週刊住宅

公開日:2015年11月23日

第50回 電話対応ミスでクレーム悪化

第50回 電話対応ミスでクレーム悪化
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想像力がトラブル回避の鍵

「相手の立場を想像する」ということは、とても重要なことだ。この点については、遠藤課長ともよく話しをする。はたして、相手の状況をイメージしながら話しているのだろうか、脳内スクリーンにその絵は浮かんでいるのだろうか。これはひょっとして先天的なものなのか、それとも訓練で変えられるものなのか、意外に大きなテーマだと思う。 (藤澤雅義)

たった1本の電話で、大切なオーナーや入居者を怒らせてしまった。

更には、管理契約や賃貸借契約が解除となってしまったという経験はないだろうか。怒らせてしまった原因は様々であるが、怒らせてしまう「ちょっとしたきっかけ」がある場合が多い。

 

賃貸管理会社より入居者窓口業務を請け負っている当社コールセンターで、マネージャーという役割を担っている私は、しばしばこのお怒りの入居者にスタッフに替わってお詫びをする場面がある。

入居者は自分の要望やクレームが解決されないから怒っているのではなく、対応したスタッフが「謝らなかった」、もしくは「他人ごとのように対応した」という極めて感情的な理由が最も多く、こういう場合の怒りはなかなか収まらないものだ。

 

当社では、スタッフの対応スキルの確認や育成のため、通話録音を聞いて、その内容の品質を指導している。その中でこういったやり取りがあった。

入居者:「入浴中に、急にお湯が出なくなったのですが」

オペレーター:「はい、お手数ですが、まずは給湯器の電源リセットを試してください」

 

このやり取りに違和感はないだろうか。手順そのものは間違ってはいない。

しかし、まずは「お詫び」をすべきなのだ。しかし、その言葉が出てこない。確かに入居者は謝ってほしいために電話をした訳ではない。給湯器の不具合を直して欲しいだけだったのだ。しかし、お詫びの言葉がなかったことがきっかけで、設備故障は仕方がないと理解を示す入居者から、無理難題を言う人へと変わってしまう。

コールセンター等ではない限り、スタッフの電話対応のスキルを確認している会社はほとんどないだろうが、実は、必要な場面でお詫びの言葉が出ないまま、話のやり取りが進んでいることがよくあるのだ。

 

「謝らなかった」要因の1つは、相手の状況を瞬時に判断できる能力、つまり想像力の欠如である。電話の相手が、どのような状況であるのかをイメージできれば、お詫びの言葉が真っ先に出てくるはずだ。設備故障の知識がないスタッフでも、お詫びはできるであろう。

そしてまた、「他人ごとのように対応した」という要因は、自分が担当者ではない、自分では判断できない問題だった場合に電話を早く専門の担当者へ回そう、電話を早く切ろう、と考えて聞く姿勢が欠け、無責任な対応になってしまうのだ。顔が見えない電話でも相手に伝わるのだ。

 

こういったことがきっかけで電話の相手を怒らせてしまい、新たな問題を生み出し余計なクレームを引き起こすことになる。電話対応は質問に答えられる知識だけではなく、「想像力」とスタッフの「責任感」がとても重要なポイントである。

知識と異なり、目に見えないものを教えることは容易ではないが、想像力のトレーニングなどで少しでもこのスキルを上げたいものだ。

 (筆・遠藤広美/週刊住宅2015.11.23掲載)


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