賃料見直しなどに活用
賃貸住宅における平均居住期間の出し方であるが、よく行われているのが、解約した人ごとにどのくらい住んでいたかをチェックして一覧表を作り、その平均を出すやり方である。
残念ながら、これは正確な数値にはならない。
なぜなら、「解約した人」の平均居住期間だからだ。賃貸住宅には、解約した人の裏に、15年も20年も住んでいる人がいるからだ。よって、実際のものより少ない期間になってしまう。
正確な数値の出し方は、[式1]である。
仮に解約率が20%である場合、総戸数が5戸の物件があった場合には、毎年平均で1戸が解約するということになる。表であらわすと、[表2]のようになる。
この表は各戸が平均的に解約するよう表現しているのだが、101号室の1回目の解約から2回目の解約までちょうど5年経過していることから、「解約の周期」が5年であることがわかる。
この「解約の周期」は解約率から逆算できる。
その式は、「100% ÷解約率=解約の周期」、すなわち「100%÷20%=5年」となる。
そして、この5年という数値は、あくまで「解約の周期」であって、「居住期間」そのものではない。この5年の周期の中には、「空室期間」も含んでいるからだ。
「解約の周期=実際の居住期間+平均空室期間」ということになる。平均空室期間は、退去してから次の入居者が決まるまでの期間だ。
よって、「平均居住期間」を導くためには、[式1]という式となる。
「平均居住期間」は、「解約率」と「平均空室期間」の数値があれば、理論的に計算することができるのだ。
この「平均居住期間」がわかれば、たとえば、付加価値を付けて賃料を2,000円上げて決めたら、その入居者単体で平均的にどれくらいの売上が上がるのかを推測することができる。
平均居住期間が54カ月なら、2,000円×54カ月=108,000円となる。これを付加価値を付けるためのコストと比較すれば良いのだ。(注:この場合の「解約率」は、「分母を物件の戸数とした解約率」とする)
(筆:藤澤雅義/週刊住宅2016.12.12 掲載)