贈り物など接する機会つくる
オーナーとは、電話や訪問といった個別の対話だけではない接触の機会をいろいろと作りたいものだ。電話や訪問にはおのずと限界がある。それはひとつの「仕組み化」であり、属人化を廃することに繋がっている。会社全体でオーナーと向き合っているのだ。(藤澤雅義)
たとえば、運用状況の良い物件、つまりほぼ満室稼働で賃料滞納も無い、入居者からも特に大きなクレームも無い、管理状況にも特に問題は無いといった物件のオーナーとは、意外に疎遠となってしまうことがあるものだ。
いろいろと問題のある物件のオーナーとは、しょっちゅう連絡を取り合う必要があるので、密な関係になるが、取り敢えずうまくいっている物件のオーナーとはそう言えばしばらく会話をしていない、なんていうことがある。うまくいっているとは言っても、それは表面的なことであるかもしれないし、100%課題がない物件などない。
オーナーの「資産管理会社」を目指すものとしては、相続設計や不動産以外の資産運用についても、アドバイスをして関わっていきたいという気持ちもある。もっとオーナーと接触したいのだ。
しかし、時間には限りがあるし、地域密着の管理会社ならいいが、たとえば都心型の管理会社だと物件やオーナーの住所が会社から結構離れていたり、点在していたりして、訪問するにも気軽に行けないなどという場合もある。
当社も「都心型」管理会社であり、正直にいってオーナーとはなかなか会う時間が作れない。そこで、当社ではオーナーに対し、次のようなアフターフォローを実施している。
それは
①オーナーの誕生日に花束のプレゼント、
②オーナーへ毎月の情報発信、
③オーナー会等のイベントの開催、である。
①は正確にいうと、オーナーの奥様のお誕生日に花束をプレゼントしているのであるが、創業時より20年近く続けられているサービスである。多くのオーナーから好評を得られているため、息の長いサービスとなっている。花束をプレゼントされて嬉しくない女性などいないであろう。花はモノではない、「夢」なのだ。
②「情報発信」とは会報誌発行のことである。A4カラーで6ページの原稿だ。毎月、賃貸経営にまつわる最新情報や当社内での出来事を紹介している。
会報誌は毎月送付の賃料収入明細書に同封されるため、オーナーの目に触れる機会も多く、その反響で別の仕事につながる事もある。急きょお会いすることになったオーナーに対しても共通の話題として利用ができる。
③「オーナー会等のイベント」の開催は、一度に多くのオーナーとお会いできることが大きな利点である。毎年12月には「クリスマス・パーティー」を開催しているし、「ゴルフコンペ」も行った。当社では「落語会」なども主宰しているので、オーナーをご招待をしている。
当然、仕事の話もするのだが、基本的にはイベントを楽しんでもらうスタンスのため、リラックスした状態のオーナーと接することができるのも良い。また、オーナーセミナーも定期的に開催して勉強の場も提供している。
(筆:児玉和俊/週刊住宅2015.11.30掲載)