週刊住宅

公開日:2014年11月17日

第5回 電話でのクレーム対応

第5回 電話でのクレーム対応
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対応長引く迷惑行為への対処

クレーマー側に問題がある場合も

賃貸管理業務のなかには、「入居者からの電話を受ける」という大事な仕事がある。簡単な受け答えで済むものもあれば、かなり時間がかかり容易に解決しない事案もある。

新たな利益を産み出すというようなものではほとんどないので、社内でも軽んじられがちな業務(部署)だが、なくてはならないものであり、やりようによって業務の効率化の差がかなり出てしまうものである。(藤澤雅義)

当社代表取締役の藤澤が賃貸管理会社専用のコールセンターを設立してから、約13年が経つ。管理会社の業務軽減を目的としたコールセンターのため、設備故障の入電だけではなく、入居者からのすべての入電を受けるのが弊社コールセンターの特徴である。

私はそのコールセンターのオペレーターとして入社し10年が経ち、今までに様々な入電の対応、全国各地の慣習や入居者の特徴についてなど、とても貴重な経験を積むことができたと実感している。

弊社コールセンター「プロコール24」での、案件別の入電割合としては、

①設備故障(ハードクレーム)が約4割、

②騒音や迷惑駐車など、人の迷惑行為に関するクレーム(ソフトクレーム)が1割弱、

③解約や更新(再契約)の受付が1割弱、

④各種問い合せ(家賃関係、解約方法、設備の使用方法等)が4割強となっている。

 

その中で、②のソフトクレームと言われるものは、割合的には1割弱だが、賃貸管理の現場では、もっと多いと感じているところも少なくないだろう。
騒音、迷惑駐車、ゴミ出しのマナーなど人の行為に関する対応は、設備故障のように悪い部品を交換すれば直るという単純な問題ではない。人のモラルをどう改善するかというかなりの難題で、対応が長引く場合が多いため、入電割合は1割弱だが、対応時間はその何倍もかかっているからである。

 

例えば、ソフトクレームの中で最も多い、騒音に関するクレーム。

実際に騒音を出している入居者の対処よりも、騒音クレームを言っている側の入居者の対処が難題である場合が多い。ドアの開閉音、共用廊下を歩く足音や隣部屋の目覚まし時計の音までが気になって仕方がないと、何度も連絡が入る、異常に神経質な人なのである。こういった入居者は、通話時間も長い傾向があり、管理会社の電話を受けた担当者は、話を聞くだけでかなりの時間を取られることになる。

 

最初は言われた通りに、該当の隣部屋の入居者へ確認及び注意の連絡や、注意文を配布するなどの対応をしているが、何度も何度も連絡が入るうちに、クレームを言っている本人自身に問題があることがわかってくる。

 

 こういった神経質な人には共通点がある。

①音がしている時間帯すべてをかなり細かく記録している

②音が原因で病気になり、通院している、という話が出る。

実際に『プロコール24』で受けた、ある入居者からの騒音クレームの入電件数(事案件数)は入居期間約年6年間で60件を超えた。

 

では、そういった入居者にはどう対処するか。

入電件数を減らすことはかなり難しいが、私の経験から得た通話時間を短縮するための対処は3つである。

① 質問は極力しない。なぜならば、話を聞いて欲しいという傾向が強いため、話が止まらなくなる。

② 否定をすると更に話が長くなるため「気持ちはわかる」と同意をする。

③ 電話を切るタイミングとしては、具体的な対応策を提示し、あなたのために管理会社が動くという姿勢を見せ、優越感を感じさせる。

 

賃貸管理会社としては、早い段階で入居者の質を見極め、入居者に振り回される時間を減らしたいものだ。

(筆:遠藤広美/週刊住宅2014.12.01掲載)


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