社内で喜びや楽しさ共感
全ては、「コミュニケーション不足」から起きている。話しあう機会があれば、誤解がとけたはずなのに、また、思っていたよりいい人だった、そんなことはいっぱいある。隣で机を並べて業務をこなしているだけでは、わからないことはたくさんあるのだ。そして、会社を辞める理由のほとんどは、「人間関係」なのだ。(藤澤雅義)
前回、「防ぐことができない離職」と「防ぐことのできたかもしれない離職」について意見を述べた。
従業員の離職を完全に無くすことは難しいが、「防ぐことのできたかもしれない離職」を、どのように減らせるのかが課題である。
施策としては大きく3つ、
①社内コミュニケーション、
②フォロー体制、
③評価制度見直しがある。
今回は①の社内コミュニケーションについて触れたい。
離職に関しては、実は、人間関係やコミュニケーション不足が原因となっているケースが圧倒的に多い。従業員同士、または上司と部下との間で、相互的な意見交換が減り、一方的な主張や情報伝達ばかりになるとコミュニケーションは崩壊する。
誰かがストレスを感じているなと感じたら、早めに意見交換の場を設けて、できるだけ「積極的に聞いてあげる」ことで、大きな問題に発展しづらくなる。
例えば、真面目な研修や意見交換の場で、あえて少しアルコールを入れて話しやすくする「ラーニング・バー」スタイルは、活発な意見交換をしやすい方法の一つでもある。また、仕事ばかりではなく、時には「共に遊ぶ」ことで、円滑なコミュニケーションを図りやすくなる。少しギクシャクしているな、と感じたら早い段階で「飲みニュケーション」や、スポーツやゲーム等の「イベント」の場を作り、相互的にリラックスして話せる場を設ける方法も良い。
それから、日常的に顔を合わせていると、お互いについ当たり前になり感謝の気持ちが不足してしまう。
そこで、当社では誰かからしてもらった「小さなありがとう」を、言葉だけでなく紙に書いて伝える「サンクスカード」という方法を採用している。決められた場所に箱を用意して(当社ではメールで一箇所に送るようにしている)誰に対してどんなことで助けられた、など感謝の気持ちを記入する。
それらを月に一回、全体朝礼で発表する。人前で褒められることは、誰でも悪い気がしないものだ。ポイントとしては、どんな小さなことでも構わないのでたくさん集めることである。
以上のように、喜びや楽しさを相互的に共感できる仕組み作りは、社内コミュニケーションを円滑に進めるためにも重要である。
(筆:今井基次/週刊住宅2016.10.24 掲載)