オーナーや借主からの収集も
マイナンバー制度がはじまる。昔、導入が検討されて頓挫していた「国民総背番号制」のことだ。「背番号制」というとなにかイメージが悪くいろいろ反対にあって導入が遅れたが、名称を「マイナンバー」と「明るく」して、ついに施行である。
国民全体のことを考えれば良い制度だとおもうが、実は管理会社にとってはちょっとやっかいな制度なのである。(藤澤雅義)
2015年10月1日から、日本国内に住民票を有する人全員に12桁の「マイナンバー」が通知される。マイナンバーは、社会保障・税金・災害対策の手続きをする際に必要となるため、会社としては従業員のマイナンバーを教えてもらわないといけないなぁと考えている方も多いと思う。
しかし、実は我々管理会社の場合はそれだけではない。個人オーナーから会社が部屋を借り上げている場合、つまり個人オーナーからサブリースをしている管理物件があれば、ほとんどのケースでそのオーナーのマイナンバーを教えてもらう必要がある。税務署に提出しなければならない「不動産の使用料等の支払い調書」に家賃を支払った相手である個人オーナーのマイナンバーを記載しなければならないからだ(2017年1月からの予定)。
また、サブリースをしていない会社であっても、管理物件において、貸主が個人で借主が法人という形は多くあるだろう。その借主である法人から貸主のマイナンバーを教えてくれと、管理会社に言ってくることがあるはずだ。サブリースと同じく、借主である法人が支払い調書を提出する際に必要になるからだ。そういった問い合わせへの対応方法も明確にしておかなければ、管理の現場は混乱する。
マイナンバーは、氏名・住所・生年月日などのいわゆる「個人情報」と言われるものよりも、より重要度の高い「特定個人情報」という扱いになっている。当然、その管理運用について厳しいルールが定められている。漏洩に対する罰則もある。マイナンバーの管理運用ルールや管理責任者などを定めておかないととても対応できないだろう。
また、従業員や個人オーナーのマイナンバーを、どういった方法で収集するのかという点も考える必要がある。電話やメールで気軽に教えてもらえるものではないからだ。
マイナンバーの収集や管理を代行するサービスも出てきているので、そういった外部業者に委託するのも方法の1つだ。少し前までは、私もそれほどマイナンバーについて重くとらえていなかった。しかし、調べていくうちに、特にサブリースが多い当社では結構な業務負荷がかかるであろうことが分かってきた。
サブリースをしていない管理会社も無関係とはいかない。賃貸管理業は、マイナンバー制度の影響が大きい業種の1つなのだ。対応が後手に回らないように、今のうちからマイナンバー対策を社内で検討し、推進していくことをお薦めする。
(筆:先原秀和/週刊住宅2015.07.20掲載)