週刊住宅

公開日:2016年6月6日

第76回 仕事を取捨選択し生産性向上

第76回 仕事を取捨選択し生産性向上
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〝やらない〟業務を決める

なぜ、いつも時間が足らないのだろうか。特に賃貸管理会社は仕事が終わらない。残業ばかりになってしまう。それは、なんでもかんでもやるからいけないのだ。「優先順位」をつけることが大変重要である。大事な仕事からまずやる、という習慣をつけるだけでかなり生産性が変わってくるものだ。(藤澤雅義)

繁忙期は通常期よりも入居希望者が増えるため、空室対策のまたとないチャンスである。入居が決まれば管理会社にとって管理料収入も増し、オーナーからの信頼も得られるのだが、果たしてこの絶好の機会を十分に生かし切れているだろうか。

本来やらなければならないことが何かを分かっているのに、目の前には鳴り止まぬ電話対応や退去立会いなどで、1日があっという間に過ぎ行く。

 

忙しさが続くと、ついつい仕事の優先順位づけをおろそかにしてしまう。どうしても緊急性の高い仕事や、納期のある仕事が優先するため、必然的にオーナーへの空室要因分析や空室対策提案など、じっくりと戦略を考える時間が取れなくなる。しかも、やってしまう仕事のほとんどは、作業的な仕事が中心であるから、組織全体の労働生産性が低下する・・・という、悪循環を招くのである。生産性を高めるには、仕事の取捨選択が重要なのである。

 

仕事の仕方は、よくTODOリストなどと言って、やるべきタスクを書き出しておくやり方が主流であるが、そこには、そもそもやるべきではない仕事がたくさん含まれている。そこで、あらかじめ「やらない仕事を決めてしまう」のはどうだろう。日常的にやることがたくさんあるのであれば、必要な仕事に専念できるように、生産性の低いものを予め排除してしまうのである。それにより本来やるべき仕事に専念できる体制にする。

 

例えば、「鍵の管理」という仕事がある。

スペアキーの保管、交換用鍵の在庫管理、発注手配、現地での交換作業など幅広い。また、数年に一度大きなニュースにもなるが、管理担当者が入居者の部屋に不法侵入をするなどのことがあるため、鍵庫責任者の選定も重要である。それから鍵を保管するには、それなりのスペース確保も必要となる。

 

「鍵の管理」と言ってもこれだけ多岐にわたるのである。それであれば、いっそ会社として鍵の管理はしないと決めてしまうのは、どうか。万が一、物件の専有部でトラブルが発生して、開錠しなければならないのであれば、最悪その時に鍵を破壊して室内に入ることもできる。しかし、そのようなことは確率的にも滅多に起こらないわけであるから、鍵管理のコストやリスクを考えれば、「鍵の管理はしない」ということも選択できるのである。

 

なんでもかんでも、ただ業務をするのではなく、本来、管理会社に求められる仕事を優先する体制づくりが、管理会社の価値を高めることになるのではないか。

(筆:今井基次/週刊住宅2016.06.06 掲載)


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