週刊住宅

公開日:2017年1月16日

第107回 オプション付き中途解約条項

第107回 オプション付き中途解約条項
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解約不可で家賃を減額

昔からそうだからといって、何も変化しないのもおかしいことだ。建物賃貸借契約のあり方ももうちょっとバリエーションがあっていいかもしれない。(藤澤雅義)

賃貸住宅の中途解約は「借主からの1ヶ月前予告で可能」となっていることが多いが、この中途解約条項が無いとどうなるのだろうか。その場合でも、借主からは3ヶ月前に通知すれば解約可能と誤解されることが多いのだが、実は「中途解約ができない契約になる」が正解だ。

契約期間中は本来借り続けることが原則であり、だからこそ短期解約違約金など、中途解約に伴うペナルティ設定も有効になる。つまり、中途解約条項の工夫次第で、解約の在り方をコントロールし、オーナーの賃貸経営にプラスの効果をもたらすこともできるということだ。

 

例えば、契約期間4年間、中途解約は不可にするかわりに家賃は毎月3,000円値引きするというオプションはどうだろう。

オーナーは、4年間は解約の心配から解放される。借主は、中途解約こそできないが総額144,000円の家賃減額の恩恵にあずかれる。これから4年制の大学に入学する学生などには、こういった契約の選択肢もあれば喜ばれるのではないだろうか。

 

解約条項の工夫で、解約時期を誘導することもある程度は可能だ。次の入居者を最も見つけやすく、空室期間も短くなりやすいという理由から、2月15日〜3月10日の解約が理想的だとする。そこで「その期間中の解約であれば、解約日までの最後の半月間はフリーレント」という契約内容にしてはどうだろう。

 

3月末での解約を考えていた借主も、解約日の前倒しを検討してはくれないだろうか。半月分の家賃収入は失うが、下手な時期に解約されて空室が長期化する可能性を考えれば、オーナーにも十分なメリットがあるだろう。

前記以外にも、解約条項の工夫はいろいろと考えられるはずだ。必ずしも「1ヶ月前予告で中途解約可能」といった画一的なものに縛られる必要は無いのだ。

 

解約をはじめ、このように契約内容に工夫を加える際のポイントは、通常の契約内容と比べて借主側に一方的に不利なものにはしないということに尽きる。そのような設定をすれば、当然募集にも影響が出るし、消費者契約法などを根拠に「この契約条項は無効!」となりかねない。

 

オーナーにメリットがある分、借主にもメリットを提供する。要はバランスだ。その点さえ外さず、法律的にも無理がなければ、もっと契約内容は当事者間の合意のもと自由であるべきだし、多様化していいと思う。借主にとっても選択の幅が広がる。

 

特に住居の賃貸借契約は、通常こういうものだ…と一般論に縛られすぎて、工夫が乏しい気がするのは私だけだろうか。

(筆:先原秀和/週刊住宅2017.01.23 掲載)


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