週刊住宅

公開日:2015年12月21日

第54回 物件収支を簡単に算出

第54回 物件収支を簡単に算出
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契約後の赤字発覚を抑制

「営業担当」という種類のひとは、論理的な思考ができないのではないか?と訝しく思うことがある。収益が赤字の物件は、管理料を上げてもらうなりの交渉を物件オーナーにして、だめなら管理が離れることも仕方がないではないか、と私がいうと、そんな強気のことをいったら管理が離れますよ、という。

「???」何をいっているんだ?論理が破綻している・・・。とにかく管理戸数を増やせればいいと思い込んでいるのである。(藤澤雅義)

 

「大型物件の管理契約を決めました!」意気揚々と報告する営業マン。管理会社にとって管理戸数が増えるのは何よりも嬉しいことだ。管理戸数が増えるほど、利益も増えるはず。しかし、蓋を開けてみると全く利益が上がっていない物件もある。

 

なぜ、こういったことが起きるのか。

それは、管理戸数を増やすことばかりに気を取られ、本来重視すべきである「利益」に注意が欠けていたからではないだろうか。

当社でも、営業マンに「売上目標と戸数目標はいくらか」と聞くと即答できるが、「管理契約した物件の利益はいくらか」と聞くと途端に答えられなくなることがある。売上や戸数に比べると、各物件がもたらす利益は見えにくい。

 

こういった事態を避けるには、

①物件ごとの利益を簡単に算出できる仕組みを作り、

②管理を受ける際には、適正な利益が得られる条件で管理契約を結ぶことが必要だ。

 

そこで、当社では図のような「物件収支分析表」を用いることにした。管理契約をする前に冷静に分析をするのだ。

 

物件情報を入力すると概算の利益が算出される。物件ごとに利益に差が出るため、適正な利益が得られるように管理条件に調整を行う。そのため、あらかじめ適正な利益額、利益率の基準を定めておく必要もある。

入力する項目により利益が変わるのだが、特に管理料が家賃の○○%という契約形態の場合、家賃の実額の大小による利益への影響は大きい。各項目が収入と支出に対していくら影響するのかを数値化し、計算に反映する必要があるため、収支表の精度を高める作業は骨が折れる。

 

しかし、物件収支分析を日頃の業務に取り入れることができれば、営業マンの利益に対する意識は大きく変化する。これまで曖昧だった利益が具体的な数値で認識できるため、自分が契約した物件がどれくらい会社に貢献できているのか一目でわかる。

そこで、何とか一定以上の利益を保とうと、条件の調整や交渉をするようになる。その結果、管理したら「実は赤字」という物件を抑制することに繋がる。

 

ただし、営業マンだけが変わっても効果が期待できない。大切なのは、会社が利益を重視する方針を明確に示し、それに基づいた目標設定や評価方法を整えることだ。

そうすることができれば、営業マンはさらに能力を発揮し、より大きな効果を得ることができるだろう。

(筆:片平智也/週刊住宅2015.12.21-28 掲載)


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