週刊住宅

公開日:2016年6月13日

第77回 ゴミ置き場のリニューアル

第77回 ゴミ置き場のリニューアル
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費用対効果高く満足度向上

「たかがゴミ置き場、されどゴミ置き場」である。また、分譲マンションと賃貸マンションの違いを述べよ、と言われれば、それはゴミ置き場への配慮が違うという答えが返ってくることだろう。賃貸マンションのオーナーも配慮してほしいし、管理会社も改善の提案をすべきだろう。入居者のモラルが低いこともあって、ゴミ置き場が常時汚くなっている物件が多い。最優先で取り組むと良いと思うが。 (藤澤雅義)

首都圏の不動産管理会社約20社からなる「21C.住環境研究会」とリクルート住まいカンパニーによる「入居者ニーズと意識調査」が発表された。

 

この中から、ゴミ置き場のあり方について考えたい。

調査結果によると、物件を内見する人の8割以上が「物件の管理状況」を気にしており、確認した箇所は「ゴミ置き場」が最も多く、内見者の7割以上を占める。さらに、「自己負担でもほしい設備」という設問では、和室を洋室にリフォーム、水廻りのリフォームに次いで「24時間ゴミ出し可能」がランクインしており、入居者のゴミ置き場への関心の高さが伺える。

一方、賃貸の現場では、未だにゴミ置き場は緑色のネットを置いただけで、ゴミが散らかっている光景を目にすることもあり、入居者ニーズとの乖離を感じる。

 

写真はイメージ

ゴミ置き場のリニューアルに成功した事例を紹介したい。

その物件はエントランスが綺麗なマンションなのだが、ゴミ置き場をエントランス真横に置かざるを得ない作りだ。以前からゴミストッカーはあるものの、金網製で中のゴミは丸見え、夏は悪臭が漂う。ストッカーの容量は小さく、曜日を守らない入居者がいるとストッカー内でゴミが混合され、回収すらされずにゴミが溢れてしまう。折角内見に来てもらっても、部屋を見る以前にガッカリという状況だ。

 

そこで、ゴミ置き場をリニューアルすることとなった。新しいゴミストッカーは金属パネルで中身が見えないものとし、容量を増やした。ストッカー内部にさらにカゴを設置し、可燃・不燃・ビン・缶・PETとエリアを区切ることでゴミの混合を防ぎ、24時間ゴミ出し可能にした。

リニューアル後はパタリとゴミが溢れることがなくなった。ゴミストッカーが綺麗になったことに加え、24時間ゴミ出し可能にしたことで入居者の満足度は高まった。スペースを区切り、分別が明確になったことで業者の回収漏れがなくなった。内見者からの評判も良くなった。

 

ちなみに、21.Cの調査結果によると、「24時間ゴミ出し可能になるなら、家賃の値上がりをいくら許容できるか」という設問に対して、2551円という結果がある。先の事例物件は24戸なので、月額6万円(年額72万円)分の価値と言える。これに対してリニューアル費用は24万円だ。

また別の計算では、ゴミ置き場の償却年数(7年)から考えると年間費用は3.4万円、これを戸数で割ると月額119円の費用と言える。これらの数値を鵜呑みにする訳ではないが、ゴミ置き場リニューアルの費用対効果は大きいと言えるだろう。

 

入居者から選ばれる物件であり続けるためには、ゴミ置き場を良い状態にしたほうが良さそうだ。

(筆:片平智也/週刊住宅2016.06.13 掲載)


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