週刊住宅

公開日:2016年2月15日

第61回 米国のスタッフ教育

第61回 米国のスタッフ教育
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教育プログラムを構築

サンフランシスコの管理会社を2年ぶりに訪問し、いろいろな刺激を受けて帰ってきた。はっきり言って日本は10年遅れている、というのが結論なのだが、我々もすぐに取り入れて実行することができるものもある。それは社員教育に関することだ。必要な知識を必要な人に的確に提供する、という姿勢が大事だと痛感した。(藤澤雅義)

先月、アメリカの不動産理会社を視察させてもらう機会があったのだが、その中で「スタッフの教育」について印象的だったことがある。ある上司が部下からセクハラで訴えられた。結局セクハラは言いがかりだったのだが、仕事の話をするために2人きりで食事をするなど、部下との距離が近すぎる傾向にはあったようだ。

ある時、部下の勤務態度を原因として解雇せざるを得なくなり、その報復として近すぎた距離感を逆手に取られて訴えられたらしい。

 

その上司に対して会社は、「彼(上司)には、セクハラについての教育をしていなかった。悪いのは会社であり、彼にペナルティは課さない」という姿勢だった。「セクハラは濡れ衣なので彼に責任は無い」は理解できるが、「セクハラ教育をしていなかった会社が悪い」と言い切る姿勢には感銘を受けた。スタッフ教育は会社の責任だと言っているのだ。

 

スタッフ400人を抱えるこの会社では、全スタッフに対して年間の学習プログラムを作成している。受講すべき講座やセミナー、推奨する学習項目や資格など、スタッフそれぞれに合わせたプログラムを組むのだ。

そのベースになるのが、職務記述書、スタッフの現時点の能力を記したスキルシート、そして本人希望の3つだ。職務記述書には、各職位で期待される役割や業務内容をはじめ、必要なスキルや知識についても記されている。

 

例えば、現場の不動産管理士に必要なものとしては、「建物設備の基礎知識」から「英語で書かれた書類を読んで理解する能力」、そして、「個人での自動車保有、および有効な運転免許証と保険」までもが書かれていた。この職務記述書で必要とされるスキルと、スキルシートを照らし合わせて、不足スキルの解消や上位職に進むために必要な講義などがプログラムに組み込まれる。

個人が学習を希望している項目があればそれも考慮される。各スタッフの学習プログラムを作成するのは相当大変だと思うが、人財であるスタッフを大切にし、そして育成するためには当然とすら考えているようだ。

 

スタッフにとっても、学習目標を示されることで、自主性に全てを委ねられるよりも遥かに取り組みやすく、また達成感も感じられるのではないだろうか。

この会社では、皆がとても明るく楽しそうに働いているのだが、その理由の1つにはこういった会社の姿勢があるのかもしれない。ここまで徹底している姿勢に触れ、「いかにスタッフの教育に取り組むか」を改めて考える好機になった。

(筆:先原秀和/週刊住宅2016.2.15 掲載)


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