会社の〝仕事力〟をアピール
賃貸管理会社には、管理戸数を増やすという至上命題がある。
その手法にはいろいろなものがあるが、発生原因別に分類すると、オーナーへの直接営業と間接的な営業の二つに大きく分けられる。
直接営業には、①地域の不動産オーナーへの単純な飛び込み営業、②リニューアル提案や相続対策提案を契機に、③ホームページ反響から、④お知らせ看板からの営業、⑤コンサル(例えば立退き交渉のアドバイス等)があり、間接営業には①建築会社・設計事務所からの紹介、②不動産業者(売買系)や金融機関からの紹介、③提携先企業から、また④既存オーナーや知人からの紹介、などがある。
それぞれ、おろそかにしてはいけない営業手法だが、オーナーの開拓をするために既に多くの会社がしていて、効果の上がるものがある。それは対オーナーセミナーの開催である。賃貸経営に関するあらゆることをテーマに定期開催するのだ。必ずしも即効性がいつもあるとは言えないが、今までやられていない会社は取り組むべきではないかと思う。
そのメリットは、オーナーに対して情報をアウトプットすることで、まず①会社としてのステイタスが上がることが考えられる。学びの場を提供することができる会社というのは、できていない会社よりはひとつ格が上、といえる。当然、賃貸経営に関する悩み相談をオーナーもしやすくなるので、管理受託に繋がる可能性が高い。
また、セミナーの企画を立て、講師とテーマを選定し、主催して、集客をして、司会を立ててひと通りのプログラムをこなすことで、②会社全体の「仕事力」を参加者に見せつけることができるのである。参加者はじっと見ているのである。
ボロが出てしまってはいけないが、キチンと準備をすれば大丈夫である。来場者は何も言わないが、セミナーの一部始終からその会社の力というか、組織力や実行力といったものを感じ取るのではないだろうか。だから、仕事を依頼されるのだ。
営業はこちらから訪問するばかりではない。こちらに「来てもらう」のも営業だ。来てもらって、会社全体のパワーを感じてもらうのだ。
私は仕事は「組織で仕組み化」しなくてはいけないと日頃から思っている。
営業の世界は、個々人の営業パーソンのスキルに頼ってしまうきらいがある。彼が彼女が口八丁手八丁でオーナーを口説いてきた、というものである。それも大事ではあるが、会社のメンバーのそれぞれが役割をはたして組織として機能させて、オーナーセミナーを開催する。
それを定期に行うことで、毎回ある一定数の顧客が発生するという「仕組み」が大事なのではないかと思うのである。
(筆・藤澤雅義/週刊住宅2015.08.24掲載)