにしたほうがいい。シンプルに提案だけのノルマを与えたほうが結果は出る。うちはまだまだ会社が小さくてスタッフの人数も少ないので、まだまだ無理だという言い訳をする人がいるが、私は19年前の創業当時、私をいれて4人のメンバーだったが、私は別にして、3人それぞれに業務は完全に振り分けていた。
そういうふうに業務を専業しているところは意外に少ない。皆で全部の業務をやっている。専業にすることによって、その業務に集中できるし、ノウハウもたまっていく、そして兼業の場合、どちらかが必ず疎かになってしまうものだ。
(筆:藤澤雅義/週刊住宅2015.02.23掲載)