負荷を与えて部下育成
管理会社は人が命である。
モノを売っているわけではなく、人のサービスを売っているビジネスモデルなのだから、当然である。では肝心のスタッフの人事評価や教育制度はどう行われているだろうか。会社の中核を担う課長、次長、部長らに会社として何を求めていくかが重要だ。
これらはマネジメントを行う立場の役職であるが、マネージャーとはなんだろうか?
リーダーとは?
すぐ頭に浮かぶ答えとしては、「部下に対してリーダーシップを発揮し、業務のパフォーマンスを最大にすること」だろう。営業であるなら、その部署の年間のノルマを達成するために、各担当の進捗管理をして、数字を上げるためにいろいろな戦略を練っていく、ということだろう。
しかし、もっと大事なことがあるのではないか。
それは「人を育てる」ことだ。
プレーヤーとして、「皆を引っ張る」ことがマネジメントである、と誤解してはいないか。
もちろん確かにそれもマネジメントの範疇だが、プレーヤーとしての延長線上で捉えているとどこかズレが生じるようだ。「プレーヤー」と「マネジメント」は明確に違う。私自身もその違いに過去は鈍感であった。プレーヤーとしては優秀でも、マネジメントに関しては、まだ未熟という人が多い。「部下を育てる」ことに意識をもっと強く持つべきではないか。
当社は2年前から「ミッション・グレード制」を導入している。
これは、スタッフの役割・等級に沿って、半期ごとにミッション(業務における課題、目標)を上司が部下に与え、その成果でもって評価を変えるシステムだ。しかし、マネージャーによっては、部下に与えるミッションを簡単なものにしてしまったり、その進捗管理を怠る人がまだいる。
ミッションとは、現在の部下のレベルより「少し難易度の高い」内容の業務を課題とし、少し「負荷」を与えることで、部下の成長を促す役目を果たすものなのに、その意味をまだ理解し切れていないようだ。
部下の足りない点を指摘し、それを克服するためには何を課題としたら良いかをよく考え、興味をもたせ、自覚を促し、一緒になってその実行を支援する、それが「マネジメント」の重要な要素だ。
(筆:藤澤雅義/週刊住宅2015.06.22掲載)