週刊住宅

公開日:2016年11月7日

第97回 〝管理〟と〝仲介〟がセルフ内見で論戦

第97回 〝管理〟と〝仲介〟がセルフ内見で論戦
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両者に求められる提案力

日頃、管理会社の方との意見交換が多いので、今回のイベントで、仲介をバリバリやっている方と意見交換することでいろいろと気付きがあった。「仲介は今後極めて簡易になっていく」という立場と、「いやいや、きめ細かい接客力が大事なのだ」という意見のぶつかりあいであった。(藤澤雅義)

先日、都内某所で【シン・フドウサン】というトークイベントが行われた。

これは賃貸管理をメインとする「賃貸フェス」と、賃貸仲介をメインとする「関東不動産会」のコラボによって実現した企画だ。

しかし、なにせ両者は“管理”と“仲介”。

 

「今後の不動産業界で生き残るには」というテーマで始まったものの、立場の違いから興味深い論戦がたびたび起こり、会場を賑わせた。

 

たとえば、セルフ内見を受け入れる人が増えている件について。

管理側から「仲介手数料の割引があるなら1人で(仲介の手伝いなしで)内見して構わない、とする人が9割いる」というアンケート結果(21C.住環境研究会・リクルート住まいカンパニー社)が提示されると、仲介サイドからはすぐに反発の声。

やはり賃貸仲介の立場からすれば、「そんなことはない、自分たちが背中を押しているからこそ、入居者はその部屋に決めているのだ」「管理会社が決めきれない物件を我々が決めている」という思いが強いだろう。

 

では管理サイドではどうかというと、当社の兄弟会社であるアートアベニュー社で取り組んでいる「セルフ内見」での申し込み件数は一定数あるものの、全体の申し込み件数に対してまだ1割にも満たない。アンケートでは部屋探しをした人の8割がセルフ内見で構わないとは言っているものの、実際にはそうなっていない。

なぜだろうか?

ここで仲介・管理の各社に求められるのは「提案力」だと考える。

 

仲介サイドでは、「あなたが問い合わせをしてきた物件では、ご希望の条件をかなえることが出来ません」「この部屋では将来必ず手狭になります」といったように、部屋探しの方が気付いていない関心事に目を向けて、問い合わせ物件以外にも複数物件を提案し、そこでの新しい生活を「提案する力」が必要となる。そうでなければセルフ内見で充分事足りてしまう。

 

反対に管理サイドでは、ポータルサイトに掲載する物件の質を向上させ、部屋探しの人が仲介の手を借りずに、セルフ内見で充分決めきれる「魅力的な物件」を作り上げなくてはならない。そのためには物件のオーナーに対しての「提案力」が必要となる。

それが出来ないのであれば、やはり仲介営業会社に頼らざるを得ないのではないだろうか。

 

仲介も管理も経験してきた身としては、どちらの意見も、どちらの改善点もよく分かる。だからこそ、互いに刺激を与え合う今回のような機会が増えることには賛成だ。

今の時代、自身の領域だけで縮こまっていても進化はない。相互に関わり合い、理解を深め、業界に対して有益な「提案」を投げかけることができれば、新しい不動産の道も拓かれるのではないだろうか。

(筆:原田亮/週刊住宅2016.11.07 掲載)


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