7月にエアコン修理が集中
賃貸業界には忙しさの波がある。繁忙期というものだ。
これに対処するために、短期の人員を確保したりする。繁忙期の忙しさを標準にして社員を配置することは人件費の無駄になるからだ。この繁忙期をコントロールしてなるべく1年を通して平準化できれば良いのだが、といつも思ってしまう。その方法をいろいろ考えてみたい。(藤澤雅義)
賃貸管理会社から業務委託を受け、入居者からのすべての電話連絡を受付している当社「プロコール24」での2014年度の入電率の平均は、14.5%であった。これは入居者からの新規の連絡のみであり、「その後はどうなった?」というような再電や、修理業者からの完了報告などは含んでいない。
月別では、やはり繁忙期の3月がもっとも多く平均値に対する増加率は23.5%、続いて2番目に多い月は7月で、増加率は8.3%となっている。逆にもっとも少ない月は11月で、減少率は11.2%というのが当社コールセンターでのデータである(※2014年当時の利用会社数:約100社・管理戸数約50,000戸)。
7月に入電が多いと認識している賃貸管理会社は少ないのではないだろうか。なぜ、7月に入電が多いのか。それは、冷房器具を必要とする地域では、7月の梅雨明けから猛烈な暑さに見舞われる、と同時に、エアコンから「水が漏れる」「冷風が出ない」という内容の電話が殺到するからである。
賃貸業界の繁忙期である1~4月については、スタッフを増員するなどの対処をしている会社も多いが、賃貸管理会社での、入居者対応やメンテナンスを担当している部署にとっては、この7月も繁忙期となる。
エアコンの修理業者も対応に追われ、修理訪問は1週間待ちということもある。真夏のエアコン故障は、特に高齢者やお子さんがいる家庭では、命にもかかわりとても危険である。
当社コールセンターでも真夏のエアコン故障については、1分でも早く修理業者を手配するよう指導をしているが、どの修理業者も手一杯な状況のため、入居者へはしばらくお待ちいただく旨をお詫びし、理解を求めるしかない。「暑くて眠れない!」と、ご立腹な方をなだめる対応にも追われる。
そこで、このエアコン故障の繁忙期対策として、事前に管理物件の各戸へエアコンの試運転をしていただくよう通知し、修理業者が繁忙期となる前に対処してはいかがだろうか。
また、夏のエアコン故障で、もっとも多い不具合が、エアコンからの水漏れである。原因の大半は、ドレンホースという排水ホースにごみが詰まったことで起こる。素人でも簡単にホース内のごみ詰りを除去できる「エアコン用ドレンホースクリーナー」(※写真参照)という器具が数千円で購入ができる。
ドレンホースの口にこの器具を差し込み、ハンドを引くだけで、ごみ詰りが除去できる。これなら管理会社のスタッフでも簡単に対処が可能なので、試していただくのも良いだろう。
(筆:遠藤広美/週刊住宅2015.07.6掲載)