門扉や外溝など第一印象を改善
実務でよく遭遇することだが、20㎡を切る狭いワンルームがなかなか決まらない。理由ははっきりしている。それは所謂3点ユニットのバスルーム、つまり「バス・トイレ一緒タイプ」というやつだからだ。
トイレを別にしてシャワーブースだけにしてみたりするのだが、結構コストがかかる。我が社の結論はこうだ。部屋の内部は諦める。
そして、外構・外観・共用部をデザイン的にアレンジする。そのほうがコスパが高い。(藤澤雅義)
大半のお客様は実際の物件を内見してから、その部屋を申し込むかどうかを決めているが、その判断に大きく影響を与えると言っても過言ではない「カーブアピール」というものがある。
カーブアピールの「カーブ」とは英語で縁石という意味で、歩道や通路のアプローチからみた物件の見栄えを意味しており、物件の第一印象を決めるものと言える。物件のグレード感や清潔感などもカーブアピールのひとつだ。
せっかく部屋をフルリフォームしているにもかかわらず、部屋に辿り着く手前のカーブアピールに気を配っていないため、損をしている物件も少なくない。カーブアピールの改善は比較的安価でできることも多く、部屋の成約と直結しやすい、費用対効果の高い空室対策だ。
カーブアピールの改善ポイントの1つに、敷地内のゴミ置き場がある。常にゴミで溢れかえっていたり(写真1)、ゴミ置き場が道路に面しているため、通行人等のゴミ置き場になっていることもある。
この場合はしっかりとしたゴミ置き場のスペースを確保したり(写真2)、部外者からの不法投棄をさせないように入居者のみ使えるダストBOXを新たに設置するなどの対策が有効だ。
改善ポイントのふたつ目に、敷地周りの門扉・フェンス等と、敷地入り口からエントランスまでのアプローチ部分。
つい費用を惜しんで一般的なブロック積みに白いアルミフェンス、コンクリートを敷き均しただけの殺風景なアプローチで済ませてはいないだろうか。
想像して欲しい、「写真3」の物件の外構がただのブロック積みだったなら…
物件の第一印象は大きく異なってしまうだろう。アプローチ部分にしても、植栽に気を配ってみる、インターロッキング敷きにするなどといったアレンジを施すだけで、物件に対する第一印象は大きく変わる。
カーブアピールの改善は、新規入居者を取り込みに効果をもたらすだけでなく、既存入居者にとっても住み続けることへの満足度が高まり、解約抑止にも繋がる。もちろん物件の価値が上がることは言うまでもない。
人も見た目という第一印象で判断されることが多く、次に性格・内面と進んで、人となりが判断されるが、それはやはり物件も同様と言えるだろう。
物件の身だしなみと言えるカーブアピールを整えておくことが閑散期にも行える空室対策であり、早期成約へと直結するのではないだろうか。
(筆:原田亮/週刊住宅2015.07.13掲載)