週刊住宅

公開日:2016年4月25日

第71回 情報収集とデータ分析

第71回 情報収集とデータ分析
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物件と比較し運用判断

「全国賃貸住宅実態調査」、通称「NOI率調査」が今年も発表された。年々調査戸数も増えて充実してきた。このような調査をすることは非常に意義があると思うが、日本よりアメリカのほうが何事においてもデータの収集と分析を重んじていて、一歩も二歩も進んでいる。

アメリカ在住の日本人の友人がいうには、アメリカ人は少々データが間違っていたとしても、とにかくデータ集めを実行するのだ。それに比べて日本は、細かいことを気にして実行が遅れる傾向がある、と指摘していた。実行が大事だ。(藤澤雅義)

 

IREM JAPAN、ネクスト、日管協が協力して全国の賃貸不動産を分析した「第4回 全国賃貸住宅実態調査」の結果が公表された。IREM JAPANのHPから誰でも無料でダウンロードできるこの調査結果は、約1万棟、14都道府県24地域の賃貸不動産を、物件タイプや築年数、構造別などで調査分析したものだ。

 

それぞれの空室率、運営比率、NOI率、平均家賃、戸当たり運営費額等々、様々なデータを得ることができる。こういったデータと管理物件のそれとを比較することで、その物件の運用状況が適切であるのか、どのような改善が考えられるのかなどの判断材料になる。調査結果の1つを例に考えてみよう。

 

神奈川県横浜市の単身向け非木造タイプ物件の平均空室率は4.11%という結果となっている。同地域内で空室率が8%の管理物件があったとすれば、「年間の解約戸数が多すぎる」、または「平均空室期間が長すぎる」といった原因が考えられる。市場平均より4%も高い空室率になっている理由を分析し、それを改善するための手段を考える必要がある。

また、同調査結果による前出の物件タイプにかかる、1戸あたりの平均月額運営費は\17,164。例えば、管理物件の月額運営費が\20,000であったならば、無駄な運営費をかけてしまっている可能性も考え、支出項目の確認や見直しをする必要があるだろう。

 

不動産市場の仕組みが日本よりも10年進んでいると言われるアメリカでは、こういったデータの分析や情報開示がかなり整備されている。

実際の取引価格をはじめ物件の詳細情報を得ることができるMLS(不動産ライセンスの保有者のみがアクセス可能)、一般人でもそういった情報が入手できるサイトZillowやRedfin、地域別・物件タイプ別にかなり細かな賃貸運営に関するデータが得られるIREMレポートなどはその代表格と言える。

そうした情報ソースから得られるデータ群は、投資家が物件を売買する際にはもちろん、賃貸物件の運用にも大いに役立っているそうだ。

 

日本では、残念ながらこのようなデータ分析や情報開示の仕組みは遅れているが、役に立つ情報源(図表)はいくつかある。今後、透明性の高い安全な取り引き、そして市場の一層の活性化のためにも、日本でも不動産投資や運用に関わる有用なデータが整備され入手しやすい環境がつくられていくことを是非とも期待したいものだ。

(筆:先原秀和/週刊住宅2016.04.25―05.02 掲載)


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