週刊住宅

公開日:2017年2月13日

第110回 世界で最低の労働生産性

第110回 世界で最低の労働生産性
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完璧主義で無駄が発生

最近、デービット・アトキンソン氏の「新・所得倍増論」を読んだ。氏は「新・観光立国論」という著作で評価され、私も大いに影響を受けた口だ。著作の中で、日本は世界一優秀な労働者を持っているのに、先進国一、「労働者一人あたりの労働生産性」が低いと言っている。先進国一、ということは世界一、であろう。イタリアやスペインにも負けているというのだから、大変ショックである。

 

アトキンソン氏は、日本は世界第三位の経済大国などというが、それはたまたま人口が多いだけで、総額では第三位かもしれないが、経済の力は「一人あたり」でみなければいけないという。先進国で人口が1億人を越えているのはアメリカと日本だけであり、戦後の高度経済成長も人口ボーナスによってもたらされただけであり、日本の経済力をけして過信してはいけないと問う。

 

今後、大幅な人口減社会を迎える日本は、このままでは極東の存在感のない小さな島国になってしまうというのだ。サミットからも外されるかもしれない。イタリアにも負けているというと、昼休みをしっかり取っている国に負けているのが解せないが、日本人には根本的に要領の悪い「何かが」あるのかもしれないと思ってしまう。

 

いろいろ考えられるが、私見だが、日本人は他民族に比べて「完璧主義」なのではないか。日本人からみると、欧米人は「いいかげん」に感じるが、こちらのほうが異常なのかもしれない。

ゼロから80%までもっていく労力と、80%から100%近くまでにもっていく労力は同じくらいではないか。80%で良しとすれば、他の新しい業務を2倍できるかもしれないのだ。

 

日本人は100%を求めすぎではないか。

毎春、大学入試センター試験があると、必ずテレビでたとえば理科と社会の問題でミスがありました、と報道される。私などは「細かいなあ」、と思ってしまう。少々、問題がおかしくても体制に影響はないだろう。それで、合格できない人がいるだろうか。また、ミス問題にたくましく対応するのも実力のうちではないだろうか。細かいことにこだわらず、もっとダイナミックに新しいことにチャレンジすべきではないか。

 

我々のビジネスにおいて、特に賃貸管理業は労働集約的で、まだまだ人に頼っている職種だ。当社もそうだが、皆「真面目」で一生懸命、仕事をしている。でも、その真面目さゆえに、無駄が発生し、新たな業務にトライできず、残業が多い結果になってしまってはいないか。

いい意味での「いいかげんさ」を持つべきだと思う。

(筆:藤澤雅義/週刊住宅2017.02.13 掲載)


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