週刊住宅

公開日:2015年5月25日

第26回 管理物件での火災

第26回 管理物件での火災
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マニュアル化で迅速対応

直近の弊社管理物件での火災は、一人暮らし老人の自宅であった。RC住宅であったので、類焼はなかったが、室内は全焼である。そして、実はその部屋は以前より火災の心配をしていた部屋だった。それは「ゴミ部屋」だったからだ。

私も現地には行ったことがあるのだが、火災発生の可能性が高い気がしたこともあって、部屋を片付けるように入居者には指導をしていた。少しは改善もあったのだが、その矢先のことだった。けが人等がなかったのが、不幸中の幸いであった。無断で飼っていた真っ白な猫は焼死したが。ちなみに、入居者不在時の、この猫の仕業が火元ではないかと我々は疑っている。 (藤澤雅義)

 

当社ではこの1年で2件の火災が発生した。消防庁によると平成25年の総出火件数は48,095件、うち一般住宅は8,892件、共同住宅は4,103件、出火原因は図の通りである。

管理会社は特に「放火」及び「入居者の生活に起因する原因」による火災に対しての予防、そして、万が一火災が発生した際の対応について、あらかじめ対策を講じる必要がある。

 

放火の予防については、消防庁の「放火火災防止対策戦略プラン」などが参考になる。チェックリストを記入すると、物件の放火危険度が分かり、その対策が解説されている。

 

「入居者に起因する火災の予防」については、管理開始時や契約更新時に火災保険の案内等を行う。危険性が高い入居者には継続訪問し、生活指導をすることもあるだろう。ただ、入居者の生活を全て把握する事はできない。

保険未加入者を加入させることに時間がかかる場合もある。結局は相手次第な点が残る。場合によっては、管理会社が入居者に保険を掛けることもできる。ある程度のボリュームであれば、包括保険を利用する方法もある。包括保険であれば、加入者の管理も容易にできるため、業務負担を軽減できる。

 

火災が発生した場合、担当者は出火時点から緊急出動、周囲のトラブル対応、復旧工事、保険手続きと駆け回ることになる。特に保険会社とのやりとりは多く、「失火責任法」などの理解があると、よりスムーズに適切な対応ができるのではないだろうか。

「失火責任法」は簡単に言えば、入居者が火災を起こした場合、重過失がなければ、オーナーの建物や隣人の家財を損害賠償する義務がないというものだ(重過失とは、寝タバコ、てんぷら油を火にかけたままその場を離れた場合など)。

したがって、多くの場合、建物はオーナーの、隣人の家財は隣人の火災保険を適用する事となる。もし、重過失があっても日常生活に起因した火災であれば、個人賠償責任補償を適用することができる。

 

だだし、賃貸住宅で気を付けないといけないのは、入居者は善管注意義務と原状回復義務を負っており、これらは失火責任法の適用を受けない点だ。建物を復旧したオーナーの保険会社が入居者に対して費用を求償することが考えられる。この場合、入居者の借家人賠償責任補償を適用することになる。これらの賠償責任補償は火災保険の特約として付帯されている場合が多い。

火災は滅多に起きるものではないので、対応経験がある担当者も少ない。しかし発生した場合には迅速かつ正確な対応が要求される。上記はごく一部にすぎないが、こういった知識や対応方法について、あらかじめ社内でマニュアルなどにしておきたい。

(筆:片平智也/週刊住宅2015.05.25掲載)


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