共用部の喫煙がトラブルに
喫煙に関しては、言いたいことがいっぱいある。食事をするところで吸うのはやめていただきたい。ランチでもディナーでも。特に寿司屋のカウンターで吸っている人がいると、ほんとうに腹が立つ。時代のトレンドを分かっていない。
30年以上前は、確かにそれこそ普通列車の中でもタバコを吸うのが許されたものだ。新幹線の座席でも吸えた。国際線の飛行機の中で完全に吸えなくなったのは、10数年前か。いまは、健康への意識の高まりもあって、喫煙することがマイナーなことになっている。
弊社では、社内は当然禁煙。会社主催の懇親会等でも完全禁煙だ。二次会でカラオケに行っても吸いたい人は外に行って吸う。それは吸わない人への配慮である。そろそろ非喫煙者も声を大きくしてもいいのではないか。(藤澤雅義)
「禁煙物件」に潜在ニーズ
今回は、「賃貸と喫煙」というテーマで書かせて頂きたい。
まだ、敷地内や建物共用部分、貸室内で「喫煙禁止」としている賃貸物件は少ない。しかし、そのニーズは潜在的にかなりあるのではないかと感じている。日本たばこ産業の調査によれば、平成26年の喫煙率は男性で30.3%、女性で9.8%(全年齢を対象)となっている。
別表からも分かる通り、どんどん喫煙率は減ってきている。平成26年9月時点での日本の人口男女比は男性49%・女性51%なので、男女合計での喫煙率は約20%になる。つまり、喫煙者は5人に1人だけだ。では、非喫煙者である80%の人達は、残り20%の喫煙を歓迎・容認しているのかと言えば決してそうではないだろう。
平成24年12月には、階下の住人がベランダで喫煙をしていることが原因で体調が悪くなったという訴えに対して、ベランダで喫煙をしていた男性に5万円の支払いを命じた判決が名古屋地裁であった。
全国の賃貸住宅の入居者から電話を受けている当社コールセンターでも、「隣接部屋の住民がベランダで喫煙していて臭い」「修繕業者が敷地内で喫煙していて不快」「エアコンがタバコ臭い」「吸殻がポイ捨てされている」といったタバコに関するクレームが増えてきた。非喫煙者がタバコの臭いにどれほど敏感であるのか、不快に感じているのか、喫煙者はおそらくほとんど想像できていないだろう。
先日、社員募集への応募者が当社に郵送してきた書類を開封したスタッフが言った言葉がある。「履歴書がタバコ臭い!この人やだな・・」だ。履歴書からタバコ臭を感じ取る敏感さや、間髪入れずに「この人嫌だ」につながるのには驚かされたが、実は多くの非喫煙者の感覚はこのスタッフと同じなのではないだろうか。
たしかに、以前喫煙者だったからか、それほどタバコ臭を気にしない私でも、ビジネスホテルに泊まるときには禁煙ルームを必ず選ぶし、それが無ければ違うホテルにする。喫煙を禁じている賃貸物件に非喫煙者が価値を感じる、つまり積極的にそういった物件を選ぶことがある時代にすでに突入しているのかもしれない。
オーナー視点で考えても、貸室内での喫煙は、入居者退去時の清掃費用やクロス貼り替え費用等が余計にかかることが多いというマイナス面がある。
「賃貸と喫煙」について改めて考えることで、賃貸物件に新しい価値を、賃貸経営には改善をもたらすことができるのではないだろうか。
(筆:先原秀和/週刊住宅2015.03.02掲載)