週刊住宅

公開日:2017年2月6日

第109回 「気づく力」を育てる

第109回 「気づく力」を育てる
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多様な社員でPMツアー

2回にわたって開催したPMツアーは、大きな実りある研修となった。年代も経験も異なるメンバーだからこそ、出てくるアイデアが多様性に富んでいて、私にとっても新鮮な学びが多くあった。スタッフ同士のコミュニケーションの場にもなるPMツアー、今後も定期的に開催していくつもりだ。(藤澤雅義)

今年の社内目標のひとつに「個々の提案力向上」がある。提案力には、収益分析や法定点検のような「知識」も必要だが、それ以前に、物件が抱えるさまざまな課題に「気づく力」が欠かせない。

しかし、この「気づく力」を身につけることが難しい。

 

「知識」は答えがある程度決まっていて勉強すれば身につくが、「気づく力」はセンスに近く、決まった答えもない。教育プログラムが確立されておらず、スタッフの力量もバラバラだ。どうしたら「センスの良い」スタッフを育成できるだろうか。

 

その答えは現場にあるのかもしれない。

スタッフがよりリアルな現場を見て、それぞれが感じたことを共有することによって互いの視野は広がり、気づく力が身につくのではないだろうか。

 

▲ 「マークといくPMツアー」(マークとは弊社代表藤澤のこと)

 

そこで、当社は「マークといくPMツアー」(マークとは代表の藤澤のこと)と称した物件巡回研修に力を入れることにした。対象は新卒からベテランまで、部署を問わない全スタッフだ。指定された物件を巡回して感じたことを記録し、社に戻って各自がそれを発表し、全員で共有する。

 

1月の研修には30人以上のスタッフが参加した。一度に全員が同じ物件に入れないので、いくつかの班に分かれる。班分けでは、同じ班に特定の部署や経験値が近い人を固めず、多様なメンバーで構成する。研修中は社に戻って発表するまで、あえて互いのアイデアを人に伝えないでおく。その方が、さまざまなスタッフの率直な気づきを知ることができる。

 

こうして出てきたアイデアには大まかな傾向があり、ベテランは的確で現実的だが、業界っぽくて新しさが無かったり、若手は斬新な視点で柔軟な発想だが、非現実的だったりする。

これらは人それぞれが感じたことなので、何が良い悪いということではない。互いに「なるほど、そういう考え方もあるのか」と自分では気づかなかった考え方を知ることに価値がある。若手からベテランまでのさまざまな考え方を知った上で、マークがアイデアを具体的な提案に変える手法や、提案する際の優先順位のつけ方をレクチャーする。

 

最後にまとめたレポートを作成し、物件オーナーに提出する。

このようにしてできたレポートは、通常の1人の担当者が作成するレポートと比べ、課題の抽出量や対策案が充実していることは言うまでもない。

 

このように、若手から経営トップまでが一緒にリアルな現場を見て、それぞれの考え方を共有する取り組みをすることによって、各スタッフの「気づく力」を底上げし、より充実した改善提案ができる組織を目指したい。

(筆:片平智也/週刊住宅2017.02.06 掲載)


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