契約時に利用明確化を
禁煙者が増えている。ちなみに、当社では、男性で喫煙する人は、50人中2人くらい。逆に女性(50人)の喫煙率のほうが高い。
個人的には、寿司屋で煙草を吸う人がいるとかなり不愉快な気持ちになる。私は、毎回会計の際にまだ禁煙にしないのですか、と「提言」することにしている(笑)。煙草を吸うのは勝手だが、人には迷惑をかけないようにしてもらいたい。時代は変わったのだ。
2020年の東京オリンピックを契機に飲食店での喫煙は、かなり制限されるようになると言われている。良いことだ。(藤澤雅義)
近隣トラブルで最も多い「音の問題」に次いで、ここ最近、「臭い」についてのクレームが増えている。生ごみの臭いやペットの糞尿の臭いなどは耐えがたいものである。
音同様に感じ方には個人差があるが、この「臭い」にかなり敏感な入居者が増えてきている。そして「臭い」についてのクレームの中で特に多いのが、実は煙草の臭いである。
賃貸物件に住む喫煙者は、壁紙を汚したくない、家族から嫌がれるという理由で自宅での喫煙場所はベランダとしている場合が最も多いと思われる。ベランダを喫煙所としているこの行為が、近隣の部屋からのクレームの要因となっているのだ。
受動喫煙の害が広く知られるようになり、平成2012年12月にはベランダでの喫煙男性に5万円の支払いを命じる判決も出ている。
入居者窓口業務を行っている、当社コールセンターでも、ちょうどこの頃からベランダでの喫煙についてのクレームが徐々に入るようになった。年々件数も増え、今年に入り月平均約10~20件の入電がある。この件数はソフトクレーム全体の約1割に値する。
そして最近では、近隣の喫煙が原因での退去も数件発生している。厚生労働省国民健康栄養調査2014年(2015/12/9発表)では、習慣的に喫煙している人の割合は19.6%で、1996年は49.4%と2人に1人の割合だったが、その後は右肩下がりとなり、現在は5人に1人まで減っている。
近年の禁煙ブームで喫煙者にとってはかなり肩身が狭くなっているのだ。職場やレストランなどでも次々と喫煙場所がなくなり、自宅の室内で吸っても開口部や排気ダクトから室外に煙が流れるので、煙草のにおいを嫌う住民からはクレームを言われてしまう。
では、この喫煙に関するクレームはどう対処するべきか。「ベランダでの喫煙を禁止しろ!」とお怒りの入居者も多いが、いきなり禁止では注意された側の怒りに触れてしまい、さらなるクレームに発展してしまうことになる。
一般の賃貸物件では契約時に、ベランダの使用については触れていない場合が多いため、ベランダでの喫煙に関しては、配慮をお願いする程度しかできないのが実情だ。
全館禁煙の物件や階数ごとで分煙している物件も増えているようであるが、大半の賃貸物件は禁煙でも分煙でもない。
今後は、契約時にベランダの使用において、喫煙について明確にしておく必要があるだろう。
(筆:遠藤広美/週刊住宅2016.08.01- 08 掲載)