週刊住宅

公開日:2016年1月4日

第55回 オーナーの目標・目的

第55回 オーナーの目標・目的
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収益よりステータス重視も

不動産オーナーの目標・目的は人によって様々だ。そして、オーナー自身も自分でもそれがよくわかっていない場合もある。自分が何をしたいのか、その答えをオーナーと一緒に探していく気構えも必要ではないか。クライアントが明確な意見を持っていることなど、かえって珍しいとも思う。(藤澤雅義)

「ローンの残債も無いのであれば、建物そのものを売ってしまうというのも1つの手ですよ」

私の過去の失敗談で、オーナーへの提案を受け入れてもらえなかった案件がある。将来受け継ぐ予定である賃貸マンションの陳腐化が進み、長期間空室が続いているというので、その物件に追加投資を行ない、リノベーションを施して満室にして物件の価値を高め、その後に売却した方がいいと提案したのだが、一向に提案を受け入れてもらえないのだ。こういった場合は是非オーナーの目標と目的は何なのかをしっかりと確認することをお勧めする。

では、それは一体どのようなものか。具体的には5つ(プラスアルファ)の目標と目的があると考えられる(図参照)。

①は言うまでもなく、不動産を持ち続けることで得られる安定した収入だ。賃貸不動産事業であれば多くの方がこれを一番の目的としているだろう。

 

②は不動産投資分析をしっかりと行うことで、資産(自己資本)を着実に形成することが出来る。また、不動産投資はインフレ経済下における財産保全の方法と言われている。

 

③はオーナー自身の工夫次第によって(ありきたりな白いクロスから、アクセントカラーのクロスを部屋の一部分にはったり、ごく普通の照明を間接照明やスポットライトに変える等)空室期間が短くなったり、賃料アップも可能となり人気物件に生まれ変わらせることで収益性を高めることが出来る。

 

④は、不動産投資の場合、物件を担保に差し入れることで金融機関は貸し倒れのリスクが減るため、その結果として低い金利で融資を行う。オーナーは金融機関から低い金利で資金調達し、その資金を用いてより高い利回りで運用することによって、多くの収益をあげることが可能となる。この手法をレバレッジ効果と呼ぶ。自己資金だけではなく、借入を行うことでより多くの投資効果を得ることが出来るのだ。

 

⑤は建物の減価償却費や、不動産運営における必要経費が認められるので所得税や住民税の節税対策となり、相続税上も土地・建物ともに評価減とすることができる。

 

⑥は、「不動産オーナー」であるというステイタスだ。私が提案していたオーナーの目標はまさにこのオーナーシップだった。『周りからの自分に対する評価が、物件を売ってしまうことで「資産家ではなくなった」と変わってしまう』と、地元の評価を第一に気にしていたのだ。

 

 

なるほど、それであれば売却という選択肢は受け入れるはずがない。最終的にはリノベ提案を受け入れて頂き、③と⑥の目的を叶えて今でも保有し続けておられる。不動産投資を行うきっかけはオーナーそれぞれの思いがあり、どんなきっかけであっても構わない。

 

しかし「なんのために」「何を実現するために」不動産投資をするのか、プロパティマネージャーはオーナーの目標・目的を明確に把握しておかなくては、取るべき手法の選択基準が自ずと違ってくるのだ。

(筆:原田亮/週刊住宅2016.1.4 掲載)


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