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第80回 強風で枝が折れ車に傷

2016.07.11
  • 週刊住宅

    無過失でも損害賠償責任

    賃貸経営には意外に大きなリスクがあるものだ。めったにないことだからといって、安易に考えてはいないだろうか。めったにないこと、1%もないことだといっても、当たってしまえば100%である。我々は不動産オーナーにたいして、「めったにないことかもしれないが、こういうリスクがある、最悪こういうことになる」という説明をしているだろうか。言っていなければ、当方にもそれを説明しなかったという責任を追求される恐れもあるのだ。(藤澤雅義)

    写真はイメージ

     

    7月に入り台風シーズンが到来する。この季節になると、当社の入居者向けコールセンターに「台風で敷地内の樹木の枝が折れて、駐車していた車が傷ついた」などの苦情が入ってくる。こういったケース、自然災害によるものなのでオーナーに責任は発生しないという人もいるが、実際はそう単純ではない。数十年に一度といった規模の台風で、想像を超えるような強風による事故であれば賠償責任は発生しないかもしれない。

     

    しかし、ごく一般的な規模の台風による事故であれば、その樹木の管理・保全に瑕疵(欠陥)があったと判断され、オーナーに損害賠償責任が生じることは十分にあり得る。被害を受けたのが「人」であれば、損害賠償額が数千万円といった額になる可能性もある。

    台風によるものではないが、強風の日に札幌市にある飲食店の看板が落下し、通行人の女性に当たって、意識不明の重体となってしまった事故はまだ記憶に新しい。

     

    こういった建物・設備や敷地内の樹木など、土地の工作物等の瑕疵を原因として、第三者に損害が発生した場合の占有者(管理者)及び所有者の責任について定めた民法717条というものがある。この条文による所有者の責任は無過失責任である。

    つまり、瑕疵の存在を知りつつ対応しなかった、日常的なメンテを怠っていた等の落ち度がなくても、瑕疵があり、それが原因で損害が発生したという事実があれば責任を負うことになる。

     

    2011年の福岡地裁の判決で、衣料品量販チェーンの店内で、雨にぬれた床で滑って転倒し後遺障害を追った女性に対して、店側に572万円の支払いを命じた事例もある。同様の転倒事故が賃貸物件内でも起こりえることは想像して頂けるだろう。

     

    このように、不動産の占有者(管理者)または所有者には、事故の損害に対して賠償責任を負う「リスク」が実は結構あるのだ。特に所有者のリスクは高い。

    しかし、そのことを知らない、または「大丈夫だろう」と軽く考えて、対策を講じていないケースは多いようだ。前述のようなリスクには、施設賠償責任保険への加入という対策が考えられるが、比較的安価な保険にも関わらず、加入しているオーナーは少ないことからもそれが分かる。

    我々管理会社には「オーナーのリスク」を発見し、その対策を提案するという役割もあることを改めて認識して、オーナーのリスクに向き合ってみてはどうだろうか。表にリスク対策の分類をまとめたので、参考にして頂ければ幸いだ。

    (筆:先原秀和/週刊住宅2016.07.04 掲載)

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